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フリーバッティングで、終わり?

野球でわない・・・きが・・・

 ようやく本日の拘束時間も終わり、後は帰るだけ、と少し気分が上昇し掛けた頃、


 「ナオト、今日は何かこの後用事ある?」


 「もう帰るの?」


 「用事という程の事は無いけど、何か?」


 「ちょっと、私達と付き合わない?」


 「何故か、嫌な予感しかしないのですが、何用でしょう?」


 「球技大会の種目、男子は野球、バスケ、卓球で女子がバレー、ソフト、卓球でしょ」


 「そなの?」


 「そうなんです。なので・・・」


 「あ、部活が」


 「え、ナオト君部活入ってた?」


 「帰宅部です」


 「「それは部活じゃないから」」


 「で、したこともない球技大会に出ろと言われても、ナオトも困るでしょ。なので試しにやってみない?」


 「ひとりで?」


 「「できるわけないでしょ」」


 「部活動にお邪魔させてもらうの。見学として」


 「いや、それ迷惑になるんじゃ~、それにいきなり行っても」


 「大丈夫。お昼に部活に所属してる女子に当たって、マネージャー通して、来るの伝えるよう頼んだから」


 「大変手回しの宜しい事で。で、念のため確認なんですが、拒否権は?」


 「「ありません」」


 「やっぱり~・・・」


 「じゃあ、取り敢えず、野球部から行ってみましょう」


 「やってみれば楽しいかもよ、ナオト君」


 「ま~抵抗するだけ無駄なら行ってみますか、ね」


 「「じゃあ、行こ」」


 また、相変わらずの拘束ポジの二人から、連行され注目を浴びつつ、校庭を横切りグランドへ。そこには、一年から三年までの野球部員がユニホーム姿で汗を流していた。全生徒から嫌われてたとはいえ、仲間同士で真剣に部活に打ち込む姿は、青春そのもので、自分としてみれば感動ものである。今までは近寄れもしなかったので。なので、到着後、間近で様子を窺っていると、マネージャとおもしき、体操服姿の女性と数人の部員が近寄って来た。


 「棗さん、柊さん、いらっしゃい。聞いてるよ、見学だって。ゆっくり見て行って」


 二人に対しにこやかに挨拶をおえ、こちらに向き直ると、


 「で、こいつなの野球やってみたいって奴」


 明らかに顔つきを変えて睨みながら言ってくる奴に対し、


 「マネージャーの私が二人に頼まれて、返事したんだけど、嫌そうね。二人とも御免、部長たちが・・・」


 「あ~いいよ。二人の頼みなら。ちょっと運動させてあげるよ」


 そう言って二人にはいい顔をし続けている。二人の方を見れば、ウインクしながら手を合わせている、なので、しょうがない付き合うかと、


 「皆、頑張ってる中、突然すいませんね。いままで集団でする競技に参加したことが無かったので、クラスメイトの彼女達が気を遣ってくれて、お願いしてくれたみたいです。今日はよろしくお願いします。」


 「じゃあ、飛び入りでもできる、フリーバッティングでも試してもらうかね。誰か手の空いてる・・・」


 「あ、じゃあ、俺が投げますよ」


 「あ~来季のエースのお前なら大丈夫そうだな、くれぐれも用心してな」


 二人して、悪だくみが前面に出ている様な歪んだ顔つきでにやけた笑いを浮かべつつ、案内しだす。二年でも有名な野球部エースは自信満々でグラウンドに立つと、


 「鈍いのは知ってるから、我慢してるがさっさとバッターボックスに立ってくれ、神出君」


 他の部員から無造作に渡されたバットを持ち言われた通りバッターボックスに立つと、


 「じゃあ、いくぞ~。あっと、手が滑った~」


 と、投げ終わりもせずにそう言ってきた。それは紛れもない全力投球で、速度が乗ってる上、明らかに頭を狙う死球であった。


 「きゃあ~~、ナオト君」


 「ナ、ナオト」


 慌てて叫ぶ二人を横目に、


 <ふざけてるな、こいつら。他の奴ならどうなった事か>


 <適用可能です>


 <いや、もう向こうのルールはいいから>


 バシ~~ン、という音と共に手に収まっているボールを軽~く投げ返す。


 「来季のエースなのにノーコンなの?たいへんだね~」


 自分はわざと、頭に来てるので挑発する様にそう言うと、ボールを素手で掴まれた驚きよりも、馬鹿にされたほうが勝り頭に血が上ったのか、こちらを睨みつける。さっきの死球を見ていた二人も、


 「やっちゃえ、ナオト」


 「がんばれ~ナオト君」


 と、大声で声援を送り出す。自分の言葉と二人の声援を聞いた奴は、


 「ああ、本番の次は実力で恥をかくんだな」


 持てる力の全てと言わんばかりの球を、ギリギリの内角にほおって来た、が、


 <さすがエース、はじめっからこうすればいいのに。でも、余裕で見えてるけどね。>


 「いただきっ」


 思いっきり振りかぶったバットは、ものの見事に打球を捕らえ、グラウンドの外へと球を運んで行った。呆然と打球を見送る部員たち。マウンドで項垂れるエース。それを、無視して近寄って来た二人は、


 「野球は大丈夫そうだね。これ以上邪魔しちゃ悪いし次いこ」


 「ナオト、次はバスケに行ってみよ~」


 両サイド拘束ポジを再現し女子マネにだけ挨拶をして通り過ぎようとする二人に、


 「あの人ら、いいのん?」

 

 「「自業自得です」」


 「だそうです。お邪魔しました」


 そう声を掛け、その場を後にするのでした。

よろしくですです。

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