第28話 射撃下手の射撃訓練
「あのー僕は?」
かえでからのとろけたような瞳の熱い視線に冷や汗を流しながら銃を撃つことさえ許されなかった誠は恐る恐るランにそう尋ねた。
「神前は撃ち方自体がおかしいから。ここでアタシの撃ち方を見てろ!日野!神前にさっき見てーに抱き着いたりしたら張り倒すからな!オメーは神前から少し離れてそこで立ってろ!」
そう言うと120cmに満たない小さな体には大きすぎるショットガンの銃口をターゲットに向けた。
「まず反動は普通の殺傷弾よりでかいからな。こうしっかりホールドするわけだ」
ランはがっちりと腕で銃を固定し、しっかりと狙いを付けた。
「まずアタシは普通の人間よりちっこいからな。こうしてしっかり銃にぶら下がるわけだ」
かなめはふざけた調子でランの声まねをした。思わず噴出しそうになる誠だが上官相手とあって必死になって堪えた。
「お姉さま。おふざけがすぎますよ。神前曹長。良い見本です。僕が手を取り足を取り教える前にしっかり見ておいた方が良い」
ふざけるかなめと的確な指示を出すかえでを無視していたランが初弾をターゲットに命中させた。そして驚いている誠に見せ付けるようにして短い手で起用にポンピングしながら5発の弾丸を発射して見せた。
「こうやるもんだ。日野!まだ神前に触れるんじゃねー!とりあえず神前の銃の撃ち方でオメーがおかしいと思うところが分かるまで少しでも触れたらぶん殴るからな!」
ランは全弾打ち終えると満足げに誠を見つめた。そして少しでも誠に近づく口実を得ようとするかえでをけん制した。
「そんなグリップに手が届くか届かないかと言う身体でよくできたなあ」
かなめは確かに誠から見てもランには大きすぎる銃を見ながらそう言った。
「クバルカ中佐の撃ち方は的確です。あの体形ではあの撃ち方が正解でしょう。ショットガンに慣れてる僕が教えるとしてもそう言う撃ち方を勧めると思いますよ」
かえでは快感の波が引いて来たのかいつものように冷静にそう言った。
「西園寺。一度死んでみるか?それと日野。オメーは褒めるのは上手いが褒めれば相手が気を許すなんて甘い考えはすぐ捨てるべきだな。アタシはそんなに甘くはねーぞ。相手がいくら『許婚』とは言え、オメーのやってることはセクハラだ。それ以前に変なもん股間に付けて勤務するなんてどーゆー神経してるんだ?まったく」
ランは明らかに機嫌を悪くして殺気立った。その元々にらんでいる様な顔がさらに殺気を帯びた。