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第三十五話「薄幸の乙女」

 部屋の主はきれいな少女だった。白銀の髪に金色の瞳、肌は陶磁器のように白かった。しかしフェリスの健康的な美しさと違い、どこか儚げなーーいっそ病的と言ってもいい美しさだった。


「あの......守護士の方々ですか?」


 少女はおずおずと消え入るような声で話した。


「ああ、そうだよ。俺は守護士のケビン・ブライアン。よろしく」


 ケビンは少女を安心させるように優しく答えた。


「そうなの、よかった」


 少女は緊張を解いたのか柔らかく笑った。そうしているとまるでひなげしの花のようだ。


「私はオーレンヌ・マイア......この屋敷の主です。長いのでどうかレンヌとお呼びください」


 少女はどこか辛そうに言った。見てるものはそれだけで胸が痛くなるような表情であった。


 レンヌに名乗られて、ケビン以外も自分たちの名前を名乗った。一通り自己紹介が終わったところでジャックが話を切り出す。


「それで? 今回の依頼はレンヌが出したのか?」


「はい。依頼にも出させて頂きましたが、ここ一か月で当家の者が次々と行方不明になっているのです」


「それなら守護士ではなく王国軍の管轄じゃないか?」


「もちろん軍にも相談しました。しかし調査結果は芳しいものではなく......」


「それで守護士に依頼を?」


「はい......今月に入ってもう三人です。流石に怖くなってしまって......」


「なるほど、ちなみにどなたが失踪したのですか?」


「最初はコックのメリンダです。次はアイン......最後に同じくメイドのミーナです。みんな昔から私によくしてくれたのに!」


 そういってレンヌは泣き出してしまった。大弱りのケビンとジャックを差し置いて、フェリスが近くまで寄ってレンヌの背中をさする。


 フェリスに背中をさすられて少し落ち着いてきたのか、レンヌはフェリスの手を握って礼を述べた。フェリスは少し恥ずかしそうにしている。


「ええと、落ち着いた?」


 ケビン聞かれると、レンヌは涙目でこくりと頷いた。それだけで見てるものは悪いことをしている気になってくる。


「じゃあ、少しつらいかもしれないけど、三人がどこで行方をくらませたか教えてくれる?」


「はい、最初のメリンダは夕食を作っているときに消えたそうです。執事のセバスチャンが厨房を覗いた時には誰も作りかけの料理しかなかったと......」


「ふむふむ......それで?」


「次のアインはこの屋敷の掃除中に消えてしまったそうです。セバスチャンが気づいた時には音もなく消えていたそうです」


「なるほど......最後のえーと?」


「ミーナです。彼女も洗濯中に忽然と.....私の一番の親友だったのに.......私もうどうしたらいいのか......」


 また涙目になるレンヌにケビンたちは慌てた。どうにも泣いている美少女には弱かった。


「一つ聞いていいか?」


 今まで黙っていたエレンが唐突に話に割り込んだ。


「はい、なんなりと」


「その三人は昔からという話だが、三人とも住み込みなのか?」


「? いいえ? 彼女たちはこの街に家を持っていて通いで来ているようでした」


「どこに住んでいるかはわかるか?」


「すみません......そこまでは......」


「......そうか、ありがとう」


「?」


 そう言ってエレンはまた黙ってしまった。ケビンはそんなエレンの様子を奇妙に思いつつも、レンヌに向き直って最後の質問をした。


「とりあえず、レンヌ。皆この屋敷で消えたみたいだからこの屋敷の調査をしていいかな?」


 ケビンに聞かれるとレンヌは勿論と答えた。


「ただ、私からも一つお願いがあるのですが......」


「なんだい?」


「フェリスさんを貸していただけませんか? 私今一人だと怖くて......」


 ケビンがフェリスをちらりと見た。フェリスはその視線を受けてレンヌに笑って答える。


「わたしでよければいいわよ?」


 その瞬間、表情の終始暗かったレンヌがぱっと笑顔になった。


「まあ、本当ですか? 嬉しい。いっぱいお話したいことがあるんですの。セバスチャンに行ってお茶とお菓子を用意させますわ」


 そう言って、レンヌは不安を紛らわせるようにフェリスの手をぎゅっと握った。そうしているとまるで姉妹のようであった。


「それじゃあフェリス頼んだぜ?」


「怖がらせたり、食べたりしたら駄目だよ?」


「ええ分かったわ。ケビンは後で吊るす」


 どこにだろうか......ケビンの背筋に冷たいものが走るのを感じつつ、彼らはフェリスを残して一旦扉の外に出た。


「それじゃあ、まずは屋敷の捜索だな」


「ちょっと別行動してもいいか?」


 エレンが手を上げて言った。


「守護士の支部に行くのか?」


 それに対して、ジャックが答えると、エレンは意外そうな顔をした。


「よくわかったな」


「さっきの質問でな。エレンが行かなきゃ俺が行くだけの話だ」


「なるほど、じゃあこちらは任せてもらおう」


「ああ、よろしく」


 ケビンにはジャックとエレンの話の内容がわからなかった。エレンを見送り、ケビンが顔に?を浮かべていると、ジャックはケビンに向き直って言った。


「それじゃ俺らも行くか」


「さっきの話はなんだったの?」


「ま、すぐにわかるさ」


 それ以上言う事はなく、ジャックはとっとと屋敷の調査に向かってしまった。

何の脈絡もなくZみてます。アムロ出てきた...

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