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ジョアンナ・ヴァン・ヘルシング ――The Vampire Queen  作者: 青い水


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18/30

さらわれたドロレス

かつての思い人、自分を眷属に選んでくれた恩人、そんなフランツ・リストを目の前で殺されたカロリーヌ。つい思いが募ってAIに作画をお願いしてしまいました。しばしばガイドライン的にやばいのか,拒絶されましたが、そこは青い水(飲めない食えない)なので何とか丸め込んでやりましたよ。


「何だって!屋敷の前でヴァンパイアを倒したって!?」アーサーはエミリーの話を聞いて度肝を抜いた。

「一匹逃がしたけどね。」エミリーは平然と答えた。

「で、死体は、死体はどうした?」

「下男たちにお願いして庭に転がしてある。」

「大変だ、もし人間だったら殺人事件だ。」アーサーは慌てふためいている。

「人間じゃないよ。逃げたやつは半透明になって飛んで行ったし。」

「ともかく医師に鑑定してもらおう。そうだ、ジョンに電話だ。」

「武装してたときに出会って良かったよ。ドレス姿だったら噛まれてお陀仏だったかもしれない。しかし屋敷のすぐそばまでやって来るなんて、警備態勢を強化しないと。」



 ケンジントン、ヴァンパイアの拠点。


「何ですって?リストが...!」泣きじゃくるカロリーヌの報告を聞いてジョアンナは絶句した。「あのリストが、こんな、こんなことで…!」ジョアンナは信じられないといった表情で、カロリーヌの肩を掴んだ。その目は怒りと悲しみで紅く染まっている。


「フランツは私をかばって撃たれたのよ。フランツを撃った女...許さない。必ず、必ず復讐してやる!」カロリーヌは震える声で叫んだ。その小さな体から、抑えきれないほどの憎悪が溢れ出ている。


「落ち着きなさい、カロリーヌ。」ジョアンナはカロリーヌを抱きしめ、優しく背中を撫でた。「怒りに我を忘れてはいけません。リストの仇を討つためには、冷静な判断が必要です。」


 カロリーヌは人間だったときのことを思い出していた。憧れのピアノの先生。自分と同い年なのに、すでにステージの花形だったフランツ・リスト。その彼にピアノを教えてもらい、そして秘密の関係も持てた。友人たちに隠していたその関係は彼女の誇りだった。そして、その彼に選ばれて眷属にしてもらった。記憶をたどるごとに深い喪失感がカロリーヌを苛む。さっきまで火のように燃え上がっていた悲しみと怒りが、今は彼女の心を冷たく凍らせた。


挿絵(By みてみん)


「..してやる。殺してやる。これ以上ないような惨めな死を与えてやる。」カロリーヌは唇を噛んだ。


「リストは私たちにとって、かけがえのない仲間でした。作戦では卓越した手際の良さを見せ、団らんのときには優雅なピアノ曲で私たちを慰めてくれました。そんな彼の死を無駄はできません。復讐を、犠牲の何倍もの復讐を果たしましょう。」ジョアンナはカロリーヌの目を見つめ、優しく言った。「私たちには、エレガントに、綿密な計画の元で仕留めるという流儀があるでしょう?協力してくれるわね?」


ジョアンナは静かに周囲を見渡した。部屋には、他のヴァンパイアたちが集まっている。皆、悲しみと怒りを押し殺したような、重い表情をしていた。


「皆、聞くのです。」ジョアンナは低い声で言った。「リストは、私たちのために命を落としました。彼の死を悼むと同時に、私たちは立ち上がらなければなりません。あのガンマンの女...彼女は私たちヴァンパイアにとって、決して許すことのできない存在となりました。彼女を始末し、二度とこのような悲劇が起こらないように、私たちは行動を起こします。」


