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第11話 苦情の電話も入れるときあります

ときに明日香はイレギュラー対応もする。それが仕事ってもんですよね。


「あれ、ここはどこだ?」


あれ。この人書類が出てこない。


「私はこれから悪しきドラゴン退治に出かけるところなんだが、貴女はどこの女神ですか?」


いや、女神ではないですけど。

鎧まで着込んで…こってこての異世界人ですやん。

仕事の範囲外だこれ。


「すみません、なにかの間違いだと思いますので、お帰りください。」

「間違いだと?」

「どこの異世界かは存じ上げませんが、蘇生されませんか?」

「蘇生だと?死者が生き返ることなど起こりえないことだ。」


書類担当官が手書き(それも超速)を差し入れてきた。

ふむ。名前はリディさん。

え?異世界ナイティカルから日本への転生者ぁ!?

生き返りの魔法スキルが無い世界だったかぁ。

日本が転生先になることは圧倒的に少ない。

というか、ほぼない。

なぜなら、日本に転生させるのは自粛されているから。

これは日本の人口が増えすぎているからだ。

以前に明日香も自粛中のイースルールへ送ったことが思い出された。

ナイティカルの担当官がやらかしたとしか思えない。


「私はどうしたらよいのだ?」

「えーっと、貴方は元の世界でどうやら亡くなったようです。なので、日本に転生することになります。」

「なんと。私は死んでしまったか。口惜しい」


リディさんは悔しそうにドンと机を叩く。


「日本へは、記憶を消しての転生になります」

「ふむ。スキルはどうなる?今日のために【ドラゴンスレイヤー】を入手したのだが。」

「日本にはドラゴンはいないので、スキル全般も消去されます」

「なるほど、一からのレベル上げになるということだな?」

「…。まあ、人生ですから、毎日がレベルアップの連続ですね」

「素晴らしい。では、転生させてくれ」

「えーっと、転生先は日本の名古屋。今、夏なんですごく暑いと思うのでお気を付けください。赤ちゃんだと熱中症でも死んでしまいますから。すぐに転生課に戻ってくることの無いようにお願いいたしますね。」

「ふむ。留意しておこう」


水の勢いとともにきえてゆくリディさん。


「ありがとう。世話になったな!水の女神どの!」


だから女神じゃないですってば。


シュッと消えたあと、すぐさま明日香は動いた。

自分のデスクにある電話をかける。

3コールしないうちに相手方が電話口に出る。

「はい!こちらナイティカル転生課です。」

「こちら日本転生課の如月明日香と申します。ただいまお時間よろしいでしょうか?」

「はいどうぞ!」

「ナイティカルから日本に転生した者が一名おりましたのでご報告いたします。日本は現在人口過多のため転生自粛となっております。今後どうかお気をつけください」

「あっわわわわ、ごめんなさい!どうしても名古屋に転生させないといけないと上からのお達しがありまして!」

「ちっ!上からの指示じゃ、仕方ないですね。」

「はいいい!ごめんなさい><」


お役所仕事なので、上からの指示は絶対です。







続く。



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