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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第四章 低殺傷兵器(ローリーサルウェポン)
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第23話 司法執行機関の銃器

 一応司法執行機関と言う実働部隊の名目上、当然暴動や治安維持任務には低殺傷能力の武器の使用も考慮されており、それに適した銃も抱えていたところで不思議は無かった。事実、以前ベルルカン大陸での選挙監視活動でランの教え子達の東和陸軍の特殊部隊が現地で活動した際の映像にも目の前の青いショットガンを抱えて警備に当たる島田達整備班長の姿を眼にしていた。


「これってどれくらいの威力があるんですか?」 


 射場に着くと誠はかなめにそう尋ねた。


 ショットガンについてはかえでに聞く方が間違いないのは分かっているのだが、いつもの性的な暴走を恐れた誠は弾の入っていないショットガンを手に弄り回しているかなめに誠が尋ねた。振り返ったかなめの顔は明らかにがっかりしたような表情に変わっていた。


「あのなあ、そんな子供がエアガン買うときみたいなこと言うなよ。名前の通りの威力だ。殺さない程度に相手を無力化する。それだけの銃だ」 


 そう言うとかなめは静かにショットガンをテーブルに置いた。その隣ではこの小火器管理を担当下士官がランの手元の箱を開けてバスケットに中のオレンジ色の弾薬を入れているところだった。


「まあ当たり所が悪くない限りは打撲ぐらいで済むんじゃねーかなあ……何ならお前が的になるか?」


 そのままランはショットガンを手に取ろうとする。誠は身の危険を感じてそのまま壁にまで飛びのいた。 


「姐御もいい事言うじゃねえか。じゃあ防弾プレート入りベストを貸してもらってお前は標的役を……」 


 同じようにかなめはオレンジ色の銃を手に取ろうとした。


「西園寺さん!ふざけないでくださいよ!」 


 本当にやりかねないかなめを見ながら誠は泣くような調子で叫んでいた。かえでのセクハラを恐れるあまり誠は選択を誤った自分を悔いた。


「それじゃあ……っとふざけてないで行くぞー」 


 ランはそう言うと一挺のオレンジ色のショットガンを手に取る。カウラもアメリアも静かにそれを手にした。


「おめえはどっちにする?」 


 かなめは手にした派手なオレンジ色の樹脂製のセミオートマチックショットガンとポンプアクションショットガンを誠に手渡した。


「僕はこっちが慣れているんで」 


 そう言うと誠は迷わずポンプアクションショットガンを選んだ。


 冬の日差しの降り注ぐ中、まじまじと銃を見る。派手なオレンジ色の銃が射場のレンジに並ぶ姿は異様だった。考えれば使用弾薬が殺傷用のバックショットやスラグが入っているのと低殺傷能力の布製弾が入っている銃に見分けをつけるのは合理的だがそれにしても明らかに毒々しく塗られた銃は異様だった。


「じゃあ僕が手本を見せようかな」 


 『許婚』である誠に避けられていることに不満そうなかえではそう言うと銃を手にして上官であるランの指示を待った。その様子を見てランは思わず手にしていた銃を肩に背負った。


「おー、とりあえず腕前の方を見せてくれや。アタシはアタシで勝手にやるから」


 ランは銃とあまり身長の変わらない自分をごまかすために投げやりにかえでに向ってそう言った。 


「ここは良いところを見せてクバルカ中佐にも神前曹長との仲を認めてもらういい機会になりそうだ」 


 そう言うとかえではさわやかな笑みを再び誠に向けてきた。思わずドキッとする誠だが、情に流されてはならないととりあえず冷静を装うことにした。


「日野、そんな事ばっかり考えてるからオメーと神前の仲をアタシは認めてねーんだ。そんくらい分かるようになったら認めてやる」 


 ランの認めてやるの言葉を聞いてかえでは我を忘れたような喜びの笑みを浮かべて頬を赤らめた。


 アメリアはその様子を見て思わず吹き出した。かなめは妹の行動に明らかに不機嫌そうに銃でレンジのテーブルの脚を叩く動作を続けていた。その様子にもアメリアは爆笑した。


「なんだよ!」 


 かなめはアメリアに馬鹿にされたと感じてムキになってそう言った。


「いやあ、かなめちゃんの反応がいつもどおりで平和だなあって思っちゃったから」 


 そう言うとアメリアは手にしたショットガンのフォアードレバーをガチャガチャと動かして見せた。



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