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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第四章 低殺傷兵器(ローリーサルウェポン)
22/203

第22話 火器管理室にて

「開いてますよ!」 


 下士官の声が響いたのでランは先頭になり部屋に入った。


「これかよ……」 


 先に入ったかなめの声に少し興味を持ちながら続いた誠だが、そこに待っていたのは明るい青色の樹脂でできたショットガンが並んでいる光景だった。そのうちの一丁を長身の作業着に汚れた前掛けをつけた士官がランに持たせて小声で説明している。ランは何度かうなずきながらその隣に置かれた弾薬の入ったケースを叩きながら振り向いた。


「模擬弾使って射的ごっこか?つまらねえな」


 かなめは心底がっかりしたようにそう言うと銃を下士官から奪い取った。 


「模擬弾とは失敬な!一応鎮圧用の低殺傷弾入りのショットガンですよ」 


 それまでランと小声で話していた作業着の下士官がきつい調子でかなめに反論した。


「威力が半端なだけになお悪りいや」 


 かなめは頭を掻いて銃に手を伸ばした。誠はランの手元のオレンジ色の派手な弾薬の箱に目を向けていた。


「お姉さまはショットガンは苦手なようで……そうなると僕の出番だね。やっぱりお姉さまと神前曹長には僕の力が必要なようだね……うっ……」


 遅れてやって来たかえでは慣れた調子で青いショットガンを受け取った。そして同時にかえでは誠を興奮させるような色っぽいうめき声をあげた。


「日野少佐はその銃に慣れてるんですか?そんな変な色に塗った銃を何に使うんです?それよりさっきから日野少佐の様子がおかしいんですが……」


 誠はかえでの事だからきっと性的なことに使うに決まっているというような汚いものを見るような目でかえでを見た。かえではそれを気にする様子も無く青く塗られたショットガンの作動部分を丹念に動かしていた。


「それは僕の趣味は狩猟だと言っているだろ?狩猟の際にはクマやイノシシなどの大物を狙うならライフルを使うがカモや雉などの鳥類を狙う時は散弾を使う。散弾を使う銃と言えばショットガンだ。ショットガンについては僕にはお姉さま達より一日の長があると言うことかな。それと僕の君への愛は絶対でね……君をいつもこうして体の中で感じていないと気が済まないんだ……はあっん!」


 またいつものさわやかな笑顔で前歯を輝かせつつ喘ぎ声を上げつつかえでは誠を見つめてきた。


「そうですか……僕は軍に入るまでは銃にはほとんど触れたことが無いので」


 誠はそう答えつつ下士官が手渡してきた自分の分の青色のショットガンを受け取った。


 それは青く塗られているだけで普通のライフルと同じ素材でできているように誠には思えた。


「神前曹長。君の考えていることを当ててあげようか?君はこの銃がなんで青く塗られているか気になっているようだね?……うっ……」


 かえでは見事に誠の心の中を読んで見せた。そして自分の銃の動作状況に満足したような笑みを浮かべた後、話を続けた。


「それは使っている弾に関係しているんだよ。……はあ……この銃は普通の弾薬は使用しない銃だと言うことを示すために青く塗られているんだ。僕の使っている銃は全て隊のHK33と同じ黒い色の銃だよ。ああ、君のアレはまだピンク色だったね。僕で童貞を喪失してそれが黒くなるまで僕達の事を……ああっ!」


 そう言うとかえではその場にしゃがみこんだ。


「少佐!大丈夫ですか!」


 心配した誠はかえでに手を貸した。かえでは頬を赤く染めながらよたよたと立ち上がると内また気味に立ち上がった。


「何でもない。リンは知っているが今の君は知る必要が無いことだ。なぜ僕がこんなに何度も君に幸せを与えられて……!うひ!」


 今度はかえではのけぞった。さすがの誠も異常を感じて隣に立つリンが手にしているリモコンに気付いた。


「渡辺大尉。何をしているんですか?」


 誠は嫌な予感がしてリンに向ってそう尋ねた。


「これですか?バイブのリモコンです。今、誠様のアレをかたどったものがかえで様の前後に入っています。それをこれで調整して……」


 リンは表情も変えずにとんでもないことを口走った。


「あんた等!職場で何してるんですか!」


 誠は思わずそう叫んでいた。


「リン……強度を下げてくれないか。さすがに射撃訓練中にそのスイッチを入れられると僕も正気を保っていられなくなる」


 喘ぎつつかえではリンに向けてそう言った。リンはその言葉を聞くとスイッチをポケットにしまった。


「かえで……二本もアレを入れたままで射撃訓練か?真面目に訓練する気あんのか?テメエは」


 かなめもさすがに妹の異常行動に呆れてそう言った。


「お姉さま。心配してくださるんですね。通常勤務の際は僕はいつもこれを入れたまま仕事をしているが……何か問題でも?」


 平静を取り戻したかえではそう言うとかなめを甘い瞳で見つめた。


「変態だな……オメエ……調教したアタシでも引くわ」


 かなめはそう言って一歩引き下がった。


「この前後に神前曹長のアレを感じつつ仕事をすると能率が上がるんだ。ああ、神前曹長との法術戦訓練の際にもこれはつけたままでやっているよ。これを外さなければ対応できないくらいになれば君も一人前だね」


 前後に誠の自分でも市販しているバイブより一回り大きいアレが入っていることを想像して誠は興奮していた。


「神前!馬鹿と付き合うのはいい加減にしろ!射場だ!急ぐぞ!」


 ショットガンからやはり性的な話題に移ろうとしたかえでを見たかなめがそれに聞き入る誠の襟首を掴んで廊下へと引きずっていった。かえでもその様子を見て微笑みを浮かべるといつもの無表情を浮かべているリンと初めて見るショットガンを珍しそうに弄っているアンを連れてかなめの後に続いた。



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