第19話 空気を読まない闖入者
「皆さーん!元気して……無いわね」
沈鬱な雰囲気を破って現れたのはこういうときは必ず現れると言っていい運航部の騒音製造機と呼ばれているアメリア部長だった。
「なんだ?オメーがここに来る用があるのか?」
当然のように重い面持ちのランの言葉にアメリアは入り口で固まる。
「いやあ……銃器担当が制圧用兵器の試射をかなめちゃんに頼めないかって言われて……会議中?結構煮詰まってる?じゃあ気分転換しないと!」
真剣なランにもアメリアは動じることが無かった。しかも元々かなり目つきの悪い悪童という感じの視線ににらまれるとさすがのアメリアも回り道せずに用件だけを口にするしかなかった。だがそれまでの憂鬱な空気にうんざりしていたかなめはやる気十分で立ち上がっていた。
「ぐだぐだ考えるのはちっちゃい姐御とひよこに任せるわ。アタシは自分のできることをするよ」
明らかに会議が嫌いだから抜け出しますと言う宣言に近いかなめの言葉に一同はあきれ果てた。
「ほー、言うじゃねーか。まあ一応気にかけといてくれってことだ。今回の事件は法術がらみだが初動捜査が東都警察が仕切っているからな。アタシ等の出る幕がねーほーがいいんだ」
そう言うとランは立ち上がった。ひよこは自分の講義が中途半端に終わったことが不満なようで手にした小さなディスクを机の腕でくるくると回していた。
「おい!オメエ等も来いよ!」
入り口で叫ぶかなめを見てカウラと誠は顔を見合わせた。
「オメー等も来い。こっちの実演の方がアタシ等には重要なんだから」
戸惑っていた誠とカウラにランが声をかけてきたので二人は渋々席を立った。