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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第一章 祭りと何かを誤解している地球人
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第6話 地球で法術師の住む地域

「地球でも東アジア、特にジャパンにはアメリカに併合されるのを嫌がって甲武に来た日本人と入れ替わって地球の便利な生活にあこがれて移民した遼州系の人間も多いからな。恐らくそのことをにらんで準備が進んでたんだろ。まあ神前が法術の存在を示した『近藤事件』以前からいつでも行けるところまで計画は出来ていたんだろうな」 


 カウラは一人、冷静に画面を見つめた。さすがにそんなカウラも見るとアメリアも笑いに飽き、かなめが再び升酒をあおり始めると周りの野次馬も興味を失ったように散っていった。


「しかし『魔法学院』はないだろ……誰かこのネーミング止められなかったのかね……さすがに『法術研究所』までしろとは言わねえが、『魔法学校』とか……ああ、あんま変わんねえな」 


 ニヤニヤしながらかなめは画面の中の看板に目をやっていた。


「名前が重要なんじゃない。むしろその中身が大事なんじゃないのか?一応私立の学校という話だが設立に当たりいくつかの在日アメリカ軍の外郭団体から金が流れているだろうからな。実際は米軍の法術師養成機関と考えるのが妥当だろう」 


 カウラは平然とそう言って面白がるかなめに不愉快そうな視線を送っていた。


「なんだよ、カウラは知ってたのか?」 


 まるで自分の見つけたネタを馬鹿にされたようにかなめが頬を膨らませた。それを見てアメリアもようやくおちついてきたというように口元を引きつらせながら立ち上がった。自分のせっかくの大ねたをつぶされたとあってしばらくかなめは不機嫌そうにしていたが再びいつもの意地悪そうな顔つきに戻ると達磨ストーブに乗っていた餅を手にとって口に運んだ。


「姐さん……醤油は?それじゃあ味がしないでしょ」


 オヤジが口を挟むがかなめはまるで無視して味の無い餅を何度かかみ締めた後、静かに飲み込んで再び視線をカウラに向けた。


「なるほどねえ、さすがカウラちゃんは勉強熱心でいらっしゃる。だからパチンコでも勝率が高いのね」


 アメリアは真面目な顔のカウラを皮肉るようにそう言った。 


「貴様等が仕事をサボることばかり考えているからだ。それとパチンコは事前の台の予習をしっかりしていれば確率的にかなりの高確率で勝てるものだ。最近良く分かって来た。このところ勝ちが続いて貯金が増えて仕方がない」 


 そう言うとカウラはそのままビニールシートを持ち上げてそのまま参道に出た。かなめは升を舎弟の若者に返すとその後に続いた。達磨ストーブの前ですっかりご機嫌で温まっていたアメリアが急いでその後に続くのを見て誠も我に返ってオヤジに一礼するとそのまま参道に飛び出した。


「でも僕も思いますけど『魔法学院』は無いと思うんですけどね……どう見てもやはりファンタジーの世界ですよ。人間が宇宙に飛び出してからの名前とは思えないじゃないですか。じゃああれですか?僕は魔法使いですか?僕のつかえる『干渉空間』や『光の(つるぎ)』はどんな魔法なんですか?そんな呼び方されたくないなあ……自分が童貞だと言う事実を突きつけられているみたいで」 


 誠はそう言いながらまるで自分が仲間はずれにされていたとでも思っているようにすたすたと歩いていくカウラの後についていく。かなめもアメリアもその後ろからいつかカウラをからかおうというような様子で歩いていた。


「まあ東和警察だって警察学校に法術部門を立ち上げたからな。今のところは東都条約の規定により法術の軍事的使用にはさまざまな規制がかかっている……だから表立って軍の施設内で法術師の養成機関は作っていないが、どこの軍も警察の法術師養成機関に兵員を派遣して法術の使える兵の育成に熱心な今日この頃だ。あのようなニュースの一つや二つあったところで不思議じゃない」


 カウラは淡々と東和における法術の現状を語った。 


「一応はね。でも、法術の軍事利用の禁止。実際それを守るかどうかとなると別問題でしょ?カウラちゃんが言うように警察学校に軍人を派遣している国は多いし、ここ東和だって教導部隊の隊長だったランちゃんが法術師だったってことでひと悶着あったくらいなんだから」 


 アメリアはそう言うと誠の手を引いて走り出した。



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