そんな装備で大丈夫か?…一番いいのを頼む
モアに持ってきてもらった赤のローブに袖を通し、やっと異世界の恰好になれた希。「よっし!ちょっと散歩してくる!」と、部屋から出ようとすると
「まったまった、そんな何ももってない状態でウロチョロしてたらすぐにひどい目にあうよ?」
と猫が注意してくる。
「そうねぇ…最低でも護身用の杖を持っている方がいいね、ほれ」
モアはそう言って小さな小袋を投げた。
「その中に入っているお金は希にあげるから好きに使ってね」
「えっ?!マジ?あざーす!ってなわけでちょっと行ってきまーす」
希はそういうとピューっと走って出て行ってしまった。
ーー希視点ーー
「うーむいろんな店があって見てみたいのだけど…」
周りにはいろんな店がある。果物屋、野菜屋などなど…まるで朝市のようだった。
しばらく道なりにまっすぐ進んでいくと剣の看板が見えてきた。おそらく武器屋だろう。
「兎にも角にも護身用武器は必須かな」
希は武器屋へと入っていった。中はザ・工房といった感じで奥の方からカン!カン!と鉄を打ち付ける音がする。
「あのーすいません」
と、声をかけると
「あ?ちょっと待ってくれ!すぐに行く!」
と野太い声が聞こえたあと、身長120cmくらいガチムチの男の人が出てきた。
「どうした嬢ちゃんそんな魔術師みたいななりして、迷子か?」
「いや迷子じゃないです。あの杖が欲しくて」
と、希が言うと男は優し気な顔をして
「嬢ちゃん、あんたみたいな可愛げのある女の子は危険なことに身を投じる必要はないんだぞ」
「違う違う、そうじゃ…そうじゃない!」
希はかくかくしかじかと説明する。
「なるほど、護身用の杖ねぇ…まぁなくはないがホントに護身用程度の杖だがいいか?」
「おK」
男は「待ちな」というと工房の奥の方へいってしまった。しばらくすると木で出来たゲームでよく見るような杖を持ってきた。
「取り合えず今ある杖で一番いいやつを持ってきた」
「あざっす…で、お駄賃は?」
希がおそるおそる聞いてみると、男はニカっと笑うと
「可愛い嬢ちゃんのためだ、まけてやるよ」
「まじすか!?ありがとうございます!」
欲しかった杖を手に入れてほくほく顔の希、店を出ようとすると男に引き留められた。振り向くと直径5cmくらいの木の札を投げられた。
「そいつはなにかと役にやつはずだ、持っていきな」
「ありがとう」
希は武器屋を後にした。