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狩り再会

やっと街おわりますた。

 待ち遠しい夜が明けた。何時もの如く下の階に行くと、恒例のサラシャさんとの朝食会。


 「で、今日は何処に行くのかな?」


 「先ずは鍛冶師のガンテツさんの元へ行きます。それからギルドに行きますよ、依頼を見にね」


 「はいはい、じゃあギルドで待ってるわね」


 「また後で」


 どんな武器に仕上がっているんだろう。ウキウキとそんなことを考えながら、街のはずれの区画にある鍛冶師たちの工房に辿り着く。さっそく目的の工房へと突入する。


 「おはようございます。ガンテツさん、いらっしゃいますか?」


 「おお、小僧まっておったぞ。品物は?早う見せてみい」


 「では、お待たせしました、これです」


 さすがに向こうのパッケージごと渡すわけにもいかないので、既に取り出してある包丁本体を収納より取り出して渡すと、


 「おお~、すばらしい。なんて鋼の純度じゃ、それも、こ、これは数打ではない、職人の鍛造ものじゃな。なぜじゃ?こんな素晴らしい物を作れるというのに、調理用の包丁だと。小僧の話だと魔物を狩る冒険者が居ないと言っておったな。もったいない、実にもったいない。この技術で武器を作らせたらどんなものが出来るか想像もつかんわい」


 「いや、在りますよ、武器。ただ国が管理の元製造できる本数が制限されてるので、普通の者が手に入れられないだけで」


 「ちょっと待て、そ、それはどんな武器だ、え~い、見たい、見て見たいぞ」


 「う~ん、自分の処の写しの様な物で良ければ、今度見せに来ますよ」


 「絶対じゃぞ。よし、小僧はちゃんと約束を守ってくれた事だし此方も守らんとな。これじゃ」


 そう言って手渡されたのは、


  シャープエッジ(短剣)

  攻撃力+45

  この街の鍛冶師が丹精込めて作った秀作、名付き


 手に持つとズシリとくる重量感が、本物の武器を実感させる凄みを持っていた。刃渡りだけで剣鉈と同じ30cm以上、幅も同じ位。持ち手を合わせると50cm近くは在りそうな厚手の鋼の塊に、短剣でこれなら剣や大剣だと、此方の世界の実物はどんな重さになるのだろう、そんなことを思いながらも、手の中にある得物の素晴らしさに感動し、顔に笑みを浮かべ、


 「ありがとう御座います、ガンテツさん。素晴らしの一言です、それ以外に言葉がでません。こんな素晴らしい物を、その包丁と交換だけで受け取って宜しいのでしょうか?」


 「構わん、というか鍛冶師はな、先の見えない仕事じゃ。そこで満足と思ってしまえばそれまでの、そんな職業じゃ。この小さな街で儂も遅かれ早かれそうなりそうな所に、新しい発想をもたらすような物を届けてくれたんじゃ、此方こそそれでは足りないと思う位じゃ。遠慮なく持って行ってくれ」


 「では、有り難く受け取らせて頂きます」


 「おう小僧、お前は気に入ったので此処へはいつ来ても構わんぞ。ついでに写しもちゃんと持ってきてくれよ、でわなナオトという小僧」


 「はい、ありがとう御座いました。必ず早めにまた来ます、では」


 ちゃんと名前を憶えていてくれたんだと嬉しくなり、急ぐ足にも勢いが増す。せっかく全てが揃った状態なのだ、依頼を確認だけなんて勿体ない。そう思い一旦宿へと引き返す。服をこの街で買った上下に着替え、その上に皮の胸当てを装備しグローブをはめ、腰には作ってもらったばかりの短剣が同じサイズなのでちゃんと鞘に収まっている。収納にはポーションもあり、非常食も。すべてを整え、


