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第14話 悲しみと打算

「僕は死にたくなんてなかったんだ」


中学生の村田くんは涙ながらに主張した。

彼はいじめを苦に自殺した。


「悔しい。お父さんやお母さんに申し訳ない。でも、生きてたらひどい目にあうから。こうするしかなかったんだ」


明日香は何も言えないでいる。

決まりの挨拶すらすっぽかすほどだ。


「どうして僕がいじめられなきゃいけなかったんだろう。何も悪いことしてないのに。」

「いじめてきた子たちを見返したい?」


ようやく出たコトバがそれであった。


「…うん。でも、僕の力じゃ無理だと思う。野口くんには勝てないよ。もう痛いのは嫌だ。怖いよ」

「強くなりたい?」

「うん。死ぬって怖いことだったんだね。僕はもっと生きたい。生きてお父さんとお母さんに自慢したい」


「ここは異世界転生課だから、もといた世界に生き返らせることはできないよ」

「わかってる。それでも生きたいんだ。もっと勇気がほしい。次はきっと」


彼の涙は決意へと変わっていた。

この子の想いを無駄にしてはいけないと思った。


「あなたを異世界フォトンプグナに転生させます。そこで貴方は、人類滅亡の危機に、魔王軍や魔物などを倒していくハードな人生となるでしょう。魔王と戦う前に力尽きるかもしれません。それでもよろしいですか?」


「うん。僕、やるよ。」



「貴方は今の記憶を引き継ぎ、姿形をフォトンプグナに合わせて変えさせていただきます。この世界に行くのには、すぐに死なないように沢山の良スキルをつけることが特別に許されています。【聖剣使用可能】【自動回復】【魔法無詠唱】【言語自由化】【魅了】をつけてあります。これでももしかしたら足りないかもしれないので、聖剣を一振り持たせておきます。くれぐれも向こうですぐ死なないように。」


明日香の説明をうんうんと頷いて聞く村田くん。


「ありがとう、美人のお姉さん。いろいろ聞いてもらってありがとう」

「残念ながらフォトンプグナへ行ったら、転生課の記憶は消えてしまいます。どうかあちらで混乱しないよう祈るばかりです」

「大丈夫だよ。きっと。今ならやれる気がするんだ」


つむじ風が村田くんの周りを包み込む。


「いってくるよ。お姉さん。今度はやってみせる!」


スッと消えていく。


「村田くん、本当に大丈夫だと思う?」


楓が明日香の隣まで寄り添ってきた。


「うん。きっと大丈夫だと思う。目がね。すごい活き活きしてた。死んだ人のする目じゃないよ。久しぶりに見たよ。あんな目」

「そっか。じゃあ、無事生きてくれるといいね」

「そだね」

「で、ちゃっかり上からオススメというか、ごり押ししてきたフォトンプグナに転生させたのね」

「うん。なんか、危ないけど、彼なら行けそうかなって。上への点数稼ぎに」

「まったく。あんたって、ほんとそういうとこあるよね」

「てへぺろ」


上への点数稼ぎにフォトンプグナへ転生された村田くん。彼が活躍することがあるのか。

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