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第25話 始末書撤回

「殿、朗報です。」


朝礼が終わって伊藤くんが話しかけてきた。


「もうその殿っての止めない?」

「かしこまりました。如月さま、以前送った異世界イースルールが自粛解除になりました。これで貴女が始末書を書く可能性はなくなりましたね。」


まじか。やったぜ。


課長もコーヒー片手に近寄ってくる。


「それどころか、プチボーナスだよ。以前送ったみどりさん、イースルールで大活躍してるみたいよ。」

「え?ほんとですか?ラッキー!」

「そこで如月くん、上からのお達しだよ。自粛明けで世界観が変わったイースルールに、また一人選別して送り込んでほしいとのことだ。」

「世界観が変わった?っていうのは?」

「以前みどりさんを送ったときは、スキルの優劣が人生を左右していたが、なんとね、世界からスキルが消えた。」

「え。じゃあ、誰か送るときもスキルは着けないで送れってことですか?」

「つけるとしても、パッシブスキル。潜在的なものに限られそうだね。これ以上詳しいことは言えないんだ。どうやら、自粛明けで情報量が制限されていてね。」


考え込む明日香。


「それでも送れというのですね。」

「そのようだね」








「あれ?ここはどこ?」


明日香はみどりさんに引き続き女性をターゲットに絞った。

伊藤くんがイケメンウインクとともに調書を置いていく。

立花あや。24歳。この子を送ることに決めた。


「立花あやさん、貴女は残念ながら飛び降り自殺でお亡くなりになりました。」


やや間があって…


「そう。成功したのね。私、もう生きていたくなかったの。」

「何か理由でもあったのですか?」

「ないわ。ただ、この世界が嫌いになった。生きている価値を感じなくなったのよ。」

「では、ちょうどよかったですね。ここは異世界転生課です。死んだ人間は全員、別の世界へ転生します。もう地球とはおさらばですよ。」

「それは面白そうね。退屈しなさそう。」

「亡くなってすぐにそこまで話が出来る人は珍しいですよ」

「そうかしら。なんだか納得したのよね。それより、ここ、転生課っていうの?市役所みたいなところ。すごく生きてた頃そっくりね。」

「日本の役所を模していますから。」

「そうなの?すごいわね。で、私はどこの世界にいけばいいの?」

「 「無神世界イースルール」というところです。あなたは、生き残るためのスキルを持って転生されます。【魔法全使用】【一撃死回避】【危険予知】です。あなたにはこの世界で活躍することが期待されています。簡単に死んだりしないようにスキルがこのように強いものになっています。なお、記憶はそのまま持ち越しになります。ただし、この転生課での会話記憶は消えます。」

「たくさん教えてくれてありがとう。せっかくたくさん教えてくれた如月さんのことは忘れてしまうのね。」

「仕方ありません。そういう決まりなんです。」

「いいわ。いきましょう。」


桜吹雪があやさんも周りを包み、消えていった。





「如月さん、無事送れましたね。」

「伊藤くん、調書ありがとうね。」

「いえいえ、仕事ですから。」

「あやさん、活躍もそうだけど、早々と死ななければいいな。」

「あんまり早いと、異世界への引継ぎ前で、転生課に戻ってきちゃいますからね。」

「…、伊藤くん、今日は奢ってあげるわ。飲みに行きましょう。」

「いいんですか?ありがとうございます。」




続く


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