 「さあ、行くか」


 気合を入れる為声に出し颯爽とした足取りで冒険者ギルドへと向かうのだった。




 「じゃあ、森の方に薬草採取がてら魔物を狩りに行くのね。で、帰りは明日の朝になると?理由を聞いても?」


 「蜂の魔物の、ロイヤルゼリー高値で売れたじゃないですか。あれ狩るの夜じゃないと駄目なんです。昼間は巡回している蜂が多すぎてすぐ仲間を呼ばれてしまいますので」


 「う~ん、でも~一人なんでしょう。素材を持ってきてるから出来る事は判ってるんだけど、ちょっと心配ね」


 「危ない目に合いそうならすぐに戻りますから」


 「絶対よ、じゃあきちんと装備も冒険者らしく整えた事だし、許可しましょう。くれぐれも無理はしない様に。それと薬草の種類を間違えないようにね。薬草採取は常備依頼だから依頼書ははがさなくていいわ、毎日来てらっしゃるしね。いってらっしゃい」


 「はい、行ってきます」


 ギルドで許可を貰い建物を出ると、この前まで通い詰めていた森に数日ぶりに戻る。夏休み中ず~と狩る予定だったのに、居心地の良い空間に予定外の事までこなし、時間を掛けてしまった。それでも後悔が全然ないのは出会った人達のおかげだろうと思いつつ、全力で駆けていく。

 以前の体力ならそもそもこのスピードで走ること自体出来なかったが、それでなくても5分も走れば息切れしていたであろう道程も、力尽きる事無く走り続けられることに嬉しくなる。それでも、


 「まだまだだ、もっと頑張るぞ~目指せ総魔力量増大。こちらの皆に見劣りしない、そんな人物になれる様に」


 <あんまり気合を入れすぎると、人外になると思いますけどね。>


 <あれ、ケイさんなんか言った?助言聞き逃した?>


 <いいえ、何でもありません。頑張ってください。>


 <ありがとう、頑張るよ。>


 さりげなくいつも助言をくれるケイさんに、かなり助けてもらっているなと感謝しつつマップを開き、索敵をかける。前回は何もわからず確認しながらゆっくり歩きで街まで行ったが、その逆で全開の駆け足だと早々と辿り着けた。そして何時もの狩りを開始。赤いマーカーに向け用心しながら近寄り、手に装備した短剣で理想の剣筋をイメージしつつバッサリと、


 「え、手ごたえが軽い。軽すぎる」


 ゴムの様な表面をしていた芋虫が紙を切り裂く様に簡単に切り裂けた。手に持つ刃物を見つめその素晴らしさに再度感激すると、


 <冷静に、冷静に。二の舞ダメぜったい。>


 そう心に誓い直し気合を入れ直す。ここで油断したら前回と同じなのだ。そう思い直して草原をひた走り芋虫を退治していく。それが居なくなる頃にはムカデと蟻がいる。フリーズを使い凍らせて砕く。敵を倒す作戦を思い浮かべながら、うん、次はウォーハンマーでも頼んでみようもっと有利に戦えるかも、そう考えつつ過ごす。森へと入るのが夜と決めているので、それまでの時間を慎重に草原の魔物へと使いながら時を待った。

 日が落ちて二つの月の片割れが空に現れた頃、トーチを使いさらに慎重に森の中を目指す。ここまでは順調だ。なにせ繰り返してきた事だ。だからこそこれから先は不慣れな分ゆっくりと進んで行く事にする、今日の処は入口のマップを広げる為に。


 <急がば回れ、だね。>


 <それでいいと思います。いつまでに、という期限のある事では無いのですから。自分を育てる、それだけでいいと思います。>


 <そうだね、レベルさえ上げられれば、本来は森になんか入らず草原でもいいんだから。>


 <そういう事です。ただレベルが上がれば上がるほど奥に行かねば上がりにくいと言うだけです。ですので無理のないよう、強くなった分だけ、奥に進めばいいと思いますよ。>


 <そう心に刻んで頑張ります。>


 注意深く敵へと近づきながら手前から順にと、狩りを進めて行くのだった、朝になり薬草採取をしてギルドへと帰るその時間まで。

よろしくですです。誤字報告ありがとでした。修正しましたです。

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