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第三十四話「お屋敷の依頼」

 依頼主の住むお屋敷を前にして、ケビンたちは戸惑っていた。


 大きなお屋敷である。屋敷の周りは高い塀で囲われており、鉄の門が彼らの前に高くそびえたっていた。


 しかし、本来何人もの使用人たちがいるであろう屋敷は静まり返っており、不気味な雰囲気を醸し出していた。


「なんか、あんまり入りたくない雰囲気ね」


「そうだな......ちょっとおっかない」


 フェリスもケビンも完全に尻込みしていた。


 しかし、エレンには関係ないようである。重々しい門をギギっと開け、ずんずんと中に進んでいった。


 そしてどんどんと家の正面を叩く。


「お~い! 誰かいるのか~?」


 流石に無礼で慌ててケビンとジャックが止めた。その瞬間、扉が開いて中から不気味な雰囲気の老紳士がでてきた。彼は生気のない顔で口を開いた。


「何か当家に御用ですか?」


「あ、はい! 依頼を拝見して参りました。ケビン・ブライアンとジャック・ブライアンです。こっちは協力者のフェリス・アービングとエレン・ミンスターです」


「......少々お待ちください」


 そういって老紳士は家の中に戻っていった。ケビンたちは互いに顔を見合わせた。あちらから依頼を出したのにどうにも歓迎されている雰囲気ではない。


「ふむ、どうやら事態はかなり深刻のようだな、この家......ここまで大きいにも関わらずまるで人の気配を感じられない」


「ああ、話を聞いてみなければ分からないだろうが、簡単な事件というわけではなさそうだ」


 エレンとジャックが腕を組み合って頷いていた。


 その時、老紳士が戻って顔を扉から出して口を開いた。


「お待たせしました。主がお呼びです。ついてきてください」


 そう言って老紳士は先導し始めた。どうやらこの屋敷の執事であるらしい。ケビンたちはその後を恐る恐るついていく。


 屋敷の中は昼間なのにも関わらず薄暗く不気味な様子だった。


「ねえ、誘拐事件があったって言ってもちょっとこの屋敷不気味過ぎない? あまりにもそれっぽすぎよ?」


 フェリスがケビンを肘で小突きながら小声で言う。


「なんだよ、フェリス。怖いのか?」


「はあ? あんたと一緒にしないでよ? いまだに夜トイレにも怖くて行けないくせに!」


「あほか! 行けるわ!」


「ムキになるところが怪しいわね?」


「そんな実生活に支障出るほど臆病ではない!」


「何か問題でもありましたか~」


 急にぬっと老婆がケビンとフェリスの顔の間から現れた。二人は驚き「ぎゃああああ!」と悲鳴を上げてジャックの後ろに隠れてしまった。


「申し訳ありません。これ、お客人を怖がらせるでない」


「へえ~誤解です~」


 そう言って蛙のような顔をした老婆は、執事に注意されるとどこかへ歩いて消えてしまった。


「うちの庭師が驚かせてしまったみたいで申し訳ございません」


「いえいえ! こちらこそ無礼を働き申し訳ありません。ほら二人とも謝れ」


 ジャックに促されてケビンとフェリスも「ごめんなさい」と素直に謝った。流石に人の顔を見て悲鳴を上げるのは失礼極まりなかったからだ。


 執事はお気になさらず、というとまた先導し始めて、ついには屋敷の一番奥までたどり着いた。


 執事が豪華な部屋の扉の前に立ち、三度ゆっくりとノックをする。


「お嬢様? 守護士の方々がお見えになられました」


 人の気配がした。すると意外にも幼い声で「通して」と部屋の中から声が聞こえる。執事は「かしこまりました」と言うと同時に部屋を開けてケビンたちを中へと通した。


 部屋の中は相も変わらず薄暗かった。しかも部屋の主の趣味なのか人形やぬいぐるみが所狭しと並んでいて、不気味さに拍車をかけていた。


 そんな部屋の奥に、白銀の髪の少女が一人、しとやかに座ってケビンたちを見つめていた。

ペース遅くてすみません。もっと早く書けるようになりたい!

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