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食文化

会話でおわるとわ・・

 「先ずは、こちらが用意した建物の話を。街の北側の端にある鍛冶師の工房が集まる区域。その中の大きめの建物が手に入りました。先祖代々この街で鍛冶師を営む家系だったのですが、代を重ねるにつれ、一族の中に鍛冶の才能のある者が減って来て、その上この後、鍛冶を継ぎたいというものが居なくなったそうで。なので今代の鍛冶師が自分一人なら、王都にある知り合いの工房にお世話になる事が出来るという話をしたら、他の家族の方が大乗り気だそうで。なので即金で買い取って頂けるなら売りに出すと申しておりましたので、買い付けました」


 「事情を含めた詳しい説明をありがとう御座います」


 「いえいえ、これからお住みになるという事であれば、無理やり買い付けたり、事故があった物件かと心配される方もおいでですので、前もって説明させてもらっただけですので」


 「それで、大きめの建物という事ですが、お値段は?」


 「まぁ、大きめと申しましてもこの辺境の土地ですし、街のはずれ鍛冶師の区域ともなれば、鍛冶師しか買わない建物になってしまう上、新しくこの辺境で鍛冶師になろうという者も居りません。なので、白金貨1枚という事で話がついております」


 <向こうの価値で1千万か~大金だけど鍛冶工房付きの建物、それも大きめという事であれば破格かな。>


 <そうだと思います。たぶん商業ギルドの方でも今後の付き合いの為、売買に関する儲けを取っていないものかと。>


 <有り難いね。>


 「ゲイリーさん、破格の申し出ありがとう御座います。ではこちらが出せる商品の受け渡しをどうしましょう?」


 「それが、こちらとしては残念なことに」


 「残念なことに?」


 「この前渡して頂いた品物だけで初めてという事もあるでしょうが、金貨5枚の値がついてしまいました」


 「という事は、20回ほどの受け渡しで?」


 「はい、いっぺんに市場に出せば値崩れするかとは思いますが、それをしない限りはそうなると思います」


 「う~ん、そんな事になったらこちらにだけメリットがある様な」


 「いえいえ、正当な値段を付けての売買ですので、そこは構わないのですが、交換条件が終わった後の取引を続けて行く為の代価を如何していくかが悩みの種でしてな。なにせこれからもず~と取引をしていきたいと思っておりますので、どの様にして払っていくか、考えものですな~」


 「自分としてはゲイリーさんを信用していますので、先渡しして頂いた建物以外に関しては、売買が終わった後、その一部を頂くという事でも構いません。それに」


 「それに、なんでしょう?その笑顔が怖いですな~」


 「一緒に稼いでいきたいと言われるのであれば、こちらとしては出せる商品の種類はあれだけではない、という事です」


 「な、なんと。まだ手持ちの調味料の種類があると」


 「はい、色々御座います。いっぺんに出せない程」


 「これはまた、なんと、幸せな悩みの種が。これからの先々が楽しみでなりませんな。もしこれがうまくいけば、儲けるという事のみならず、食文化自体が発展するかもしれませんな。そう考えれば、この歳に成ったにもかかわらず、ワクワクしだしますな」


 「という事で取り敢えずこれを。保存期間はありますが、ソースというものとマヨネーズというものです。これらはいずれこちらでも作れるようになるかもしれませんけどね」


 「という事は、製法をご存じで。材料と作り方は判るので、マヨネーズの方は比較的簡単にいけると思いますが、ソースの方はこちらの野菜の種類を詳しく調べてから、その上で試してみないと判りません」


 「それでも素晴らしい事ですな。いや、やはり事務処理を終わらせておいて正解でしたわい。この話を聞いた後だと仕事が進む気がしませんな。うわの空で」


 「マヨネーズというのは基本どんな野菜にもあいますので、つけて食べてみてください。ソースの方も野菜や肉の炒め物に和える感じで使えば、今までと違う料理を味わう事が出来ると思います。売る前に試してください」


 「この後さっそく試させてもらいます」


 笑いながらそう話すゲイリーさんは、紳士然とした貫禄はそのままで、でもどこか子供の様な楽し気な雰囲気があった。そして、


 「取り敢えず、お呼びだてした要件は話し終わりましたが、物件を直接見て頂けるように手配しております。一緒に行けないのは残念で仕方ないのですが、ルイの方に申しつけておりますので、今から受付の方でお声をお掛けください」


 「何から何まで本当にスイマセン。そこまでお気遣い頂いて嬉しく思います」


 「いやなに、この街にナオト君に居を構えてもらう事はこちらにもメリットが有りますからな。逆に出て行かれる方が困るというもの。お気になさらずにお受けください」


 「では、素直に受け取って置きます。これからも宜しくお願いしますゲイリーさん」


 「こちらこそ宜しく、ナオト君」


 挨拶を切り上げ、部屋を退出し下の階の受付へと向かい、その場にいるルイさんに声を掛け街はずれの鍛冶区域の方へと商業ギルドの馬車を使い向かうのだった。



よろしくですです。

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