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第15話 法術を乗っ取る法術

「それじゃーねーよ。意識云々の話は能力の強弱であってここで言う能力の種類とは違うんだ。それとなんでこの第二の演操術が分からなかったかと言う理由もそこに有るんだ」 


 ランはそう言うと静かにカウラの居れたお茶を飲んだ。


「もったいつけるじゃねえか。ずばり言えよ」 


 短気なかなめはタンクトップの下から手を入れて豊かな胸の下の辺りをぼりぼり掻いている。思わず目をそらす誠にむっとしたような表情のカウラが映って誠も視線を落とした。


「ふー。まー分かりやすく言うと他人の能力を乗っ取るんだ」


 しばらくランの言葉が理解できずに誠達は黙り込んでいた。 


「どういう意味ですか?」 


 首をひねるカウラに少し笑みを浮かべてランは口を開いた。


「つまりだ、標的とする法術師の能力を借りて自在に操る。まー他人の褌で相撲をとるって奴さ」 


 ランはそう言うと自分の胸に手を伸ばしてきたかなめの頭を思い切り叩いた。


「何すんだ!テメー!」 


 ランはパンツを履かない『褌党』を自称していたのでその(さらし)を巻いている胸を触られることを極端に嫌う傾向があった。


「いやあ褌とか言うと面白くってさ。褌と言えば姐御じゃん。姐御は褌に晒に着流しが正装だからな」


 かなめは心底面白そうにランに向ってそう言った。 


「だと何でアタシの胸を触るんだ?」 


 突然のかなめの行動にランは顔を赤らめた。そして同じように手を伸ばしてきたアメリアをその凶悪そうな瞳でにらみつけた。カウラはなんとも複雑そうな笑みを浮かべながらランが落ち着くのを待って口を開いた。


「馬鹿は置いておいて。つまり、法術の存在が広く認知されるまではその能力そのものが見つからなかったわけですね……例の意識乗っ取りタイプの通り魔のように法術師を飼っている勢力が絡んでいる可能性は少ないと」


 カウラは冷静に話を聞いていて正確にそう言って見せた。


「そー言うこった。法術だけを研究している間はそれぞれの能力の関係なんて気にもかけてなかったからな。能力が存在すること自体が不思議だった時代にはそれを利用してしまう力があるなんて考えもつかないだろーしな。となるとまったく未知の能力だ。見つかった事例も東和で二件ほどだ……ああ、その二人についてはアリバイがあるから今回の事件とは無関係だからな」 


 落ち着いてつぶやくとランは立ち上がった。


「ここでグダグダ話していても始まらねーよ。飯食って本部で話そうや」 


 そんなランの言葉に誠達は時計を見た。ちょうど今日の朝食当番の西が得意の味噌汁に仕上げの隠し味を入れている時間だった。


「じゃあ食堂に行くか?」 


 かなめは切り替えが早いのでそう言って起き上がった。


「西園寺さん、何で疑問系なんですか?食べますよ僕も」 


 仕方なく立ち上がるかなめについて誠も立ちあがった。アメリアはすでにドアに寄りかかって誠達を待っていた。


「それにしても他人の力を勝手に使えるってんだろ?最強じゃないか、考えてみたら」 


 かなめのつぶやいた言葉に誠もうなずいた。そしてそうなれば自分の空間操作能力も利用されるだろうことを考えてそれをどう使うつもりなのかを考えてみた。


「そいつが最強だろうが最弱だろうが今のアタシ等がすべきことは飯を食うことだ。とっとと行くぞ」 


 そう言うと気軽に手を振ってランが廊下に出て行くのに誠達は付き従った。



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