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第33話 サボる『駄目人間』

「仕事がさあ。ちょっと煮詰まってね。それに神前とかえでが一緒に射撃訓練すると聞いたからこれは面白いものが見られそうだから来てみたの……悪い?実際面白いものを見ることが出来たし」 


 それだけ言うと足元にもみ消したタバコを再び踏みしめる。その様子はいつものにらんでいるような目のランの監視の下に行なわれていた。


「分かったよ、拾うよ」 


 面倒くさそうに吸殻を拾う嵯峨を見てカウラは大きなため息をついた。


「仕事って……また法術関係の話か?」 


 ランはそう言うとショットガンのセフティーを解除してターゲットに狙いを定めた。


「ボスン!ボスン!」 


 発射された弾丸が正確にマンターゲットの首の辺りに命中した。


「まあな。結局は史上最初の法術のデモンストレーションをやった俺達だ。そのことに関しての問い合わせは年中無休だ。本当に体がいくつあっても足りないよ」


 嵯峨は疲れた笑みを浮かべてそう答えた。 


「元々質問とかに答える気はねえのに何言ってんだか……」 


 かなめはそう言うと同じようにランと並んで射撃を始めた。


「義父様は僕と神前曹長の関係がどう進むと喜ばれるのですか?」


 かえでは射撃訓練を始めた誠を置いて嵯峨に歩み寄りながらそう言った。


「俺?康子義姉(ねえ)さんの決めたことだからねえ……逆らえないのは俺もかなめ坊もおんなじ。でも、まあ孫の顔を早く見てみたいって気分もある。茜はあんなだから一生独身で終えそうだし、お前さんならすでに24人の人妻に子を孕ませた実績があるんだもんな。自分が孕むことぐらい別に何とも思わないだろ。俺は結婚とかそう言うことに拘らない質だから……別にいいよ、神前とお前さんが子供が出来るようなことをしても俺自身は反対する権利はない。それよりさあかえで。お前さんが神前に送ってる無修正動画……俺にも回してくれないかな……最近はビデオレンタル代も高くなっておかずに困ってるんだ」


 嵯峨の脳内はやはり『駄目人間』の『脳ピンク』なんだとショットガンの射撃訓練を一度中断した誠はその言葉を聞いて確信と絶望に包まれていた。


「義理とは言え娘に欲情するような変態の義父上にはお渡しできません。それに義父上はそれをコピーしてモザイクを掛けて売り歩いたりする可能性がある。そんな人に僕の美しい裸体が乱れ咲く様を見て欲しくありません」


 かえではあっさりと嵯峨の願いを却下した。



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