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第5話 一番やっかいなのは若い子

「というわけで、みなさん、今日も亡くなった方々に寄り添ってお仕事してください。」

課長の恒例の締め言葉とともにお仕事スタート。


今日の最初のお客様をご案内しなくては。


「ようこそ、異世界転生課です。お望みとあらばどんな世界にだって転生させちゃいます!さあ、貴方のご要望はどんな世界ですか?」


「うぇ?」


うぇ?って。鳩が豆鉄砲を食ったような顔してますね。

あらま、冴えない少年だわ。高校生くらいかな?

ざっと書類に目を通す。

どうやら引きこもりの高校生みたいだわ。


「なんですかぁここは!」


絶叫する少年。名前は…、将也くんね。


「あの世です。残念ながら将也くんは交通事故で亡くなったので、異世界転生することになりました。」

「滅茶苦茶だぁ!俺はただ、コンビニに雑誌立ち読み行っただけだよ!徒歩5分だよ!?なんで死ななきゃいけないの!?」

いけない。率直に言いすぎたかもしれない。


「そうですね。残念ですけど。轢かれちゃったんです。」

「そんな…、まじかよ。」

「マジです。」

ああ、そんなに落ち込まないで。悲しいよね。うんうん。


「で、転生ってのもマジ?」

急に真顔になる将也くん。

「はい。あなたは異世界に行って新たなスキルとともに人生を歩むことができます。」

「ほう。では、異世界ハーレムものの世界に行きたい。」

「…は?」

「俺は生前まっったくモテなかった!だから次の世界ではモテモテになりたい!」

「そんな都合のいい世界はありません!」

「さっき、どんな世界にも転生させられるって言ったじゃないですか!」

「うっ!」


痛いところをついてきた~!まさしく言ったわ~!


「スキルもつけられるんだったな!?ならば、モテモテになるスキルをくれ!」


あかん、コイツ!性欲に忠実だ!


「出来ないとは言わせないぞ!さっきできるって言ったんだからな!俺はモテモテになりたい!世界中の女子とキャッキャウフフしたい!」


手を虚空でモミモミしてみせる将也。

それはあれか、胸をもんでるのか。


「ま、魔王と戦うために勇者になるって選択肢もありますよ?」


笑顔を崩さないように代案を出してみる。


「ダメだ!なんで俺がそんな危険なマネしなきゃいけないんだ!魔王なんて知ったことか!俺は女の子がいいんだ!」


くっ!恐ろしいほど意思が固すぎる!

そして情けない!


「なんなら、スキルの代わりにあんたを連れていくって手もあるぜ!あんた、すげえ美人だもんな!」

嫌だ!こんな子に連れてかれたら貞操が危ういわ!


「さあ、俺をハーレムワールドに飛ばしてくれ!一刻も早く!」

鼻息荒く窓口の机をたたく将也くん。

最近、異世界転生流行ってるもんなぁ。そういうとこ行きたがる子もいるよなぁ。


「あ、あはは」


ダメだ。笑顔が保てない涙

気を確かに持て。この子は。。。あほだ!


「あほでもなんでもいいんだ!俺は!イケメンになってカワイイ子にチヤホヤされたいんだ!!!!!!!!!!」


まさに魂の叫びであった。

おk。わかった。ここまで言われて応えないのは異世界転生課のプライドがゆるさない。やってやろうじゃないの。


「わかりました。では、将也くんの転生先はテッラリコ。スキルは【モテモテ】です。」


「いやっほーォォォォォォォォォォ!!!!!!モテモテだあああああああああ!」


ピンクの空間に包まれて消えていく将也くん。めっちゃうれしそうやったな(遠い目)。




「あれ?明日香、テッラリコって、人間種いたっけ?」

「いませんね」

「うわ、先輩、えっぐいことしますね」

「メスはたくさんいるんだから、いいんじゃない?」


将也くんがどうなったか気になる?

知りませんよ私は。




続く



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