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1-11.小樽市緑-パトロール-

小樽恋課大学は緑にある国公立大学だ。

一番最初、まだ私とイレブンさんと司祭様しかいなかった時、新しい拠点を探している時に、そこの大学を拠点にしようと思っていた時がある。

そこは、食堂もあるし図書館もある。体育館もテニスコートもある。土地も大きいから畑を作ることもできる。しかも、大学自体が坂の上にあるから、化け物が来ることも少ない。

3人全員が納得して大学を目指した。

だが、ついた時、そこにいたのは数えられないほどに大量にいる化け物たちだった。

『当時ここを拠点にしていた集団がいたのだろう。そいつらが一斉に化け物になった。そしてその中の誰かが『キング』の小アルカナを持っていて、それを感じ取った周りの化け物たちも大学に集まってこんなに大量になった』司祭様は言った。

『この推測があっていれば、この近くの町は、とりあえず安全のはずだ』とも言っていた。

司祭様の推測通り、大学の周りには化け物は少なく、私達は最上を拠点に活動することにした。

そして今、2年ぶりにこの大学を訪れようとしている。...私は少し恐ろしかった。

____________________

最上を出て緑に入った時、まず私達がしたのは、監視用ドローンを飛ばすことだ。

このドローンは指定したルートを飛ぶようになっていて、ドローンについているカメラをタブレットに映し出すらしい。

そして、ドローンのカメラから得た情報をタブレットに映し出すらしい。

昔は驚いた。北海道の外ではこんなものができていたのかと、

「この後はどうするんだ?」

「まずは空から安全を確保した後、路地裏や人の手が届きにくい場所に警備犬ロボットを配置するんです」

「警備犬ロボット?」

「こんな感じのですね」

加奈はカバンから3匹の犬型のロボットを出す。豆柴をコンセプトにデザインされたかわいらしいロボットだ。

「こいつを配置してどうするんだ?」

「このロボットに着けたGPS反応を確認して、反応がなくなった地点を探索に行きます。基本的に野犬や化け物は動いているものを壊そうとする習性があるので、それを利用した方法です」

ロストと加奈は二人でタブレットを見ている。この緑町は言うならば小樽市の区内、だからそこまで広くない。緑町の半分は山になっている。だが、ここは小樽、坂が多いことで有名な市、いくらでもひそめる場所はたくさんある。

なのでパトロールは一日中する必要がある。これでも短くなった方なのだ。加奈がいなかった時は、そもそも最上から出る時間がなかった。加奈がいるから区外にパトロールができている。

「やっぱり何もいませんね、ここら辺の奴らは大学の方に行ってると思います」

そんなことを言った加奈に軽くチョップをする。

「そんなこと言わないで細かく見なさい。もしかしたらペイジの化け物が近くにいるかもしれないから」

「でも、まだドローンを飛ばしてない所と言ったら大学方面くらいですよ?」

...だが、仕方ない。あれを見るのも仕事だ。

「...いいわ、飛ばして、ただ、多分ドローンはすぐ落とされるから、全部向かわせて」

そういうと加奈は少し嫌そうな顔をする。

「...これ一つ修理するのに時間も材料も結構かかるんですけどぉ...」

「仕方ないでしょ、ほらやるわよ」

「はーい」

周囲にいたドローンを一気に飛ばす。

しばらくすると校舎らしきものが見えてくる。

「これが言ってた大学か?」

「いやここは違う大学、確か短期の海洋大学だった気がするわ」

有名な大学の近くに違う大学があるのはよくあることだ。

ただ、こちらの大学にはプールもあるから、いろいろ工夫すれば魚の繁殖もできるかもしれない。

「...あれ?」

海洋大学を映していたドローンのカメラに何か動くものが映っている。

「美波、これ町の子供だよ」

「やばい!」

私は急いで腰にひっかけてあるカードリーダーからカードを取り出す。

そしてカードを突き出した時にはもう、ロストは私達からかなり遠くの位置で走って海洋大学の方に向かっていた。

「...あのバカ!」

ロストが走っている最中、ロストの周りを黒い霧が包む。その瞬間ロストは黒いヘルメット姿になる。

私もすぐカードを前にかざす。

「フォックス、レディー...」

私の前に8つの鳥居が現れる。そして私はその鳥居の真ん中を全力で走る。

全ての鳥居を通るときには、私の体は狐に変わった。

私は全力でロストのほうまで走り、彼を無理やり背に載せた。

「!何を」

「あんたはスピードに関しては一般人並み!私は車くらいのスピードを出せるのよ!?こっちのほうが早く着くに決まってるでしょ!」

急いで坂を上る。ロストは納得したようで

「わかった。頼む!」

と言った。不幸中の幸いで海洋大学は恋課大学からは少しだけなら離れている。

あいつらがこっちにくることはないだろう。

私が坂を上り、すぐ海洋大学につく。

カメラで見た子供は、プールの真ん中にいた。

「貴方!何をやって」

「早く、助けないと!」

ロストはすぐさま子供の方へ走り出す。

私は子供を怖がらせないように変身を解除しようと

「変身を解除するな!」

ロストは止める。よくみるとロストはドームになる方の鏡を盾に変えていた。

...やばい

「フォックス!来るぞ!」

かつて更衣室だったろう所の扉が開く。

扉の先は闇が広がっていた。昼間とは思えないほどに奥まで続く闇、やがて闇の中から何かが歩いてくる。一歩、また一歩、足音が大きくなっていく、そして姿が現れる。

それは獣というにはあまりに人間に近く、人間というにはあまりにおぞましい姿をしていた。

顔は骸骨、なのに顔から下は肉体が残っている。全身から血のようなものが流れていて、

ローブのようなものを着ていた。この感じ、これは

「気を付けて!この感じ、聖杯のメイジよ!」

「このままじゃ!間に合わない!」

ロストが手を伸ばす。

その瞬間、メイジも手を伸ばし、そして、子供に向かって炎を放つ。

「Purge the innocent, salvation for the guilty.」

メイジが放ったその言葉を合図に、戦いが始まった。

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