31日目
31日目に俺が目を覚ますのと竜人の2人がここを発つ準備をしていたのはほぼ同時だった。
目を覚ますと同時に彼等の行方を探ると、例の焚き火跡で火の処理をしている途中だった。
火の処理と言っても、近くに燃えるのは俺達ぐらいのもので、あと有り得るとしたら砂塵や花粉なんかの目で視認が難しいほど細かなものぐらいだ。だからそのまま放置していればいずれ火は勝手に消える筈だが、彼等は地面を掘ってその土を被せていた。
放っておいても自然に消えるだろう焚き火を放置して発っても良い筈なのに、きちんと火の処理をしてから発とうとしているのはとても好感が持てた。それは俺が植物ということも有るが、純粋に前世からの俺としてもだ。
たまに居たんだ。私有地なのに俺の山にズカズカ入ってきて勝手にバーベキューをやって、火の処理も行わず放置して、勝手に木を伐採して伐採した木を組んでキャンプファイアをやった度しがたい若者達が。
1番危なかったのは早い発見と早い対応と見つけてすぐにご近所さん──と言っても1番近い家屋まで徒歩1時間──達に協力をお願いしたおかげでなんとか小火騒ぎ程度で済んだが、対応が間に合わなかったら普通に我が家含め大きな山火事になっていたという事件があった。
ちなみにその若者達は両親の帰省に着いてきた基本10代思春期真っ只中の子供達。最悪だったのはその若者達の中に未だにご近所さんの家で住んでる20代半ばの子や、その帰省してきた大の大人が数人混じっていたと発覚した時は目も当てられなかった。
当然参加した大の大人達は実家を勘当され、参加した若者達の両親達も冠婚葬祭以外での帰省は今後無しという沙汰が下ったらしい。
これを知っているのはそういう沙汰を下したと村長さんが直々に頭を下げに来てくれたからだ。最悪なのは、その村長さんの身内が件の20代半ばの子や子供達の親達だったことだろう。村長さん、大切な我が子が死んだってぐらい悲痛な表情をしていた。
閑話休題。
そんな経験が有ったため彼等のその処理には素直に感心した。しかも処理の仕方が雑に土を被せるんじゃなくて、確実に消えるように上から土で埋めるように被せていたのは日頃からそういう火の処理をしているのだろうと伺い知れて、彼等の人間性を知れた気がした。
火の処理が終わると同時に、彼等は何かを話した直後、その場から身を消した。一瞬だった。片時も目を離していなかったし、輪廻転生を果たしてドリアード体を出していない時の俺の視野は360度全方位を知覚出来る。にも関わらず完全に姿を消した。
俺が視認出来ない速度で動くことで姿を消したのかとも一瞬考えたが、前述の通り視野は360度全方位知覚出来る。半日近くそんな動き続けられる筈も無いため、本当に姿を消したのだと空が朱くなり始めた頃に理解出来た。




