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1-8.アルカナ教会-客間-

私達は客間で座っている。

客間はテーブルが一つあり、ソファーが迎え合うように二つ置いているという簡素なつくりだ。

司祭様はお茶を入れてくれている。私がすると言ったのだが、

..........................

「ここは客間でロスト君はお客さん、それだとロスト君が連れてきた君もお客さんということになるだろう?」

「何ですかその謎理論」

「まあまあ座ってなさい、君にはテストを任せちゃったし、ゆっくり休んでなさい」

.........................

と押し切られてしまった。

...私押し切られることが多い気がする。気を付けないと

「美波」

隣に座っていたロストが声をかけてくる。

「どうしたの」

「...なんで隣同士なのにこんなに離れてるんだ」

私とロストの間には一人分くらいの空間ができていた。

「...天使の時は悪かったと思ってるけど、まだ貴方を完全に信用してるわけじゃないから」

「手厳しいな」

そんなことを話していると、客間の扉が開く、やっと司祭様が戻ってきたか

そう思ったが、入ってきたのは加奈だった。手には煎餅やチョコレートが入った小さなかごを持っている。

「美波、お茶菓子これでよかった?私はもうちょっとバリエーション増やした方がよかったと思うんだけど」

「...なんであんたが持ってくるのよ。肝心の司祭様はどこ行ったの」

「僕はここだよ」

加奈の後ろから司祭様が現れる。司祭様と加奈が中に入ると、加奈は私とロストの間に座る。

「なんでここに座るのよ」

「え?そのために開けてくれてたんじゃないの?」

この天然は...

「まあまあ、ロスト君、紅茶と牛乳どっちがいいかな?」

司祭様が私と加奈の前に紅茶を置く、ロストは少し考えた後、

「どっちも飲んだことがない。だが、二人が飲むなら美味しそうだから、二人が飲んでいるやつをくれ」

と言った。司祭様はその答えは予想外だったようで少し驚いたような顔をしていた。

「なるほどね、面白い答えだ」

いつもの調子を取り戻したように笑うと、紅茶を2人分入れ、ロストの前に置いた後、入れたもう一つを飲み始めた。

「さてと、何から説明しようか...まずはタロットカードの事からかな」

司祭様が加奈に視線を送ると、加奈がタブレットをテーブルの上に置く

「タロットカードは人の願いから生まれたカード...タロットカードを手にした人間に、その願いを叶えるための力を与えるカードだ」

タブレットには、『愚者』のカードが映し出されている。

「このカードは1番最初に見つかったカード、別名『the fool』このカードに込められた願いは、『自由』になりたいという願い、さて、問題だ。このカードを無期懲役の囚人が手にしたとき、どんな能力が発言するでしょうか」

「テレポート能力だろ」

「...正解頭いいね」

司祭様がタブレットをスライドさせる。そこに映し出されたのは、崩れたトンネルの画像だった。

「愚者のカードが最初に見つかったのは、夕張市のある炭鉱。そこの復興作業中に見つかった。最初に手にしたのは、普通の作業員だ。だが、彼の自由に対する願いは強かった。愚者のカードを手にした瞬間、彼の体から翼が生え、壁や地面をすり抜けて飛べるようになった」

司祭様がまたタブレットをスライドさせる。すると、一昔前のネット記事のスクリーンショットが出てきた。

タイトルは『UMA現る!?』...時代が二つくらい違う気がするタイトルだ。

「最初これは噂程度のものだったのだがね、その4カ月後、北海道で未確認生物が沢山見つかった。不思議に思った北海道知事は、UMAが見つかったところに警察に調査に行かせた。そこで発見されたのが、この生物だ」