 ジョアンナの言葉に部屋の空気は一変した。悲しみは静かな決意へと変わり、それぞれのヴァンパイアの瞳に新たな光が宿った。


「ゴダルミング家の情報が必要です。屋敷の構造、警備体制、使用人を合わせて屋敷に何人常駐しているか。徹底的に調べなければなりません。」



 ゴダルミング家、裏庭。ジョン・セワードとヴァン・ヘルシングがリストの死体を検分している。


「脈もありませんし、体温も地表と同じです。死体でしょう。」セワードが確認した。

「ふむ、倒れて意識を失っているが、絶命というわけではないな。」ヘルシングが言った。

「そうなんですか?」セワードは驚いて聞き返した。

「ヴァンパイアだからそもそも脈や体温はない。奴らを動かしているのは血管内にある魔血球の働きだ。銀の弾丸はその魔血球を凝固させる。弾丸が取り出されればまた動き出すだろう。」ヴァン・ヘルシングは顎を撫でながら説明した。

「どうすればとどめを刺せるの?」興味深げにエミリーが尋ねる。

「なに、いつもの古典的な方法さ。心臓に杭を打ち、首をはね、火をかけて燃やす。」

「ではとっとと始末してしまおう。仲間にさらわれたら大変だ。」アーサーが下男に指示を出した。

「死体は残らんと思うが、念のため教会から聖水と聖餅をもらってきてくれ。」ヘルシングは女中を呼んで手配させた。「おっと、さらに念のためだ。処置が終わったら、聖職者に祈祷をお願いしよう。」出かけようとした女中を呼び止め、用件を伝えた。



 ケンジントン、ヴァンパイアの拠点。


「そうですか、アーサーには妹がいるのですか。」報告を聞いたジョアンナが残酷な笑みを浮かべた。「まずその妹を殺してやりましょう。どうせ一族皆殺しにするのです。誰かが最初の犠牲にならなければなりません。ドロレスというその妹、定期的に外出することはありますか?」

「毎週火曜日か水曜日に音楽のレッスンに行っています。」エイダが記録に目を通しながら答えた。

「護衛やお付きは?」ジョアンナが険しい目で尋ねた。

「護衛2人に女中が1人。護衛はおそらく武装しているでしょう。」

「なるほど、ならば作戦は慎重に進めなければなりませんね。」


 ヴァンパイアたちはざわめいた。皆、作戦実行に参加したくてたまらないようだ。


「静かに!」ジョアンナが静かな声で注意を促すと、一同は水を打ったように静まりかえった。

「失敗は許されません。確実に仕留めるためには...」ジョアンナはしばらく思案すると何かを思いついたように目を輝かせた。「そうだわ、何も最初から殺してしまわなくても良いのだわ。奴らに苦しみと悲しみを与えるために、その娘を人質にしましょう。」


エイダが記録を手に近づいてきた。「ドロレスのレッスンの場所は確認済みです。次の火曜日、彼女が出発する時間とルートも把握しています。ですが、ジョアンナ様、2人の護衛ですが、どちらも相当な手練れのようです。迂闊に手を出せば、我々も被害を受ける可能性があります。」エイダが懸念を示した。


「私が行きます。フランツの仇を...」カロリーヌが固い決意で手を挙げた。

「いけません。あなたは昂ぶっている。危険です。」ジョアンナは有無を言わさぬ威厳で彼女を制した。


「計画実行は3人。2人は護衛を無力化。1人がドロレスをさらう。女中は好きにしなさい。護衛を無力化するのはバイロンとワイルド。おそらく銀の弾丸の銃で武装している護衛に対抗するため、2人には武器を渡します。まず煙玉。これは煙だけじゃなくて最初に激しい閃光を発生させて一時的に視覚を奪います。次に発生する闇の煙幕で敵はあなたたちを視認できなくなるでしょう。でもヴァンパイアのあなたたちはよく見える。そしてこれはミスリルの鞭、5メートル先まで伸びるわ。これで銃をたたき落とすか絡め取りなさい。武装を外したら,鞭で拘束して牙を刺し込みなさい。ドロレスを誘拐するのはエイダ、あなたに任せます。サロメでは興奮して噛み殺しかねませんからね。」ジョアンナは最後に言ったことがおかしくてついくすっと笑ってしまった。

「私、そんなはしたない真似しませんよお。」サロメはふくれっ面を見せた。



さて、武器を手渡されたバイロンとワイルド、そして冷静なエイダ。次回はどうなるのでしょう。結構力作だと思うのですが、プロローグが悪かったのか、PVが伸びません。でも、書いていて楽しいから良いかな。

楽しすぎてタイトル入れるのを忘れていました。

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