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今後の姿勢

う~ん、捌けません。

 「無事に返れたみたいだね。お帰りなさい、ナオト君」


 「はい、ただいまです。サラシャさん」


 「それじゃあ、裏にいこっか」


 「え、買取カウンターじゃないんですか?」


 「エドガーさんがね、量が多めならわざわざ運ぶのも面倒なんで解体場に持って来い。っという名の、お気に入りは顔出せという命令ね」


 「そうなんですか?」


 「そうよ、気に入らない奴ならどんなに多くてもカウンターで済ませておけ、の一言だもの。あんまり会話する訳でもないのにね~おかしいでしょ。やっぱり冒険者はね、帰ってこない者もいるから、なるだけ無事な姿を見たいのよ」


 「そう思ってもらえて嬉しいです。なら行ってきます」


 「あ、私もついて行くから」


 「受付の方、いいんですか?」


 「朝の混雑は終わったから、いいの、いいの。それより早く行きましょう」


 「はい」


 また側面の解体場へ続く出口から裏へと向かう。敷地内なのですぐについてしまうが、何故か人払いポジのサラシャさん。そして辿り着くと、


 「エドガーさ~ん、連れてきたわよ」


 「お~来たかナオト。で、今回の成果は?」


 「今回は一日分なので大した事ないのですが」


 そういって、草原中の芋虫の糸束と、ムカデと蟻の甲殻を積み上げ、蜘蛛の糸束と蜂の毒針を同じとこに置くと、本日の最大の成果、蜂蜜とロイヤルゼリーを3個づつ取り出した。


 「依頼の薬草は向こうのカウンターの方が良いですか?」


 「ここで構わんよ、嬢ちゃんも来ている事だしな。のうサラシャ嬢ちゃん」


 「ええ、ここで検品と数の確認をさせてもらいます」


 「いいのですか?」


 「人の多い所で目立ちながら待つより、その方が良いでしょう?」


 「はい、ありがとう御座います」


 <なんて、良い人なんだ。こんな顔なんで他の人からの嫌な視線を減らすよう気を配ってくれるなんて。>


 <真逆の意味の気遣いだと思いますが、気遣いには代わりませんね。>


 <嫌な視線じゃなく、よそ者に対する物珍しい視線の事かな?>


 <視線の内容は今はいいのではないですか。>


 <そうだね。これからの努力だもんね。>


 <・・・>


 エドガーさんが脳内会話から現実に引き戻す様に話し掛けてきた。


 「それにしても、これが一日分とはな、一人で狩ってきたとは思えん量だ」


 「私もそう思います」


 「そうですか?これからしばらくはこの状態を続けようと思ってるんですけど」


 「無理してない?」


 「いえいえ、今から宿に戻って睡眠を取って、昼過ぎから出掛けようかと思うので大丈夫です」


 「きつい時にはきちんと休息をとる事も冒険者の務めだぞ、それだけで状況の判断の仕方も変わって来るからな、ナオト」


 「はい、有り難い教え、心に留めておきます」


 「うん。まあ適当に頑張るんじゃぞ、緊張しすぎない様にな」


 そんな会話を終わらせ、それからしばらくの間は森へと毎日通い詰めた。無理はしない程度だがマップが埋まっていくにつれ中心の方にも段々と進み、レベルも順調に上がって行った。そんなある日、


 「ナオト君、商業ギルドの使いの方が来てるんだけど、心当たり有る?」


 「二つほどありますが、どっちかな~。えっと、きちんと決まったらあとで話しますね」


 「何か怪しいな~、ちゃんと後で話してよ」


 「はい、ではちょっと前の建物の方に行ってきますね」


 冒険者ギルドを出て商業ギルド内に辿り着くと、知ってる顔の者の受付へと向かう。


 「ルイさん、こんにちは。お呼びだという事で伺いました」


 「ああ、ナオトさん、こんにちは。後でまた私の出番があると思いますが、先ずはマスターの元へ」


 そう言って建物の最上階の奥にある、ギルドマスターの執務室へと案内された。扉をノックしてルイさんが中へと声を掛ける。


 「マスター、ナオトさんがお見えになりました」


 「おお、中に通してくれ」


 「はい、では失礼します」


 慣れた手つきでドアを開くと、そのままその場で待機した状態で、自分だけを中へと入る様促してきた。なので声を掛けておく。


 「案内ご苦労様です」


 「いいえ、お仕事なので。それではまた後程」


 その言葉を残し受付へと戻って行った。後に残った自分が正面を見据えると、忙しそうに事務処理をこなすゲイリーさんの姿が。


 「お忙しい所すいません。お呼びと伺ったのでまいりました」


 「こちらこそすまん。呼んでおきながら少々処理に手間取ってな。すぐに済むので、そちらのソファーでお待ちくだされ」


 「はい、今日は急ぎの用事などありませんので、ゆっくり待たせて頂きます。なので先にそちらを終わらせて頂いて構いません」


 「気を遣ってもらって悪いな、だが、そうさせてもらうよ。その後ゆっくり話したいのでな」


 ゲイリーさんは机の方へと視線を戻すと、書類へと目を通しつつ、時折サインや捺印するなどの処理を黙々とこなしていた。責任ある方の真剣な仕事ぶりは見ているだけで得るものが有る感じで、自分なんかは早々出会えないそんな場面に食い入るように見入ってしまった。


 「事務処理がそんなに珍しいかね?」


 「真剣に責任を持って仕事されている姿に感動して見入ってしまいました。邪魔になったのならスイマセン」


 「いやいや、ただの事務処理をそう真剣に見る者が今までいなかったのでな。何故なのか気になっての」


 「何の仕事であれ、真剣に取り組む姿勢は、これからの自分の為になる様な気がしたもので」


 「やはり、人とは面白いものだ。大切に育てようとした者がこの姿を見ても退屈そうにしていたのに、普通に野に居る者の中にもこの様に志のある者もいる。この出会いに感謝だな」


 一区切りついたのか手を休めると、立ち上がりこちらに歩み寄ると、


 「お待たせしましたな。それではこの前の話の続きをするとしましょう」


 正面の席に座りながら、話をはじめられたゲイリーさんに、こちらも話し掛けるのだった。


 「はい、宜しくお願いします」

よろしくですです。

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