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自宅兼工房、確保

これで鍛冶スキルが

 「ルイさん、この建物ですか?」


 「そうです」


 「これって、工房というより、どこかのお屋敷ですよね」


 「そうですね。初代は大変腕のいい方で、昔この地に居た勇者に最初に武器を作って与えたと有名でしたので、その一族総出で鍛冶に取り組んでいたのとの事です。なので通りに面した工房自体も大きいですが、裏の離れにある屋敷も家族と弟子が住んでいたという事で、結構大きいですね」


 「うは~すごい、デカい」


 工房を抜け中庭へとやって来て母屋を見ると驚嘆の声を上げてしまった。平屋ではあるけれど、とにかく大きかった。


 「中も凄いですよ。なにせ鍛冶師の大家族だったという事で、お風呂が有るんです。この辺ではちょっと見ないですね、でもマスターがナオトさんなら喜んでもらえるだろうと仰ってましたよ」


 「はい、大変うれしいです。自分の国ではお風呂に入るのが皆習慣だったので」


 「それはすごい贅沢な国ですね」


 「ええ、そう言われればそうですね。あの~本当に此処を頂いても?」


 「その為に買取したのですから、住んでいただかないと。他に売る当てもありませんし此方が困る事になりますので、是非お願いします。掃除や片付けなんかも済んでいますので今日から入られて構いませんよ」


 「うわ~至れり尽くせりですね」


 「私としてもマスターの本気を見たと思ってたところです。この期間の間に買取と人手を雇っての修繕と片付けなんかを終わらせてしまったのですから」


 「何か申し訳ないですね」


 「いえ、ナオトさんがうちに享受なされる品々に比べればこれぐらい、という事なのでしょう。実際、回数的にも品物の交換回数はそう多くなかったと伺いましたから」


 「はい、有り難い事にそうですね」


 「では、妥当だという事でしょう。そういうことで、鍵をお渡しします。今後この物件はナオトさんが自由に利用されて構いません。いや~気に入って頂けたようで良かったです。案内してやはりここでは駄目だと言われたらと、内心ビクビクしてましたからね」


 「いえ、もっとこじんまりしてても文句など言わなかったと思います」


 「そうだと思います、ナオトさんなら。という事で案内も済んだ事だし、私は仕事に戻りたいと思いますが、ナオトさんはどうなさいますか?一旦向こうへ戻られるのでしたら、一緒に馬車で戻りますが、このままここに居られても問題ありませんよ」


 「いえ、一旦戻りたいと思うので乗せてもらってもいいですか?宿の方にも知り合いの方々にも報告しなくちゃ~いけないでしょうし」


 「そうですね、それではご一緒しましょう。馬車にお乗りください」


 馬車にて商業ギルドの前へと戻ると、ルイさんに挨拶をしその場を離れ冒険者ギルドへと戻った。中に入るとお茶を濁していた相手は、手ぐすねを引いて待ち構えていた。


 「お帰り~お話は済んだ?」


 手招きをしつつにこやかな顔で言葉を掛けて来るサラシャさんに、何故か凄みを感じつつ、招かれるまま前へと行って、


 「ただいまです。話は終わりました」


 「で、内容は。お話してもらえるのかしら?」


 「さすがに冒険者ギルド内では。どうせ宿のミックさん、ミリアさんにも話さなくてはいけませんし、夕食の時にでもお話しますよ」


 「判ったわ、絶対よ」


 「はい、ではそれまではまだ時間もありますし、今日は薬草採取だけしてきますね」


 「いってらっしゃい、戻ったら依頼の買取を済ませて一緒に戻りましょうね」


 「はい、判りました。では、行ってきます」


 そう言ってギルドを出て、いつもの草原へと時間つぶしの為の採取作業にと赴く。殊更ランクを上げたいとは思わないけど、かと言って依頼を全く受けずに狩りだけして、素材買取だけというのも、せっかくラノベの様なこの世界に来てるのに、なんか物足りない気がするので、時間が出来た時は出来る依頼を受ける様にしていた。その最たるものが何時もついでで済む薬草採取で、狩り場の手前の草原に生えているし、常設依頼という事で無駄になるという事もないので、よくこなしている。最初こそ見分けるのにいちいち鑑定さまを使っていたんだけれど、慣れてくれば自然と見分けられるようになっていた。


 <なれって、すげ~。>


 <熟練度というものですね。Lvのあるスキルなんかもこうやって上がっているのだと思うと実感できますね。>


 <そうだね~。数字が上がる時の恩恵で、前との差を凄く感じるレベルアップの時だけでなく、実際上がり方に差ができるように、使ったパラメータの箇所が伸びるというのは、それまで何をしたかの熟練度がちゃんとある証拠なんだね。>


 <そうですね。鍛え方次第で、自分を変えて行けると思いますよ。>


 <そう聞くと、なんか頑張る気力が尚更湧いてくるね。>


 <頑張ってくださいね。>


 <うん、頑張るよ。>


 3セットに当たる薬草30本を採取して、遅くなって待たせすぎないよう、ギルドへと戻る事にしたのだった。

 ギルドに戻り買取カウンターへと向かうと、何故か目の前にサラシャさんが。


 「ただいま~。で、何故にこちらに?受付は?」


 「こちらが本日私の最後の仕事です。さあ、買取を済ませて帰りましょう」


 「大丈夫なの?」


 「ええ、今日の仕事時間はさっき終わりました。なので受付でなくこっちで待ってました」


 「じゃあ、時間外に仕事させるのも悪いんで他の方・・・」


 「早く出してください。私がささっと、終わらせますんで」


 「はい、了解しました」


 有無を言わせぬ迫力のある言葉に、


 <相変わらず、他の職員に気を配ってるんだな~、優しいな~。>


 <気を配ってはいると思います。違う意味では。>


 <職員だけでなく、他の冒険者にもという事か~、凄いな~。>


 <・・・>


 「ナオト君、お待たせ。これ薬草の代金。という事で、さあ帰りましょう」


 そう言って先行してギルドを出て行くサラシャさんの後ろを、遅れない様ついて行くのだった。


よろしくですです。

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