またスライドさせる。だが、私も加奈も少しびっくりしてしまった。

そこにいるのは、今現在も私達を悩ませている化け物、

ラバーズの存在だった。

ラバーズはある村に堂々と居座っていた。

ラバーズは王冠を被っており、蝙蝠のような翼をはやしている。

それに恐ろしいのは、ラバーズの顔には人間の顔が四つもついていることだ。

男と女の顔がそれぞれ二つずつ、全員が笑っている。

それに写真に写っている家には、美男美女の顔が数えられないほど飾られており、それぞれの顔がラバーズを見ている。

まるで、ラバーズに魅了されているような顔をしていた。

ロストも少しは気持ちがると思っていた。だが、彼は真顔で

「こいつは美波の話では銭函にいたのだろう」

「ああ、そうだよ」

「あそこは札幌の近くだっただろう。どうして誰も気が付かなかった」

と疑問を吐いた...肝が据わりすぎてないだろうか

だが真っ当な疑問だ。当時復興作業が行われていたとはいえ、札幌は五大都市、災害があって2年くらいで札幌の住民は生活できていたし働いていただろう。

ならば、こんなまさしく隣にいる怪物に誰も気が付かないで生活していたということになる。

私が司祭様の方を見ると、司祭様がにやりと一瞬笑った。

すぐ、いつもの顔に戻ると

「それはとても簡単な事だよ。この生物を見た人間全員が魅了され、自分からラバーズについていったからだよ」

とまるで簡単な事かのように答えた。

ロストは少し考えると、

「ならば私達には討伐できないだろう。見ただけで魅了されるのだから」

と言った。その答えに対して神父様は待っていたかのように

「それは大丈夫、君たち能力者には効かないからね」

と答える。まるで若手の教師みたいだ。

「ならば、お前たちでさっさと討伐すれば...ああそうか」

ロストは考える。そうだ、この教会にいる能力者は全員が小アルカナ持ち、大アルカナを持っている奴はいない。

「小アルカナだと大アルカナに対応できないのか」

「congratulation」

司祭様は少し拍手する。いつもやっているが何かの芸だろうか

「そう、私の教会にいる能力者は全員が小アルカナ持ち、大アルカナとは、レベルが100以上違う。

ラバーズには傷すら与えられない」

「ちょっと待て、あの天使も大アルカナだったんだろう?ならなぜ美波は攻撃できたんだ」

「それは私が小アルカナのクイーンにあたるカードを持っているからだよ」

ロストは『何が違うんだ?』と言いたそうな顔をしている。

「何が違うんだ?」

言った。それに私ではなく司祭様が答える。

「小アルカナにはね、数字が書かれている。小アルカナの数字が大きいほど力が強いんだ。彼女はソードのクイーン、大アルカナにダメージを与えれるカードなんだ。」

「そう、他にも大アルカナにダメージを与えられるのは『ペイジ』『ナイト』『キング』があるんだけど、まあややこしい話はまた今度するわ。つまり、私はあいつらに攻撃できる手段だけは持っているって事」

まあだが、手段を持っている所で、攻撃するまでの過程で殺されることがほとんどだ。私の兄もそうして殺された。つまり

「つまり攻撃する手段は持っているが、大アルカナと違って特殊な能力がないから、攻撃する前に、特殊な能力に大体やられているってことか」

「そういうことね」

「そう、私達が小樽から札幌に行けない理由もそれだ」

「ん?待てよ、なら海を渡っていけばいいじゃないか」

「残念ながらそれも叶わない。少しでも持ち主が死に、タロットカードは消滅してしまうんだ

そして他の誰かの下に行ってしまう。だから私たちは動けなかった。だが、君が現れた。」

司祭様がタブレットを持ち上げる。しばらくたちタブレットを再びテーブルに置くと、先ほど見た翼が生えた作業員の写真が写っていた。

「この作業員、君たちが倒した天使の化け物の生前ということが判明した。つまり君たちは、力を合わせることで大アルカナを討伐できることが判明した。そこで君に最初にする指示は」

タブレットが勝手に切り替わる。そこに映し出されたのはラバーズの身長や体重、能力を推測したデータだった。

「君たちにはラバーズを討伐してほしい。そして私達は札幌に拠点を移動する。」

ラバーズの討伐、それが私達チームに与えられた最初の任務だった。




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