第24話 卯月のおごり
「ずいぶんご機嫌だけど、何かいいことでもあったの?」
「ふっふーん。今日課長から伝えられたっス。先日送り込んだ転生者が活躍したので、ゲーム化が決定。なので、ボーナスがたんまり出たっスよ。」
「ほんとにー?やったじゃん!卯月は初めてだっけ~?」
「そうっ「先輩!今日は自分が奢るっスよ!飲みに行きましょう!」
仕事終わりに卯月が明日香のもとへと駆けよってきた。
「ほんとにいいのー?ごちになりまーす。」
明日香は飲めればなんでもいいのだ。
「カンパーイっス!」
カツンとジョッキが鳴る。
すよ!もうこのゲームやりまくるしかないっすね!」
「で、なんてゲームなの?」
「んー、『レオン・ド・バラッドの伝説』っていうタイトルっス。」
「そうなんだ…私はそこに送ったことなさそうだなぁ。」
「卯月が初めてだそうですよ。勇者候補に藤田礼音さんって方を送ったっス。無事魔王を倒すまで行ったそうなんすよ。」
「最近、なんだか、異世界で魔王を倒すって増えてきたわよね…。。各異世界も大変だわー。」
「しかもこのゲーム、VRMMOなんすよ~!」
「バーチャルなの!?はあ、ゲームも進化したわねぇ。」
「スキルを出すのに予備動作が必要だとか、魔法も自分で詠唱するんす。」
「えー、なんだか難しそう。」
といいながら、明日香は日本酒「人殺し」をがぶ飲みする。
「先輩も、いくつかゲーム化してるんですよね?」
「してるよー。でも最近積みゲーになっちゃってるな。やる時間なくてさ~」
「そりゃそんだけ飲んでれば時間もなくなるっスよね。」
「お?なんだコラ、酒が悪いって言ってんのか?謝れ酒に!」
「わーわー、ごめんなさいお酒さま!明日香先輩を鎮めたまえ~。」
そこに楓もやってきた。
「今日は卯月のおごりなんだって~?私も一緒に飲んでいいかな~?」
「ええいいですとも!ボーナスはたんまりでてますからね!痛くもかゆくもありません!」
「ゲーム化かぁ。私のボーナスもゲーム化とかしてたのかしら。」
「うぇ~、たぶんアンタが知らないだけでゲームになってんじゃない?今度課長に聞いてみなよ~。」
「そうするわ。ゲームに興味がでてきたわ。」
「じゃあじゃあ、楓先輩も一緒に『レオン・ド・バラッドの伝説』やりませんか?」
「ええ、今度やってみましょうね。」
「ところで先輩、ゲームにも転生者送れるんですよね?」
「そうだよ?」
「ゲーム化記念に何人か『レオン・ド・バラッドの伝説』に送り込んでもいいっスかね?」
「いいけど…、早死したり活躍できなかったりしたら…査定に響くよ?」
「あちゃー、やっぱり響きますか?」
「でも、活躍次第では、『レオン・ド・バラッドの伝説Ⅱ』が出る可能性だってあるわね。」
「うおー!やる気でてきた~!」
「ベストセラーゲームになるといいわね。」
「はいっス。」
この日は3人とも多く多く飲んだ。
翌朝全滅していたのは言うまでもない。
続く




