第24話 撃ちそうでなかなか撃たない女
「かえで、撃つなら撃てよ……ったくこれだからお座敷剣法の達人は世話が焼けるんだよ」
かなめの言葉を聞いたかえではようやく我に返ったようにショットガンの連射を始めた。
誠から見てもその様子は見とれるほどでその誠の熱い視線にかえでは手を止めて甘い視線を誠に投げてきた。
「これがショットガンの正しい撃ち方だよ。ショットガンは衝撃がライフルよりも大きいから肩にしっかりとストックをホールドするのがポイントなんだ」
かえではそう言うと誠に笑顔を向けた。
「そうですか……僕も頑張ります」
「うん、僕が手を取り腰を取って教えてあげよう」
妖艶な笑みを浮かべるかえでに誠は背筋に寒いものが走るのを感じて目を逸らした。
「でも……オリジナル・シュツルム・パンツァーの出る幕なんてあるんですかね?特に『武悪』なんかは機動性でも07式を遥かに凌駕するんでしょ?そんな機体うちに必要なんですか?」
かえでの虜になればどうなるか分からないと悟った誠は話を変えてかなめに問いかけた。かなめは首をひねりながら私に聞くなと言うような顔をして再び射撃を始めたかえでを見つめていた。
射撃レンジの背後ではかえでのショットガンの銃声に負けないほどの島田の怒鳴り声が遠くに響いていた。
「島田は絞るねえ。何度も言ってるだろ?うちは何かあった時に絶対に勝たなきゃならねえ部隊なんだって。でも『方天画戟』の方はなんだか隣の工場に行くみたいだぞ」
かなめが言った言葉に誠は意表を突かれた。せっかく手に入れた最終兵器を簡単に手放すという話は誠には納得がいかないものだった。
「なんでです?確かにクバルカ中佐の『紅兎』の法術増幅装置の素材を『方天画戟』と同じものに交換したって話は聞きましたけどそれと関係あるんですか?それに『絶対に勝たなきゃならない部隊』だったら強い機体を装備した方が良いでしょ?」
話を聞いていたランは誠の言葉ににやりと笑った。