3日目~5日目
どの体で何をどれだけ出来るかの確認は出来た。
能力値や潜在能力の使い方についてはそのままの数値の可能性がある。1日に1回確認する程度で良いだろう。
確認は終わった。今日やることはもう無い。強いて挙げるならまた水撒きをするか魔法のコントロール練習をするか、そのぐらいしか無い。
………………。
「寝るか」
1度ドリアード体を消し、本体の上に改めて肉体を出す。
幼木で頼りない足場だが、どうやらドリアード体の重さで本体が折れるということは無さそうで、しかも安定感を持って比較的太めの枝を足場にして本体の頂点付近に立つ。
正確な時間はわからないが、お天道様はほぼ真上。人間であれば暑いと感じるだろうその太陽光のなんて心地良いこと。前世でも経験出来なかった気持ち良さだ。
やはり植物にとって太陽光が大事というのはこの身のおかげでよくわかる。
ドリアード体を維持出来なくなるか、それともこの心地良さに気持ち良くなって寝てしまうか。どちらかわからないが、その心地良さに身を任せ、気付けば日が落ちていた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
意識が覚醒する。恐らく3日目になった。
やっぱり2日目は諸々の確認が終わった後は何もせず、気付けばドリアード体すら消して、太陽光の気持ち良さと地中に含まれる養分を吸って気持ち良くなって、夜でもないのに本当に寝てしまった。そして気付けばよく朝だった。
人間も疲れた日やその翌日は眠くて仕方ない時が有る。前日に死に掛け、その翌日も栄養が少し足りてないような状態だったことを思えば、疲れても不思議はない。植物も疲れるのかもしれないと知れただけ良い意味で時間を無駄にしたと言える。
今日は何をしようかなんて考えつつ、ステータス画面の備考欄を見ながら今日も今日とて水撒き。
幼木は成長していない。やはり進化したからただの雑草から幼木にまで育ったのかもしれない。
水撒きは昨日の半分ほどの時間で終わった。
俺が水魔法の扱いに長け始めたからなのか、それとも本体が魔法力を回復しやすい場所に根を到達させたのかは定かではないが、少なくとも目に見えるほどに水撒き用の水を行使するまでが速くなった。
その日はその後、土魔法の練習を行った。
根がもし病気を持ってしまった際、自切可能か、自切が難しくとも自由にその根をある程度動かせるようにならないかと期待と打算を持っての練習だ。
もしも自切出来たなら、例え自切出来なくともある程度自由に動かせたなら、もっと根を張るのが楽になりそうだから練習するに越したことはない。
3日目は土魔法のコントロール練習を行い、4日目。
4日目は光魔法の練習を行った。
やはりドリアード体でも本体でも光魔法は操作性が難しい。またも力加減を誤り張っている根を露出させてしまった。
前日に土魔法を練習していたおかげで、比較的早く根を日の光から隠せた。今後は光魔法より土魔法の練習を優先した方が良いのかもしれない。
5日目。前日の考えの下、水撒きの後には土魔法の練習を行った。
5日目は水撒き用の水もただ水の塊をジョウロをイメージしながら流すのではなく、鎌や桐や斧のように形作ってからそれを地面に突き刺すことで水撒きを行った。ただ要らないことをしてしまったせいで地面は移動しにくいほどボコボコになってしまった。
土魔法については直前の水魔法のことも含めて前日までのことを反省し、むしろ剥き出しにしてしまった根やボコボコにしてしまった地面を馴らす為の練習を行った。これがまたかなりコントロールと出力の加減が難しく、ドリアード体でやれば比較的思うようにコントロール事態は出来た。その分動かす土の量は両手で片方ずつ掴んだ時ぐらいの少量だったが。
反対に本体では地中からのアプローチしか出来ず、結局最後はドリアード体で整えるような結果になってしまった。
魔法って難しい。