表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/203

第27話 サンドバック弾

「神前、かえでと変なことしやがって。その罰にオメエ的な。大きさと言い、胸の筋肉の厚さと言いちょうどいいや。それだけ鍛えてりゃ肋骨骨折なんてことはねえだろうからな」


 かなめはそう言って誠をにらみつけた。 


「西園寺。冗談を言う暇があったら弾を込めろ。神前、安心しろ。さすがの西園寺もそこまで馬鹿はやらない」 


 カウラはそう言うと新しい弾の箱から取り出した弾薬を一発一発オレンジ色の銃の下に開いたローディングゲートに弾を込めていった。


「これって何が入っているんですか?」 


 誠の言葉にかなめは大きくため息を着いたが、その様子を見てようやく快感から理性を取り戻してきたかえではにやりと笑った。


「神前曹長は正規軍の教育しか受けていないから知らなくても当然かもしれないね。弾頭には布製の袋が入っているんだ。その中身は重量のある樹脂が入っている。約5メートルで10センチくらいの大きさに開いて目標に到達するわけだ。打撃力で相手を無能力化すると言うのが売り文句なんだ。ちょっとした治安出動も勘案した教育を受けている僕には当然の知識だがね」 


 得意げに嬉しそうに誠を見ながら語る妹を見ながら、かなめは呆れて弾が全弾バレルの下のマガジンに入ったことを確認するようにローディングゲートを手でさすっていた。


 不愉快そうな姉をしり目にかえでは言葉を続けたそしてそのまま誠にぴったりと寄り添った。


「実際有効性があるのが25メートルくらいかな。かなり銃を撃つタイミングが難しいので注意が必要だよ。クバルカ中佐。とりあえず神前曹長に撃ってもらいますか?それともお姉さまが見本を見せますか?お姉さまならきっといい見本を神前曹長に見せることが出来ると思うのですが?」 


 誠に寄り添い、そのままぎゅっと銃を握る誠の手に手を添えるかえでの姿を見ていたのはカウラだった。


「何も射撃と言えば西園寺に限ったことではない。私から行こう」 


 そう冷たく言ってカウラは弾を込め終わると静かにフォアグリップを引いていた。


「おっし。なんか知らねーけどやる気があるみてーだな。口で言っても分からねーだろうからな。ベルガー!そこの鉄板にぶち込んでやれ」 


 ランがそう言うとそのままカウラは10メートルくらい先の鉄板に狙いを定めた。すぐに初弾が放たれた。銃声の後、鉄板が鈍器で殴られたように大きく揺れた。


「へえ、面白いわね。じゃあ私も」 


 そう言うとアメリアはオレンジ色に塗られたショットガンの重厚を30メートル先のペーパーターゲットに向けた。


 三発の銃声。そして着弾点で土煙が上がった。


「面白いわね。これはおもちゃとしては最高の出来かも知れないわよ」 


 ニコニコ笑いながらアメリアはテーブルに置かれていた拡大鏡に手を伸ばした。


「ああ、当たってるわね。私すごいわ」 


 満足そうにアメリアはうなずいた。その同じ方向をかなめが見つめている。サイボーグらしく望遠機能を使用しているようで静かに額に右手を当てている。


「……当たり前だ、こんな距離。外す方がどうかしてる」


 かなめは自信満々にそう言って笑った。 


「じゃあお手本を見せてよ。そう思うわよね……自称『許婚』さんも」


 口を尖らせるアメリアの視線はそのまま誠に絡みつくようにしているかえでへと突き刺さった。


「そうだね、お姉さまがどれだけできるか。僕も見てみたい。そう思うよね?神前曹長も」


 かえでの手がいつの間にか誠のギンギンに勃起した股間に達していた。かえでは妖艶な笑みを浮かべて誠の耳に息を吹きかける。


「あのー、日野少佐。そんなことをされると僕は練習に集中できなくなるんですけど……」


 人前で公然と異性から股間をまさぐられると言う初めての体験に顔を赤らめながら誠はつぶやいた。しかも誠は先ほどかえでの膣内と直腸内に射精したことになっている。かえでは明らかに不服だと言うような顔をした後、誠の股間から手を放し、距離を取った。


「そうだね、今はその時ではない。でも君が望むならいつでも君を喜んで受け入れる女が居る事だけは忘れて欲しくないな、僕としては」


 離れ際にかえではそういって誠に笑いかけた。


 対してかなめは妹の暴走に不機嫌そうな表情を浮かべてオレンジ色の銃のフォアグリップを引く。すぐさま五連射。すべてが15メートル先のこぶしほどの大きさの鉄板に命中する。そして満足げに全弾撃ちつくしたと誇るように誠達を見回した。


「さすがよねえ。さすが一番狙撃手。これは一応褒めとくわね」 


 再び拡大鏡を手に取るとうなずきながらアメリアは鉄板を眺めた。おそらく当たった際に飛び散った袋の中の樹脂の塊が染め上げたのだろう。誠から見てもかなめの放った弾丸が全弾鉄板に命中してそれをオレンジ色に染め上げた事実を確認することが出来た。


「じゃあ私ももう一度やるか……」 


 カウラがそう言って初弾を装填したところでランがカウラの銃に手を置いた。


「オメー等射撃ごっこしているわけじゃねーんだ。全員そこに並べ。それと日野。教えるんならちゃんとショットガンについて教えろ。ここは童貞に女を教える場所じゃねーんだ。そんなに童貞に女を教えるのが好きなら出会い系サイトでも登録してそっちで男を集めろ」 


 仕方ないと言うようにカウラは銃口を上に向けてかなめ達が使っていた射撃レンジに立った。かなめもアメリアも小さいとはいえ上官のランに逆らうわけには行かずに隣のレンジに移った。


 かえではランの言葉にも笑顔で答え、銃を手にレンジに陣取る誠の後ろのすぐ手の届く範囲に立ち位置を決めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