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第三十七話「お屋敷の謎」

 エレンと別れたケビンとジャックはお屋敷の中を調査することにした。執事には予め場所を聞いていたので、広いお屋敷とはいえ、迷うことなく目的地にたどり着いた。まずは第一の犠牲者が出たとされる台所をくまなく探した。


 ジャックがケビンに問いかける。


「ケビン、何か気になるものはあったか?」


「いや、何もない。それどころか食料も調味料もない」


「ああ、こっちも似たようなものだ。どうやら最後にここが使われたのは随分前のことみたいだな」


「どういうことだ? 最初の犠牲者は料理の最中に消えたんだろう?」


「らしいな。だがまあ何もないのだから、料理を作ることもできんだろう」


「ジャック?」


 ケビンは怪訝な顔でジャックを見ていた。明らかに不自然なのにも関わらず、ジャックには何か確信があるようだった。ほんのわずかに見える焦りも感じ取り、ケビンが声を掛けようとしたところで、逆にジャックがケビンを次の場所に急かした。


 早足で今度は用具室にケビンたちは直行した。ジャックは無遠慮に中をまるで盗賊のように荒らし始める。


「お......おい? ジャック?」


「ケビン! とにかく何か変なものがないか探せ!」


「あ......ああ」


 困惑するケビンを余所にジャックは掃除に必要なものを外にほっぽり出した。いくら調査とはいえ、依頼人の家ですることとしてあまりにも失礼である。


「ケビン! 何かあったか!?」


 しかし、ジャックの必死さがケビンに邪魔するのを踏みとどまらさせていた。


 ケビンはジャックの問いに首を横に振った。探せど探せど埃を被ったちり取りや箒しか出てこない。ケビンがそのことをジャックに伝えると、ジャックはさらに焦燥の色を濃くした。


「ちっ!? 最悪だな! 最後だ! 第三の事件の場所に向かうぞ!」


「え! 待てよ! ジャック!」


 ケビンが呼び止めた頃にはジャックはもう走り出していた。


「ああ! くそ!」


 ケビンは毒づくが、体力のあるジャックはすでにかなり前に進んでいる。ケビンは慌てて追いかける羽目になった。


 ケビンが全力で息を切らせながら追いつくと、そこは第三の事件の現場だった。草がボーボーに茂っていて、物干しざおがかかっている。なんてことない普通の洗濯場所だった。


 そこでジャックは微動だにせず、周囲を睨みつけていた。


「ジャック! 一体どうしたんだ? そろそろ訳を言えよ!」


 ケビンが詰め寄ると、ジャックは鋭く屋敷の方を見て言った。


「気付かないのか?」


「だから何が?」


「最初の事件現場はどうだった?」


「何も無かったろ? ものの見事に空だった」


「そうだ。食材どころか調味料もない。こんな大きなお屋敷なのに」


「それはあの執事が片付けたんじゃないか? 料理番がいなくなれば腐るだろう?」


「だが、調味料までないのはおかしい。それに料理の痕跡がないのも不自然だ」


「なるほど......」


「次に第二の現場だ。用具室の様子はどうだった?」


「ちり取りや箒みたいな掃除用具があったな」


「そうだ。埃を被ってしばらく使われた形跡の無いやつがな。そしてこの第三の現場だ」


「ここ? 雑草が生い茂ってるだけじゃないか」


「そうだ! 三人目が失踪したのはそう前のことではないはずだ。それなのにこの屋敷の草は生い茂っている。つまり......」


「つまり?」


 ケビンがごくりと喉を鳴らす。そのとき遠くから駆け寄ってくるものがいた。お~いと手を振りながらエレンが近寄ってくる。エレンもかなり焦っている様子だ。


「エレン! それでどうだった!?」


 ジャックがエレンを急かす。


「ああ、思った通り。バネガ殿が教えてくれた」


「バネガさんはなんて?」


「ああ、やはりこの屋敷は持ち主がいないそうだ!」


「なんだって!?」


 ケビンが驚愕した。だが、ジャックは予想していたらしい。こくりと頷いて話の続きを促した。


「数か月前に屋敷の持ち主が売り払ってそのままだそうだ。つまり......」


「つまり?」


「「フェリスが危ない!」」


 ジャックとエレンは同時に叫んで駆け出した。慌ててケビンが後を追う。空はいつの間にか曇天となり、遠雷が鳴り響ていた。

推理ものって書くの難しいですよね。伏線とミスリード考える頭の良さが欲しいです。

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