貪食の亡者2
「ここは…」
エリナがいた場所は青白く、それ意外何もない空間、そして近く見えたのは
「…!ウィックス!」
「エリ…な…?」
そこにはかつての姿のウィックスがいた、しかし彼は天井から生える紫色の根のようなものに全身を縛られている、そしてその根元は紫色の塊が鎮座していた…
そしてそこにいたウィックスは虚な目をしており、声は小さく、そして掠れていた
「ここは…何処なの?どうしてウィックスはこんな事に?」
「…わから…い…なに…あった…の?」
「確か…怪物のウィックスに食べられて…」
「…そう…リナ…ご……」
そう言うとウィックスがガクッと頭が下がり意識を失った…
「ウィックス?!しっかりして!?」
しかしウィックスは目を開けることができなかった
◇
「…これで…よかったんだよな…ウィックス…」
「アあ、コレで良かったヨ」
「ッ!」
あれほど切り、バラバラにしてもなおウィックスは現れたのだ
「エリナか貰ったスキル、セルフリジェレネート、ヤハりエリナを食って正解ダッたヨ!ヤハリ僕の体はエリナをホシガってイタ!」
「くっ…だが2回目はどうだ?こんな再生の連続は出来はしない!」
ガリアは再び剣を構える…が
「アぁ…そんな事は分かっているさ、だがこの俺がワザワザ危ない橋は渡ると思うカ?ディメンションチャネル!」
ウィックスが叫ぶと空中に真っ黒な裂け目が現れる
「なんだ?!これは!」
「オット…追っ来るのはお勧めシナいネ、キミはオレの行く次元には耐えられなイ」
「待てッ!」
そういうとウィックスは裂け目に入り込み、その裂け目は霧散した
「クッ…」
ガリアは両腕と膝を地につけた…
「俺は…ウィックスを止められないのか…?」
◇
ウィックスは度重なる捕食により別次元を行き来するスキルを取得していた
この次元ではクリストリアンと呼ばれる生物が生息し、それは平和主義かつ多種多様で個性的なスキルを得られる
当然、それらはウィックスにとっては絶好の獲物であった
「あハハハッ!」
パリィンッパリィッン!
クリストリアンは全身結晶体であり、裂き壊すと面白い音がする、そして食い尽くしても美味い…新たな力を感じる…人間とは一味違う力が…!
◇
もう十分力を集めた、後は目標をやり遂げるだけ…
「ディメンションチャネル!」
ウィックスは次元を切り開き元の世界へ戻る…心が踊った、憎っッ!たらしい世界に滅びを与えられる時が
解説
セルフリゼレネート
自分の体がどれほど損傷を受けようが、はたまた致命打を受けようが一瞬でフルヘルスまで回復するパッシブスキル、ただし連続使用は出来ない。初見で「ようやく倒した!」「防御無くて意外と呆気なかったな」という喜びを絶望の底に突き落とす。
ディメンションチャネル
別次元への移動を可能にする。発動時間が短く咄嗟に逃げることも可能。ただ座標を誘導する何かが無いと正確な移動は難しい
登場人物(種族)
クリストリアン
人物というよりは被害者、(ほとんどは一方的にウィックスにやられるだけなのでバッサリ進ませました。)
見た目は輝く結晶で無生物に見えるがちゃんと生命体、高い魔力と人間に匹敵する知能を持ち、彼らの生きる次元にはクリストリアンが作ったと思われる建造物が確認できる。
別次元へ行き来する能力と高い環境適応能力を持ち、別次元の旅に向かう個体が存在する、またウィックスが元いた次元にもごく稀に確認される、(無論ウィックスはそれ食った。)
温厚な性格で食事などは不要、それによって種族間の争いはほぼ起こらなかった、それ故に戦闘経験が少なく突然の脅威に対応できず大損害を負ってしまう。