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それぞれの恋物語

護れなかった笑顔

作者: 崎先 サキ

「あなたの背中」のヒルデブランド視点になります。

幼かった頃格好良い近衛師団の制服を着て、家を出ていく父の姿に憧れた。


いつか大きくなったら父のような騎士になる事が目標だった。

どうしたら成れるのか尋ねると、大切なものを護れる力をつけろ。そう教えてもらった。


大切なもの?いつも振り回してる父から貰った木の剣がその頃の俺の宝物だった。これを振り回さずに守る?嫌、剣は守るものじゃ無いな。結局その時は大切なものが何なのかわからかったが、父が言うことには間違いは無い。いつか分かる時が来るだろうと、とにかく木の剣で鍛錬に明け暮れた。


幸いなことに同世代の子供達の中でも体が大きく体力もあったので、早いうちから騎士団の訓練にも参加でき実力をつけていった。


その頃には父の職業も理解していた、この国の王様を護る護衛騎士だったのだ。父が守って居るのは国王陛下、じゃあ父の大切なものは国王陛下なんだろう。国王陛下の後ろに控えている父が格好良く見えて、俺も護衛騎士を目指すことにした。


丁度その頃から第一王子のローデリック様の御学友として城に行くことが増えた。他にも何人か子供が居たのだが俺が1番年上だった。勉強も復習のようなものだし、どうせ城に行くなら城の騎士達と稽古をしたいと父に言ってみる。


「ヒルデブランド、お前が城に行くのは王座に就かれる予定のローデリック様の幼なじみとしてこれからずっと支えになる為だ」


「幼なじみ…支えに、ですか」


「そうだ。王とは孤独な者。心から信じられる臣下に何も気兼ねせず愚痴を言ったり、笑い合ったりそんな存在が必要なのだよ」


「国王陛下と父上はそういった関係なのですか?」


「あぁそうだな。たまに酒を呑みながら色んな話をする仲だよ」


「わかりました、では私はローデリック様と仲良くなれば良いのですね」


「そうだ!御身を守るだけでは無く、御心に寄り添って心身ともにしっかりお護りするのだぞ!」


「はい、かしこまりました」


それからは城ではローデリック様の側に居るようにした、護るにはとにかく側にいないとな。婚約者候補のアルベルタ様も一緒に居ることが多いので、城では常に3人で勉強や休憩時間にお茶をしていた。


城に行かない時は騎士団の訓練所に行っていた。

俺は剣の鍛錬と同時に、護衛騎士としての訓練もしていた。

普通の騎士と護衛騎士の大きな違いは感情を抑えて表に出さないこと、主の後ろに控えている自分の変化で主の考えを相手に悟られてはいけないのだ。

難しいことは良くわからないが、とにかく父のようにキリッとしてれば良いのだろう。


騎士団の訓練場で稽古していたら、見学をしに来た仲間の妹に目があった瞬間泣かれた。俺のキリッとしてる顔は初めて会う子供や女の子から見れば怖いらしい。






休みの日の朝食後突然、母の友人とのお茶会に参加するように言われた。正直面倒くさいなとしか思わなかった。

母たちの話は聞いていても楽しくないのだ。

なぜか何時もより上等な服を着せられてお茶会が開かれている応接室に向かった。

そこには母の友人と小さな女の子が居た。

またいつものように、目があった途端泣かれてしまうのかと身構えたが、女の子は覚えたてだろう挨拶をして俺と目が合うと嬉しそうにニッコリ笑ったのだ、可愛い。


「ここにじっとしていても、退屈でしょうから庭を案内してあげて」


母の提案でその女の子、シャロンを連れて庭に行くことになった。


ちょこちょこと後ろを一生懸命付いてくる、可愛い。

仲間が妹が可愛いと言っていた意味がわかった。


ゆっくり歩いても良いのだが、子供の歩調に合わせるよりは抱き上げて連れて行った方が速いなとヒョイっと持ち上げると驚いた顔をした後すぐ嬉しそうに笑った、可愛い。


「シャロンはどの色の花が好きなんだ?」


「んー白いの!んっでふわふわしてる花が好きです」


ふわふわが良くわからないが、白い花が多く咲いてる場所に連れて行けば間違いないだろう。


「ふわぁぁぁ。凄いお花いっぱい綺麗です」


花を近くで見たいかと、シャロンをそっと降ろしてニコニコと花を見ている後を付いていく、可愛い。

あまりにも花に夢中で転びかけたシャロンを危なっかしいのでまた抱いて、指を指す場所に連れて行ってあげる。庭を周っていたが喉が乾いて来たので戻ることにした。俺が乾いていると言うことはきっとシャロンも飲み物が欲しいはずだ。


