表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/63

いざリベンジ

直人くんがんばる。

 今度で三回目の異世界訪問、到着と同時にマップと索敵を使用して、周囲の敵を確認。昨日逃げ帰る前にあれだけ倒したというのに、殆ど前日と変わらないようなそんな状態だ。不思議に思い、


 <ケイさん、ここの魔物の数はいつもこんなに多いの?>


 <あの森が異界化してこの草原まで浸食してきているみたいですね。>


 <つまりは?>


 <直人さんに判りやすく説明するとダンジョン化しているという事でしょうか。倒された敵は、霧散したように見えて吸収され、また産み出される。そんな感じでしょう。なので増えもしませんが減りもしないと思います。ダンジョン化が進み広くなれば増えていくかもしれませんが。>


 <敵を倒した時、死体が残らず霧散してたので、此方の世界ではこれが普通なのかと思っていたけど、そういう事だったんですね。>


 <そういうことです。>

 

 <じゃあ、異界化してない所の魔物を狩れば?>


 <当然死体が残ります。なので此方の冒険者は解体スキルを学んだ方が結構いらっしゃいます。所得なさいますか?>


 <いえ、退院まで位ならここの狩りだけでしょうし、解体しても処分も出来ないので、しばらくはこのままで。>


 <了解しました。>


 直後、昨日の後悔を繰り返さない為さっそく隠密スキルを使用する、自分では本当に有効になっているのか今一判らないがスキルを信じて近くの敵へと接近してみた。すると無警戒に周りの草を食べている芋虫の姿が見えた。


 <鑑定>


 ワイルドクローラーLv2

 HP:30  MP:10


 <うん?HP,MP表示なんだね。それと鑑定の内容はこれだけ?>


 <HP,MPに関してはゲームの様にその方が判りやすいかと判断させて頂きました。よろしかったでしょうか?鑑定に関しては魔力量が増えていけばより判る様になると思います。>


 <ありがとう御座います、大変判りやすいです。それと隠密は何時切れるんですか?>


 <敵に見破られたり、攻撃を加えたりした時点で切れます。なので初見の敵や鑑定の際は必要でしょうが、余裕で倒せる敵の場合は毎回かけ直す必要はないと思います。>


 <ありがとう。今日は次の敵へと無謀に突っ込んで行かないよう注意しながら進むよ。>


 鑑定をしてみたものの、名前とHP,MP位しか判らなかった。出来れば弱点なんかも判ればと思っていたけど、まぁ最初っから全てが最高というのも違う感じがするので先に期待して、狩りを開始することにする。クリーンとリペアで新品同然の剣鉈を構えつつも、本日最初はやはり、


 <スタン>


 敵の側面に回り込み手を触れつつ頭の中でスキルを発動すると、痺れた様に痙攣する芋虫の姿が目に入る。しかしあまりダメージはなさそうに見える。続いて、


 <サンダーボルト>


 球状の野球ボール位の電気の塊が芋虫に当たると、当たった処が焦げたようには成ってるけども、まだ霧散してない。なので、


 <サンダーアロー>


 今覚えてる雷魔法最後の一つを唱えると、ようやく敵を倒す事が出来た。これなら剣鉈を使った方がはるかに速い、そう思いながら、


 <ケイさん、魔法ってこんな弱いの?>


 <最初にこの魔物というのが、誤解の元なのでしょうが、薄いゴム状の膜で身体を覆っているこの魔物は雷魔法が効きにくい少ない魔物の一種です。冒険者の初心者が来るようなこの草原の敵に上位の雷魔法を使う方もいらっしゃらないので、ダンジョン側としては面白い誤算かもしれませんね。>


 そう言われてしまえば、この敵に雷魔法を使い続けるのは得策ではないと諦めて、剣鉈を振るい一撃で仕留めていく。マップもあり三回目ともなれば昨日失敗してはいても心に少しは余裕もある。なので冷静を心掛け昨日ムカデと遭遇した場所へと徐々に近付き、ここら辺という場所で隠密を発動する。マップの赤い印を目指せば地を這うように横になっているムカデを発見。


 <鑑定>


 タイラントセントピーチLv2

 HP:60  MP:30


 じっくりと見る事もかなわず逃げ出した敵を目の前に、鑑定を掛け観察してみるとやはり甲羅に覆われた外殻は固そうにしている。上体を起こし下半身のばねで突撃してきたあの素早さも、脅威には違いない。でも想像してたほどのHPはなさそうなので、そこだけは助かった気分だ。ここまで分析しこのまま攻撃するか、まだレベルを上げてから挑戦するか考え、今なら不意を付けるんだ。先ず雷魔法を使い、剣鉈は効きそうにないので収納に入れていたこれに替えてやってみるかと、長柄のハンマーを取り出した。


 <サンダーアロー>


 今持っている中で一番威力のありそうな魔法を唱え、魔法が当たったのを確認しながら、敵に向かい駆け寄る。雷魔法はダメージだけでなく麻痺も起こすのか痺れたように動かない。そいつに向かい今日もレベルが幾つか上がって増している攻撃力で思いっきり頭の部分にハンマーを叩き落した。


 準備して観察を怠らず、魔法も手に入れたとはいえ、またも一撃だった。いや魔法も入れたら二撃なのだろうが、気合を入れた割にはあっさりとした戦いの終わり方に気が抜けた、いい意味で。ハンマーを叩き付け次の一撃に備え振りかぶると、もう霧散が始まっていた。昨日は逃走し帰ってからは悩みまくった時間、あの時が思い起こされ笑顔が浮かぶ。今日はもう帰ろう。緊張が薄れている今の状態だと昨日の二の舞になりかねない、反省は忘れず心にとめて、異世界転移を唱えながら、


 <ケイさん、昨日話せたおかげだ有難う。>


 そう告げながら病室へと戻るのだった。

よろしくですです。この作品に初めて評価いただきました。励みになります。ありがとうです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