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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第十三章 寮から始まるいつもの一日
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第69話 些細な一言から始まる

 突然かなめが手を叩いた。全員の視線が何事かと彼女に向かった。


「おい、アメリア。もう一回言ってみろ!」 


 後部座席から身を乗り出したかなめに驚いてカウラは急ブレーキを踏んだ。車は急に赤信号で停まり、それに驚いたアメリアはかなめをにらみつけた。


「驚かせないでよ!何よ!」 


 かなめの大声に誠は椅子からずり落ちそうになった。なんとか耐えながらかなめを見る。その表情は歓喜の色を湛えている。


「だからだ!もう一回!」


 そのままかなめは今度は立ち上がって襟首をつかんで引っ張りあげた。驚いたアメリアがかなめの手にすがりついた。だが誠はとりあえずかなめが怒ってはいないらしいと言うことで安心したそしてその強力なサイボーグの怪力におどおどしながら何を言えばいいのか迷いながら彼女のタレ目を見つめていた。


「なによ、かなめちゃん。ランちゃんがやくざの組事務所にしか住めないのがどうしたのよ」 


 アメリアの言葉を聞いたかなめは誠の襟首から手を放した。そのままどすんと自分の椅子に落っこちる誠。そんな彼の目にはまるで子供が宝物にでも出会ったように満面の笑みを浮かべるかなめが映っていた。


「そうだよ!馬鹿だなあ。アタシ等がこのちんけな部屋から出るにはそこからはじめなきゃならなかったんだ!」 


 かなめは満面の笑みで自分の思い付きに納得したようにうなずいた。


「うるさいぞ、西園寺。そんな何かつかめる糸口でもあれば苦労しないと思わないのか?」 


 カウラにまで言われると憤慨したようにかなめはカウラの運転席を叩く。


「何をする!」 


 カウラの声もむなしくかなめは彼女の携帯端末を取り出すと取り付かれたように凄まじい速度でキーボードを叩いてデータを入力し始めた。


「気が付かなかった……馬鹿だった……」


 かなめはそう独り言を言いながら端末の操作を続けた。 


「かなめちゃんが馬鹿なのは昔から知ってるけど」 


 そんなアメリアの一言にチョップを入れるとかなめは画像を表示させた。


「不動産情報?賃貸物件の契約状況……?」 


 誠は不思議そうに不動産情報の検索結果の映る画面をどうだと言わんばかりに見せつけるかなめの表情を見ながらつぶやいた。


 かなめは得意げに笑った。それとは対照的に誠もカウラ、そしてアメリアもぽかんと彼女の笑顔を見つめた。


「かなめちゃん……寮を出て行くのね……。うるうる」


 アメリアのわざとらしい演技にため息をついた後かなめはさっと端末の画面を指差した。 



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