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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第四章 低殺傷兵器(ローリーサルウェポン)
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第25話 ラボ行きの決まった超兵器

「『方天画戟』は隣の工場でデータ収集のためにしばらく預かるそーだ。管理部の高梨部長に言わせると予算的にうちの資産にしておくと不味い状況なんだそうな。まーアタシとしてもあの『呪われた機体』はあんまり見たくねーかんな。34年前、アタシはあれで初めて人を殺した……殺しちゃなんねー立派な人物をだ。相手が軍人だからと言ってそれを最初にした機体にはアタシは乗りたくねーんだ」


 ランはそう言って苦笑いを浮かべた。 


「でもせっかく手に入れた強い機体でしょ?それを何でまた……それに『呪われた機体』ってどういうことですか?」 


 誠はランが『方天画戟』を手放す気満々なことに不満だった。


「あれでアタシは多くの人を殺した。無罪の抵抗する意思のない人間をだ。だからあの機体にはアタシは乗りたくねーんだ。だから高梨部長からうちの予算が足りなくて隣がデータ収集用のオリジナル・シュツルム・パンツァーを欲しがっているという話が来た時にはすぐに飛びついた。アタシの機体は『紅兎』弱×54だけだ。他にはねー」 


 ランは悲しみを込めた言葉でそう語った。


「クバルカ中佐は認識が甘いんでは無いですか?戦場では武器の性能の優劣が勝敗を分けます。聞いた話では『近藤事件』の際も我が甲武の『火龍』が相手だったからなんとか勝利できたという話じゃないですか。それに『ビッグブラザーの加護』はもうありません。圧倒的な戦力差を覆すにはそれなりの兵器が必要です」


 一通り射撃を終えた股間の穴前後に二本もバイブを入れているというのに平然としているかえではランの言葉を聞いてそう口をはさんできた。 


「アタシの感情もあるが、まずは予算がどーにもなんねーんだ。それに後で話すがなんでも隣の工場で再びシュツルム・パンツァーの開発を行うにあたり、05式の後継機の参考にするらしい」 


 そう言うとランは苦笑いを浮かべた。


「05式の後継機?第二小隊に今度の四月に配備される奴ですか?間に合います?」


 誠の間の抜けた質問にランは大きなため息をついた。


「間に合う訳がねーだろーがばーか!第二小隊には現行の05式の致命的欠点であるエンジンの振り方を間違えたことによる機動性の無さを補う改修が施された機体が配備される予定だ。問題は次の機体だ。07式は05式の敵じゃ無かった。この二つのいいとこどりを狙った09式は中途半端で使い物にならなかった。だったら根本的に新しいシュツルム・パンツァーとして設計をやり直す。それがとなりの工場の考えなんだわ。『方天画戟』はエンジン出力はとても量産レベルに持っていける品質のものでは無いが、多少スケールダウンして法術を持たないものでもあたかも法術師が乗っているような『干渉空間』を展開できるような機体を作りたいとか隣の工場長は言ってた。まーどー言う機体になるのかはだいぶ先の話になるんだろーな」


 ランは遠い目をして射撃場の壁の向こうの菱川重工豊川工場の敷地の方に眼をやった。



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