母のいる場所に戻りお茶とお菓子を食べる。シャロンも嬉しそうに果実水を飲んでお菓子を食べている、やはり喉が乾いていたのだろう、お菓子を美味しそうに食べてる姿が可愛い。

帰りにシャロンが気に入った花を花束にしてもらい渡す。


「ヒルデブランド様、ありがとうございます」


笑顔で受け取り小さな手で花束をギュッと持って馬車に乗るシャロンが何も持っていない方の手でバイバイと手をふる、可愛い。


お茶会からしばらく経った頃シャロンが婚約者になったと父から聞いた。大切なものはまだわからないが小さくて可愛い婚約者は護らなくてはならないだろう。


その日から俺の護るものはシャロンになった。





城でローデリック様やアルベルタ様と一緒に行動してるので年下の扱いは慣れていたのだが更に子供のシャロンが何処へ行けば喜ぶのかがわからない。


母に聞くと手紙を書いて聞けば良いと教わった。

今まで手紙など書いたことがなかったが、侍従に聞いて子供でも分りやすい文章で送ってみた。手紙にプレゼントを付けると良いと聞いたので、白い花を一緒に送った。


返ってきたシャロンからの返事にシャロンの御父上の手紙が一緒に入っていた。シャロンはまだ7歳なので、外に出掛けるよりシュヴェリーン家に来て欲しいとのことだった。


確かにあんなに歩くのが遅く可愛いシャロンが外を出歩くには危険が多いだろう、教えてもらえて良かった。もう少し大きくなったら色んな所に連れて行ってあげよう。

シャロンは手紙と一緒に送った花を喜んでくれたらしい、またシュヴェリーン家に行くときは花を持っていこう。


婚約してからシュヴェリーン家でしか会えなかったが漸くシャロンが10歳になって、御父上から人混みで無ければと外に出掛ける許可を貰えた。人が居ない所と言えば森だ、ピクニックに誘おう。

本当はシャロンと一緒に馬で行きたかったが許可が降りなかったのでシャロンは馬車、俺は馬で行くことにした。


最初は怖がっていたが俺の馬に果物をあげるシャロン、可愛い。

森の草花を見て喜んでいたのでまた連れてきてあげよう。

そう思っていたがはしゃぎ過ぎたようでその晩、熱を出したらしい。次も遠出に行こうと思っていたが暫くは、遠出はやめとこう。

シャロンは俺が護らないといけないからな。

知らせを聞いてすぐ花を贈った、早く元気になって花を見て笑って欲しい。





せっかく外でのデートを出来るようになったが、正式にローデリック様の婚約者になったアルベルタ様の護衛騎士に選ばれ、見習いの時よりも休みが少なくなって非番の日にしかシャロンに会えなくなった。だが憧れていた護衛騎士だ。


