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1-4.狐とロスト-戦いの終わり、旅の始まり-

「奴は人間に虫のような憎悪を抱いている。だが、同時にペットのような愛着を持っている」

男はそう語る。

「ということは何?あれは、私達の感覚だったら、家に来た虫が鬱陶しいから殺そうとしてるって事!?」

信じられない。私たちが虫と同等にみられてるなんて

「でもそれなら確かに辻褄があいます。遠距離から技を放つところとか」

「そう、あいつは俺達を気持ち悪い存在として認識してるからなるべく近寄りたくないわけだ。

だが、だから都合がいい」

彼は地面を指さす。そこには、絵で描かれた作戦があった。

「あいつは人間が嫌いだが、同時に好きでもある。だからあいつは見ただけで強さは大体わかるんだ。で、俺と君たちが対面した時、あいつは、俺と彼女を攻撃した。だが、彼女には全く力がないらしいな。ならあいつは、俺を恐れて攻撃したことになる。」

男は加奈を指さす。確かにそうだ。最初に私を見た後、私に向かって攻撃をし、病院を壊した。

その後、私と加奈が少し離れた位置で再開、あいつは強い奴から先に殺していくのだったら。

あいつは私から攻撃するはずだ。だが、あいつは加奈を攻撃した。

「俺が透明で彼女の隣にいることに気が付いたんだな。君たち風に言うんだったら、

 蜘蛛を倒すために追いかけていたら、そこにテントウムシとゴキブリが一緒にいる所を見て、思わずそっちを攻撃したって感じだ」

確かにそれならつじつまがあう。だが、それなら一つ疑問点がある。

「あの天使は風の攻撃で一回建物全体を壊しているわよね、なら私達三人に対して、その攻撃をもっかいすればいいんじゃないの?」

「あれはお前が教団を外に出すことを恐れたからだ。病院は、天使にとってまさに外にいた毒蛇やら毒蜘蛛やらを詰め込んだ虫かごなんだよ。だから、そいつは教団が外に出ることを恐れて」

「虫籠ごと全滅させたと...矛盾だらけね、この生物」

「それがあいつの存在なんだ、で、そんな虫籠ごと崩壊させれるでっかい能力なんて連発できない。だから、もうあいつは風の魔法を打てない」

男はまた作戦の方を指さす。

「で、この作戦だ。まずは俺が天使の視界の中心まで移動する。そして天使の視界を瓦礫の山のところまで誘導する。

 その間、美波...?でいいんだっけか」

「あってるわよ、それで」

「天使の視界が俺を向いていて、光の矢を放つ時、俺は盾を発動する。そしたら奴は十中八九、光の矢を放ってくるだろう。その瞬間、先ほどのように煙が舞う。そのすきに美波は煙にまみれて天使の視界外に移動してくれ、そして加奈はドームの残骸を触ってくれ」

「ドームの残骸って...あの盾みたいなものですか?」

「そう、俺の右の手の鏡と左の手の鏡は第3形態はドームとおおきな盾と形が違うが、第二形態の形は両方とも盾なんだ。それを利用する。

煙が上がったタイミングで、左手の盾と右手の盾を入れ替える。そして、もともと持っていた盾で

美波が上に上がるための足場を作る」

「なんだか、こんがらがってきたわ...それで」

「君がタロットカードを奪って終わりだ」

「はぁ...」

この作戦、確かにこれ以外、私達が奴を殺せる方法はないだろう。だが、問題が多すぎる。

「問題1、生物が乗った瞬間に消える足場でどうジャンプしろと?」

「身体能力が高いし狐なのだろう、それくらいやれ」

「問題2、タロットカードの位置がわからない」

「お得意の頭噛み砕きで頭を噛み砕いて、動きが鈍くなっているうちに探せ」

「問題3!そもそも頭が暗闇で見えないんだけど!」

何なのこの男!作戦も何から何までいい加減すぎる!

「...この作戦、私にできることは何もないのですね」

加奈がそう言う、まあ加奈ならそういうと思った。

加奈が私に無茶を言うときは、必ず加奈も無茶をしようとする。

それが友情であり、戦友だからと加奈は言っていた。

「貴方には役割には貴方の役割があるわ」

「でも、それだと美波にだけ無茶を言うことになるわ」

加奈は、根っからの軍人思考だ。味方に無茶をいう所もそれでいて

自分も任務のために同党の無茶をしようとするところも

「貴方はここで待ってて、私がすぐ決着をつけるから。それに貴女がそれをしてくれなかったら、この作戦は破綻してしまうわ。だから貴方の役割も大切な役割なのよ」

加奈を慰める...私も冷静になってきた。

「冷静になったみたいだな」

「ええ、確かに今の所、この作戦でしか、倒せないらしいわね」

「ああ、だからやる必要がある。」

「作戦の開始時刻は?」

「日の出の10分前だ、この作戦が失敗しても、運が良ければ生き残れる。」

「は、なにそれ、こんな作戦を立てといて、私達も救おうとしてるっての?」

「そうだ」

...やっぱり私はこの男が嫌いだ。この男は、まるでそれが当たり前かのように綺麗事を吐く

「ロスト」

「なんだ」

「あんた、私の兄貴に似てるわ。だから、私はあんたの事が嫌い」

「どうでもいい、俺はお前を救うだけだ」

「そう」

やっぱりそっくりだ

_________________________

私はカードを加えたまま、落下する。

天使は、カードを奪い取った瞬間、まるで幻のように消えてしまった。

そういえば

「着地の仕方、考えてなかったなぁ」

まあこれで終わりでもいいか


私の足は地面につかなかった。

いつの間にか、狐の姿は人間の姿に戻っていた。

「おい、大丈夫か」

目の前に男の顔...というかヘルメットがある。

どうやら私はお姫様抱っこをされているようだ。


...え?

「お姫様抱っこ!?」

私は驚いて、降りようとして暴れて、

持っていたタロットカードを、話してしまった。

タロットカードは落下する。そして、男の体にあたったかと思うと、

「うっ...」

男は、私を降ろし、倒れる。

「大丈夫ですか!?」

加奈が慰霊碑から向かってくる。

加奈が付くころには、彼の変身も解かれていた。

「...わお」

その体は、普通の男と変わらなかった。

いや、どちらかというと

「イケメン...」

加奈が思わずそうつぶやいてしまうほど、容姿と肉体が優れていた。


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