105日目その3
攻撃の主が俺とバレた時点で直ぐ様最初のプランに切り替える。即ち土魔法による拘束からの光魔法による攻撃だ。
奇襲による攻撃が失敗に終わった時点で悪足掻きだと感じつつも、彼等の迎撃を諦めない。諦めたらそこで終わりだろうから。
悟られないよう、直前まで土魔法は使わない。なんなら光魔法を撃った直後か直前に足止めで使う。それ以外に俺に術は無い……!!
彼等はゆっくりと、確かな足取りでこちらに歩いて来る。
矢鱈目鱈に光魔法を使っても彼等には恐らく意味は無いだろう。たぶん、彼等は鍛えてる。前世で言えば太った人間とアスリートの人間ぐらい俺達と彼等の間には実力の差が有るだろう。根拠はないが、少なくとも俺にはあの溜めに溜めた光のビームは視認出来ないほどの速さだった。しかし彼等はほとんど被害を出さずにそれを避けた。潜在能力まではわからないが、現在のスペックは向こうが明らかに上。
徐々に歩いて来て、いよいよ泉の端に到達しようかというタイミングで仕掛けた。
光魔法を発射するのとほぼ同時に土魔法で彼等の体を拘束する。拘束が全身には届かなかったとしても、せめて足首だけでも一瞬拘束出来たならそれで良い。
そんな想いで発動した2つの魔法は、幸い両方とも成功した。
見事彼等が土魔法の拘束によって倒れるのをこの目でしっかりと確認した。
勝った!本当にそう思った。
しかし現実は非情だ。またも彼等は生きていた。今度は泉のこちら側に姿を確認した。
流石にここまで接近されたなら、拘束がどうとか言っていられない。そこからは無我夢中で光魔法を発射し続けた。時々水魔法も撃っていた気がする。ドリアード体を出していない筈なので本当に撃てたのかは甚だ疑問だし、錯覚かもしれないが、とにかく魔法力の許す限り彼等の姿が無くなるまで狙いなんて関係無く、撃ったその先の根とか関係無く、とにかく撃ち続けた。
撃って撃って撃って撃って撃って撃ち続けて、遂に強制休眠に入る直前まで魔法力を使い果たした結果、結局は自分の根と周囲の地面を荒らすだけに終わった。
彼等はそれ程までに強かったらしい。
あぁ、これでこの第2の理想の生も終わるのか。
そんなことを思いながら、近付く彼等を眺める。
本当に当たらなかったのか、それとも当たっても俺の攻撃なんて効かないのか、彼等に傷のようなものは1つも無かった。有ってもそれは古傷のようだったし、その古傷を開くことすら出来ないらしい。
遂に彼等が俺達の前に到着する。
目の前で話し始めるが、やはり何を言っているのかは相変わらずわからない。
「─────、─────────、─────?」
「────────。────」
「──────────────……」
「────────────?────────────────」
「────────────────────。────」
男の方が会話を止め、明らかに俺達に話し掛けて来る。しかしその内容はやはり理解出来ない。
もう終わるのだからスキルを獲得しても良いような気もするが、この話してる内容を理解出来たところで果たして意味は有るのか……。
「────────────?」
「…………。───────」
女の方が急に屈んで、地面に絵を描き始めた。
見ると、木のような物から人のようなものが出てきている絵だった。理解出来たのはそれぞれの絵がなんなのかを指差しで教えられたからだ。
それを見て何を言いたいのか理解出来た。どうやら彼等は俺の存在を把握している。だから彼等はこの期に及んでもまだ俺を始末しないのだろう。
つまり彼等が始末したいのは俺という存在そのものなのか?




