なぜか自己紹介?
これが日常?
「ナオト~、あんたね~何、教室着た瞬間寝ようとしているのよ」
後頭部に受けた衝撃は、その場に立っておられる、棗さまから与えられたものらしい。そちらを、何が悪かったのか判らない、という顔して眺める。
「何か問題が、おありでしょうか?なつめ・さ・ま?」
「あ~呼び方。それと問題大ありでしょ」
「なに?キョウコ」
「呼び方はそれでいいとして、周り見て見なさい。皆貴方に注目しているでしょ」
「それが何か?それを消すために、顔を隠し無の境地に・・・」
「あはは、ナオト君、おもしろ~い」
「しぃ~ちゃんまで~、面白いじゃないの。空気読んでよ」
「空気・になりたい、のですが」
「まだ言うか」
「すいませんでした~。で、なにが悪かったのでせう?」
「この人、根本的ぼっちすぎて、会話が困難だわ」
「あはははは、なっつんと話してるの、漫才聞いてるみたいだよ」
「こっちはそれどころじゃないんだけどな~」
そこへ数名の女性が駆け寄って来た。
「棗さん、柊さん、それが昨日の成果?で今三人で会話してたけど、それ、本人で間違いない?」
「うん、そう。鈴井さん、助かったわ。私一人では、彼をクラスの皆にうまく溶け込ませる自信が、今完全に無くなろうとしてたとこ」
「柊さんも言ってたけど、漫才みたいで楽しそうだったけど?それに、棗さんが、気軽に男子に手をだすの初めて見たし」
「いや、それがね、昨日しぃ~ちゃんと二人、ナオトに無理やり付き合わせて、髪整えに行くついでに色々話したんだけど、物凄く気さくで話しやすいんだけど・・・」
「空気読めない、と」
「そうなのよ。で、ちゃんと皆に紹介しようとしたら、いきなり寝ろうとするしで・・・」
「え~と、そちらの方、鈴井さんもご存じの様ですが、どなたでしょう?クラス委員の私は浅野先生から、なにも伺ってませんが」
「河野さん、この席誰のか判る?」
「え、神出君の席だと思いますが?今日はおやすみで?」
「いや、委員長、これ神出直人、本人」
「「「「「えええ~~~~~」」」」」
教室中に響き渡る絶叫。遠目でチラチラ離れた所から見ていた女子や、話に加われない男子も一斉に声を上げた。周辺の教室にまで届いたのではという大声に、当の本人は、
「あ~だから、この顔見せない方が良いって言ったのに。これで三日連続大絶叫を聞かされたよ。酷いのは判ってるから、素直に隠させて。落ち込みすぎて眠れなくなるから」
「ナ・オ・ト~~」
もう一度うつ伏せになろうとした自分の目の前に、学生かばんを頭上に振り上げてる彼女の様子が見え、すぐに、
「は、はい」
「まだ、眠い?」
「いえ、目覚めました。それはもう、スッキリと」
「よかった~、あと少しで、永眠させようかと思うとこだったわ」
「で、ご用件は?」
「また、振り出しだよ。助けて、しぃ~ちゃん」
「あはは、がんばれ、なっつん」
「じゃあ、責任取って、ナオト。先ずその場で立って」
「え~、目立つじゃん」
「い・い・か・ら」
「は、はい、これでいい?」
「で、皆の方向いて」
「顔隠していい?」
「駄目に決まってるでしょう」
「ナオト君そのままで、お願い」
「あ~まぁ、二人が言うなら」
静まり返った教室内で、全員の注目を浴びながら、何をさせられるのかと、恐々と視線を向けると、彼女達は、頷きながら、
「「じゃあ、皆に向けて、自己紹介」」
「え?」
「簡単にでいいから、言ってみて」
「あ~皆さま、ご存じ、神出直人です。大人しいんで、いじめないでね。以上」
「アホか~い」
「なっつん、口悪いよ」
「だけど、こいつが・・・」
「お気に召しませんでした?」
「召すかい」
「「「「あははは」」」」
「ほんと、三人仲良さそうね」
「と言うか、神出くんて、話しやすいのね。面白そうだし」
「でしょう、河野さん、鈴井さん。人って話してみないと判らないもんだよね~」
女生徒たちが集まりだし、ワイワイ盛り上がって話し出したので、
「え~と、すいません。お暇しても?」
「「駄目に決まってるでしょ」」
「そうなのですね・・・」
この雰囲気のなか、この場所に居続けることを強いられてる立場としては、ひじょ~に強いストレスを感じつつ、
「あの~・・・」
「なに?」
「もう授業始まるんですが、先生来て睨んでますよ」
「「「「「うそ~、やばっ」」」」」
いっきに散開して席へと戻っていくクラスメイトを眺めつつ、マイポジションへと移行し、授業中だけでも平穏である事を願い、この後も続くの?と不安に思いながらも、暫しの安息に身をゆだねるのだった。
よろしくですです。




