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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第四章 低殺傷兵器(ローリーサルウェポン)
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第21話 二機の『超兵器』

 ハンガーでは修羅場の様相が展開されていた。部隊長の嵯峨曰く『上から押し付けられた』と表現される高性能機の運用状態へ持ち込むための整備手順の確認訓練がいまだに続いていた。司法局実働部隊の制式採用機である『05式』よりもより古代遼州文明が使用していた人型汎用兵器に近いとされるオリジナル・シュツルム・パンツァー『武悪(ぶあく)』と『方天画戟』の姿が有った。


 たった二機増えただけだと言うのにハンガーを走り回る技術部の技師、島田正人准尉の部下を叱る怒声はいつもよりもはるかに鋭く感じられた。


「お疲れさんです!」 


 誠は寮長を兼ねている島田に頭を下げた。島田はそれを見るとにんまりと笑いながら駆けつけてきた。


「おっ!皆さんおそろいで。あれですか?あの面倒な銃の練習ですか?俺達整備班はこいつ等の処理の関係でその銃の練習は免除なんでねえ……楽しちゃってすいません」 


 島田は媚びるような調子でヤンキーである島田を上回る暴力馬鹿のかなめに声をかけてきた。


「なんだよ、お前等には関係ねえだろ?だったらとっとと消えろ!仕事しろ!仕事!」 


 さすがに死にそうな表情で作業をこなしている部下に背を向けて声をかけてきた島田にかなめは呆れたようにそう答えた。


「西園寺さん。西の野郎はショットガンは撃ったことがねえって言うんでアイツだけは後で撃たせる予定なんで。そのこともありましてね」


 喫煙場所でもないと言うのにタバコを取り出した島田がかなめにそう言って笑いかけた。 


「へえ、西の野郎以外は撃ったこと有るんだ……知らなかったわ。まあ、射撃訓練は整備班も課せられてるし、閉所戦闘訓練もローテーションでやってくるくらいだから当然か」 


 かなめの声に島田は頭を掻いて周りを見回した。島田の言葉が聞こえたと思われる隊員はさらに続くだろう二機の手のかかる機体の整備作業を想像したらしくげんなりした表情で機材の影に消えていった。


「おい!西園寺!何ちんたらやってんだよ!」


 ランの怒鳴り声がハンガーに響く。かなめは舌を出すとそのままランのところに急いだ。


「神前、お前も呼ばれてるみたいだぞ」


 二人の会話に呆然としていた誠に島田が声をかける。誠も我に返って島田を置いて技術部の詰め所が入っている一階のフロアーに駆け込んだ。


「西君もやるんですか?あの制圧兵器とか言う奴」 


 誠の問いにかなめはただニヤニヤ笑うだけだった。そして先頭のアメリアは小火器の管理を担当する下士官のいる技術部第二分室の扉のドアをノックした。



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