幼い頃に父から言われたローデリック様の護衛では無かったが、まだ見習い期間の俺がアルベルタ様からの指名をしていただけた。


『アルベルタを護って欲しい、ヒルデブランドが護衛になるので安心出来る』ローデリック様からも、こう言ってもらえたので精一杯頑張ろうと思う。


父にローデリック様の護衛ではなくアルベルタ様の護衛になったことを報告した。ローデリック様の支えになると言っていたが今度はアルベルタ様の支えになるのかと相談した。

父は婚約者も変わらない、と言っていたので教えてもらった考え方で変わらないのだと安心した。アルベルタ様が孤独にならないように支えれば良いのだ。


護衛騎士になったことでアルベルタ様のお供で地方に行くこともある、何日も王都を離れるのでシャロンに会えない。

でもその土地でしか売ってないお菓子などを、シャロンに渡すと喜んでくれるのでまあ良いか。

最近ますます可愛いくなってきているシャロンに、その土地で流行っている髪飾りなどを買っていたりもしている。可愛いシャロンが着けたらもっと可愛くなるに違いない。


笑い方もニパッと笑っていたのが、最近はふんわりと笑うようになった。その笑みを見るとドキドキするのだ。


「気をつけてください。お帰りをお待ちしております」


王都を離れると言うと心配してくれるシャロンも可愛い。

だから着いたら必ず手紙を書いている、たまに手紙よりも俺が早く帰ってることもあるが、シャロンが笑いながら教えてくれるのが楽しみなので常に書くようにしている。





護衛の仕事にもなれてきた頃、アルベルタ様を送る馬車の中でいつもは愚痴を聞かされるのだが今日は違った。


「ヒルデブランドは婚約者が居るのよね、王都に居るの?」


「はい、王都に居ますよ」


「では会いに行ったりするのかしら」


「はい、非番の日は必ずシャロンの所へ行きます」


「家に行くだけ?どこかへ行ったりはしないの?」


シャロンのとのデートの話を聞かれたのだ。

アルベルタ様には申し訳無いが、愚痴を聞くよりも可愛いシャロンの話は嬉しい話題だった。


仲間には言いにくいが、アルベルタ様が楽しそうに聞いてくれるので俺も楽しくなって沢山話した。それからは非番の次の日は、シャロンの話をすることが増えた。


ある非番の日にシュヴェリーン家からの帰りに突然蝶が飛んできた。アルベルタ様の青い蝶だった。そのサインは『すぐに来て』だったので何が起こったのかと急いでアルベルタ様の元に馬を走らせた。


「ヒルデブランド今日はどんなことをしたの?明日の馬車まで待てなかったの」


「無事で良かったです、何かあったのかと心配しました」


「ごめんなさい、でもどんな物語を読むよりもワクワクするんですもの。で、早く早く座って!」


アルベルタ様の無邪気なご様子に、他の護衛と目を合わせ苦笑いをした。でも『物語よりも素敵だ』と言ってもらえた気がして嬉しかった。

その日からシュヴェリーン家の帰りには蝶が来る事が当たり前になっていた。時にはまだ馬に乗っていないのに飛んでくることもあった。俺の話をアルベルタ様に楽しんでもらえることは光栄だがシャロンとの時間が短くなるのは困るなと、話終わったら意見しようと思っていたらアルベルタ様から側室選びが辛いのだと打ち明けられた。


悩んでらしたのだな。俺は王族ではないので妻になるのはシャロンだけだが、シャロンに他の男と仲良くなるようにと紹介するのは嫌だなと思い、蝶のことを意見をするのはまた今度にしようとアルベルタ様に何も言わなかった。


ここで言えていたら違う結果になっていたのかも知れない。

だがこの頃からアルベルタ様は、側室候補達とのお茶会も増え帰りの馬車で辛そうにしている顔も増えたので、蝶の話は言えないままになってしまった。


それでも一度あまりにも早い時間に蝶が来たので、また話を聞きたいだけだろうと少し遅れてアルベルタ様の元に行くと、目がいつもの半分ぐらいになるほど腫らして泣いていらした。

父に言われた『身も心も御護りする』その言葉が頭に浮かんだ。

俺の勝手な判断で遅れたため、御護り出来なかったのだ。

護衛騎士として、主の蝶にすぐ駆けつけないなどしてはいけない判断だった。

それからは蝶が来たら何をおいても駆けつけようと決心した。





今年はシャロンのデビュタントだ、流石に半年も前から休暇願いを出すのは早すぎるだろう。


だがアクセサリーは、母の意見も参考にシャロンに似合うデザインで俺の色の石を使い作ってもらって既に手元に届いていた。今まで地方で買うお土産物の髪飾りなどに同じ石を買って渡すこともあったが、社交界デビューの日に着ける特別な物だ。母は早すぎると笑っていたが遅れるよりは良いだろう。


