第18話 メディア化
「あ」
「どうしたの急に」
休暇を楽しんでいる明日香と楓の二人。今日は秋葉原で最近のアニメや漫画事情を探っている。
ゲームコーナーで急に声を上げる明日香に楓が不振がる。
「私が以前、勢いで送り込んだ異世界がゲーム化してる。」
「そんなことある!?」
「いやいや、マジ。この「インフィニット・ヒロイン」ってやつ。」
「ふぅん。どれどれ。ってこれ、ギャルゲーじゃないの!」
「なんだ?ギャルゲーをバカにしてんのかぁ?それにこれRPG型ってかいてあるでしょ?ちゃんと冒険もあるわけよ。」
「異世界「ノア」って、確かに聞いたことあるわね。あれ?私も誰か送ってるかも。」
「やっぱそうだよね。異界の門開けるから、人員募集してるって上からのお達しがあってさ。送ったわ。それも5人も。はぁ。まさかゲームになるとはねぇ。」
「いやいやいや、なんで冷静なの?実際の異世界のことが日本のゲーム会社に筒抜けってことじゃない!やばくないの!?」
珍しく楓が取り乱す。
「慌てすぎでしょ楓っち?たまにあるんよこういうこと。上は商売ッ気が強いからね。面白い英雄譚とか、あったらメディア化しちゃうの。私らのボーナスもそこの売り上げから出てるってわけよ。」
「人の人生なんだと思ってんのよ。」
「ほれほれ、こっちのポシェット・モンスターだって、元は課長が送った子がポシェモンマスターになったから記念にゲーム化したのがはじまりだよ。」
「うそっ!?ポシェモンって転生者の話だったの!?」
「課長が一番メディア化した作品多いよー。」
「知らなかった…。」
「言われないと気づかないよねー。最近はそもそも異世界転生するってところからの物語多いけど。」
「そうね。別世界の神様だったりがちゃっかり出演してるわよね。美化がすごいけど。」
「おかげで日本人もだいぶ転生って言葉が浸透したと思うのよね。」
「輪廻転生が元からあったコトバなのに、輪廻が抜けてる辺り、現代感あるわね。」
「昔から転生しかしてないって。あ、織田信長を転生させたのも課長だよ。」
「課長!すごい!」
「課長の逸話は多いよ~。嘘かホントか知らないけど。信じるか信じないかは楓っち次第です。」
「待って、じゃあ、そんなにメディア化してるなら、この際、ゲーム世界に転生者送っても問題はないんじゃないの?」
「うん。実質問題はない。問題も起きない。だけど、たとえ転生者が活躍しても、もうメディア化してるから、再メディア化はほとんど出来ない。お金にならないのね。」
「お金!お金の問題なの!?ほとんど出来ないってことは、再メディア化はあるの?」
「さっき言ったじゃん。ポシェモン。続編もみんな転生者なの。課長の人材選定力がどれだけすごいかわかるでしょ?」
「うはあ。さすが課長。完璧超人。」
「ま、うちらもボーナスのためにメディア化目指して頑張りましょう」
「そ、そうね…。」
続く