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40日目~53日目


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 彼等は現れると同時にこちらを観察するように見てきたあと、その場に何かを埋め始めた。


 目を凝らしよく見れば、それは何かの種のようだった。ほぼ等間隔で土を掘り、その中に何かを入れる素振りをして、土を埋めて、何処かから持って来たらしいコップのような容器に手前の泉の水を汲んで、それをその埋めた場所に手を仲介して土が飛ばない程度に掛ける。これをだいたい5メートル四方ほど埋め終わると、またも何処かへと消えた。


 しかしまたも現れた。今度は大きな木の幹をそれぞれが1本ずつ担いでだ。

 それを消えては担いで戻ってきて、消えては担いで戻ってきてと、合計20本ほど繰り返した後、それ等を俺達の前へと持って来て、たぶん祈って来た。たぶんなのは、その祈り方が前世で1度も見たことの無いものだったからだ。でもアレは彼等なりの祈りなのだろう。

 何を祈っているのか、なんで祈られているのか、皆目検討が付かず困惑の渦だったが、満足したらしい彼等はその木材達を泉の外へと運び、畑の場所を囲うように配置だけして今度こそ完全にその場から消えた。


 これだけ何度も目の前で消えたり現れたりされれば、彼等がいわゆる瞬間移動の術を持っていることは明らかだった。

 つまり、尚のこと彼等に俺達……というより俺の存在を知られる訳にはいかない。もし知られれば、恐らくほぼ確実に攻撃される。

 向こうは縦横無尽に瞬間移動して攻撃出来るのに対し、俺はこの場から動くことが出来ない。相性最悪だ。

 もう1つ最悪なのは、これまで訓練として行っていた土魔法による拘束が見込めなくなったことがかなり痛い。あぁやって瞬間移動をされるのなら、拘束するだけの無駄と言って良い。光速の攻撃である光魔法による攻撃も、瞬間移動の前では避けられて終わりそうだ。


 万策尽きた。

 幸い彼等はどうやら俺達を信仰の対象にしたらしい。だから尚のこと俺の存在を知られる訳にはいかない。

 今後は尚更、本体と俺とで使えるスキルが違う問題を解決して本体だけでも全てのスキルを使えるようにしなければならなくなった。


 この日から、彼等の影に怯えながら、本体と自分との境界を無くす意識が強くなった。



 40日目~53日目。彼等は毎朝現れた。畑の水やりのためなのだろうが、こちらとしては良い迷惑だ。自由に散歩することも出来ない。神出鬼没だから、散歩や本体の調子を確かめている最中にでも現れられて、俺の存在を目撃されればどうすることも出来なくなる。

 移住しようとしているみたいだが、是非とも止めていただきたい。もしも本当に移住するのなら、どうか俺が知覚出来ないほど遠くで竜人としての営みを行っていただきたい。

 彼等は水やりを終えると、こちらへと向かって祈るとまた何処かへと消える。今後はこれが毎朝のルーティンになりそうで、辟易とする。


 彼等が毎朝ここを訪れ、彼等の水やりと祈りを見届け、彼等が去るのを確認してからようやく俺の朝が始まる。

 彼等がここを訪れるのは毎度決まった時間ではない。だから彼等が来てからようやく俺の1日は始まる。


 そんな日々を2週間ほど経った頃、畑の作物だろう物が芽吹いた。



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