同僚達とそろそろ出すかと話し合い休暇願いを出した、だが俺だけ保留にされてしまった。シャロンとの次のお茶会でエスコートの話がしたかったのにお茶会の前日になっても答えは貰えなかった。

シャロンに会いに行くのに、こんな気持ちで向かうのは初めてだ。

いつもは来てほしくない蝶だったが今日は助かったと思えた。


本当は今日のお茶会でエスコートの話と一緒にアクセサリーを渡したかった。

結局デビュタントの日は、他の護衛との兼ね合いもあり休めないことになってしまった。

残念だが、アクセサリーは手紙と一緒に送ってもらった。

シャロンに直接渡して喜ぶ顔が見たかった。


デビュタントの日、休憩時間に王室にあるシュヴェリーン家の部屋に手紙と花束、そしてシャロンの好きなお菓子を手配してアルベルタ様の側に付く。

シャロンをエスコートしていない俺にローデリック様が驚かれてダンスだけでもと言ってくださったが、お断りした。

壇上からシャロンを見つける、誰よりも可愛い。隣を見るとエスコートしている御父上がとても嬉しそうにされていた。来年には結婚だ、寂しくなる御父上の為にこれで良かったのだろう。






デビュタントからしばらく経って俺とシャロンの結婚式まで後半年という頃、職務が終わるとローデリック様の私室へ来るようにと言われた。なにか失態を犯してしまったのかと緊張しながら行くとシャロンのデビュタントの日にエスコートが出来なかった件と、結婚式も近いのに休みがまともに取れていないお詫びをされた。

アルベルタ様の立場もあり、詫びる姿を見せるわけにはいかなかったので私室になったと言われた。


そしてその話の後驚くことに、ローデリック様から令嬢たちの間で俺がアルベルタ様の護衛騎士になったのは、アルベルタ様に懸想して志願したと根も葉も無い噂が広まっていると聞かされた。

俺がアルベルタ様に懸想しているなどありえない、同僚や騎士仲間達はシャロンの話ばかりしている俺を知っているのでそんな話は今まで聞いたことがなかったのだ。

ローデリック様も真実とは思っていないが、俺がデビュタントのエスコートをしなかったことにより、噂が益々広がってしまったことを伝えたかったと教えてくださった。


シャロンは知っているのだろうか、大丈夫なのだろうか、辛い思いをしていないか。

すぐにでも駆け付けたいと考えていた俺にローデリック様が次の非番の日を2日、そして今人気の舞台をロイヤルボックスで観劇出来るように手配してくださった。


普段俺の休みはアルベルタ様の管轄だが、今回は噂の火消しとお詫びを兼ねてローデリック様が全て取り仕切ってくださった。

アルベルタ様が非番の日に蝶を飛ばすのも止めてくださるとも言ってくださった。

最近はシャロンとゆっくりお茶をする時間も短くなっていたので本当にありがたい話だった。


来るときとは全く違う、ずっと伸し掛っていた物が取っ払われた気分で廊下を歩く。

帰ったらすぐにシャロンに手紙を書こう、当日のアクセサリーはデビュタントの時に幾つか作ってまだ贈ってなかったものを手紙に添えて送ろう。






本当に久しぶりに蝶を気にせずシャロンといれる日、いつもの騎士の服以外を着るのも久しぶりだ。

いつ王城に呼ばれるかもわからなかったので非番の日でも制服を着て、シャロンに会いに行ってたのだ。


社交界デビューをしたことでシャロンがいつもより大人っぽいドレスを着ている。本当はドレスも用意したかったのだが急な予定だったので間に合わなかったのだ。俺のプレゼントしたドレスでは無いのが残念だが、言葉を無くすほど綺麗だった。もう可愛いより綺麗と言わないとな。


馬車からロイヤルボックスまでのエスコート、少しゆっくり歩くシャロンに周りの皆が見惚れている。もう初めてあった時のようには抱き上げられないだろうが、早くロイヤルボックスに連れてって独り占めしたくなった。


