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第四十九話「導力車」

 翌日、ケビンたちは定刻前にドキア市の出口の前でレインを待っていた。


「おそいわね......」


「おそいな......」


 既に待ち合わせから三十分が過ぎようとしていたが、未だにレインも荷物も影も形もなかった。フェリスとジャックが目に見えてイラついているのを、ケビンとエレンの二人でどうにかなだめている所である。


 そうしていると、街の方からゴトゴトと近づいてくるものがあった。導力車である。それも荷台に荷物を多数詰め込めるタイプのだ。


 帝国・連邦を中心に増産されているという話は聞いていたが、自然豊かなレイカー王国では悪路も多く、乗れる人も少ないため珍しい。ケビンたちが物珍しそうな眼で導力車を見ていると、それが彼らの目の前で止まった。そしてドアが開くと中からレインが出てきた。


「早く乗って。あ、人数的に一人は助手席ね」


 荷台の方を顎で指し、それだけ言うとまたレインはまた運転席に戻っていった。フェリスがその様子に腹を立てる。


「ちょっと! あんた! 遅れたことへの謝罪とかないわけ!」


 フェリスにドア越しに詰め寄られてもレインはツーンとそっぽを向いたままだった。なおも興奮した猿のように怒れる(魔導器を発動させようとした)フェリスをケビンとジャックの二人がかりでなんとなかなだめた。


 結局、フェリスは論外、ジャックは体格が大きすぎる、エレンは荷台に乗りたいという事で、ケビンが助手席に座ることになった。


 ある程度、整備されているとはいえ所々段差やくぼみのある砂利道を導力車がガタゴトと走る。


「......」


「......」


 その中で車内は無言だった。


「えっと、レインは航空艇の操縦士なんだよな」


「そうだ」


「すごいな~その歳で。導力車の運転と感覚は違うのか?」


「当たり前だろ」


「そ......そうだよな......」


「......」


 早くも少々心が折れそうになってきていた。だがケビンはめげなかった。


「空を飛ぶのってどんな感じなんだ?」


「お前、航空艇乗ったことないのか?」


「ずっとハイネ村近くの田舎で暮らしてたからな。見たことはあるけどないな。正直憧れる」


「なんだ、人生損してるぜ? 空は最高だよ。自由なんだ。陸のくだらないこととかきれいさっぱり忘れさせてくれる」


「へえ~いいな。俺も乗ってみたいぜ」


「じゃあ俺が航空艇を持ったらその船に乗せてやるよ」


「本当か? レインは自分の船を持つのか?」


「ああ、その内な。いつまでも親父の仲間の船に乗ってるのも恥ずかしいしな」


「それは楽しみだな」


 空と航空艇の話題で盛り上がる二人をフェリスは後ろの荷台から、腹立たしそうに見ていた。話の内容までは聞こえないが、随分楽しそうにしている。


「何よ、ケビンの奴。あんなむかつく子と仲良くするとか」


「なんだ、フェリス。そこまで突っかかるなんて珍しいな」


「うるさいわね。ジャックもあんな礼儀知らずの子の肩を持つわけ?」


 こちらに怒りが飛び火しそうだったので、ジャックは肩をすくめるだけでとどめた。エレンはそんなフェリスの様子を見て悪戯っぽくくすくすと笑っている。


 そんな和やか?な雰囲気で導力車が進む中、歴戦の戦士たちは異変に気付いた。


「「車を停めろ!」」


「わっ!」


 ケビンとエレンに叫ばれて、導力車は急停止した。思わずハンドルに頭をぶつけたレインは恨みがまし気にケビンを見る。


「なんだよ、も......う?」


 レインが文句を言おうとしたときにはケビンは助手席から飛び出していた。他のメンバーも荷台から外に降りている。四人は導力車を取り囲むようにして護りに入った。


「どうしたんだよ!?」


 ただ事ではないと察したレインがケビンに問いかけた。


「いいから運転席にいてくれ!」


「だからどうしたんだって!」


「わからないか!? 耳をすましてみろ!」


 ケビンに言われてレインもようやく気付いた。獣の声が聞こえないのだ。


 レインが薄ら寒いものを感じていると、そこらの岩肌の陰から複数の人がでてきた。そいつらはみんな一応に不気味な仮面をつけていた。

登場人物たちの紹介を乗っけたいと思うのですが、誰がいいのか悩み中です( ゜Д゜)

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