やっと座席に付き俺とシャロン、シャロンの侍女の3人だけの気の使わない空間に来た瞬間今まで綺麗だったシャロンが可愛い笑顔でふわっと笑った。

久しぶりにシャロンの本当の笑顔を見た気がした。

正直舞台の役者を観るよりシャロンをずっと見ていたかったが、この後シャロンと話をするのに内容がわからないのは駄目だろうと正面を向く。


幕間にローデリック様が用意してくれていたお菓子を美味しそうに食べてるシャロン、可愛い。

芝居に感動して泣いてしまうシャロン、可愛い。

これからは蝶に邪魔されることが無いのだ、もっと色んな所に連れて行ってあげよう。

今日の思い出に何かプレゼントをしたい。お茶は芝居を見ながら飲んでいたのでどこかに買い物に行こうと馬車に乗った。

行き先を告げどんなものが良いか考えながら、シャロンの笑顔を見つめていた。

シャロンが笑うと俺も嬉しい。そんな幸せな気持ちをぶち壊す様に、馬車の中に青い蝶がヒラヒラと舞う。今日は絶対来ないはずだったのに!無視するか?その時『身も心も御護りするのだ』父の声が頭の中でする。そうだ、勝手な判断をしてはいけない。


「…すまない…」


いつもの様にスッと言葉が出ない。俺の声にシャロンの声が被さってくる。最後だ、今日行っていつもの様に話を聞きたいだけならアルベルタ様にも蝶を飛ばすのを控えてもらえるように伝えよう。


騎士団の厩舎で身分証を見せ馬を借り、王城へと急ぐ。

廊下を歩いてるとアルベルタ様の部屋から悲鳴のような声が!

ノックもそこそこに開けると、いつも綺麗になっている部屋もアルベルタ様の髪も服もグチャグチャだった。酷く取り乱しておられて侍女や護衛達も手が出せない状況だった。何があった!

とりあえず割れた物も散乱しているのでこのままにしていたら怪我をしかねない。


「アルベルタ様」


声をかけて近寄る。


「ヒルデブランド…」


アルベルタ様は俺を見て驚いた表情で固まられた。

とりあえずこの隙にと、アルベルタ様を隣の部屋に移して皆が各々動き出し一段落したところに家から使いの者が来ていると教えられた。


『シャロンの乗る馬車が襲われた』


手紙を読んだ瞬間体中の力が抜け、手が震えその場に膝を突き…そこからはあまり記憶が無い。

いつの間にか普段は乗ることの少ない馬車に乗せられていた。

シャロンの顔が見たかった、シュヴェリーン家へ行ったが門前払いをくらい暫く留まったが御父上からも『帰れ』と言われ一目見ることも叶わず屋敷へ帰った。


次の日城から謹慎処分の通知が来た。シャロンの事故とアルベルタ様との噂の件が関係しているらしい。謹慎が解けても俺は護衛にはもう戻れないだろう。


3日後シャロンが、目覚めたと母が教えてくれた。だが俺がシュヴェリーン家に行くことは許されなかった。


両家の話し合いで療養中のシャロンがいないまま、俺達の婚約解消が決まった。シャロンを護れなかった俺に何も言う資格はない。ただ頭を下げるだけだ。


可愛いシャロンとの生活、父のようにと憧れた護衛騎士。

今までもこれからも続くはずだった幸せな日々。

俺は大切なものを間違えたのだろう、毎日毎日後悔している。

結婚したらシャロンの部屋になるはずだったシャロンらしい内装の部屋で隣に居ない笑顔のシャロンを思いながら。

最後まで読んでもらえて嬉しいです、ありがとうございます。


評価、感想、ブックマークありがとうございます。

誤字報告助かりますありがとうございました。


本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヒルデブランドの両親も脳筋? うわさも耳に入っていただろうから、息子をフォローして、宰相か王太子に苦言くらいしても良かろうに、と思ってしまった。 なんか、噂を放置って、王太子妃の一族とかいろ…
[良い点] 護衛騎士は素直で従順な性格だったんですね。 だから、王太子妃の未必の故意である呼び出しに対しても職務に忠実に応じ続けたのでしょう。 なによりも大切なシャロンを身も心も傷つけられても、失った…
[一言] 可哀想。
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