優しい街
連休パワーの続投ですた。
お次は、此方の服を調達に、馬鹿にされて追い出されそうで怖いけど洋服屋さんへと行きますか、っと。
「こんにちは、上と下を二揃え欲しいんですが自分に合うのあるでしょうか?」
「あ、いらっしゃ~い。ハイハイありますよ~、というか今から見繕いますね。それにしても~、よく見れば仕立ての良いお洋服を着てらっしゃいますね~。それに何この肌触り、見た事ないわ~。もしかしてお貴族様?失礼しました」
「あ、いえいえ普通の平民?ですよ。それにちょっと遠いとこから来たもんで、見慣れないかもですが、故郷ではこれが普通の生地です。」
「そうなんですか~?それが普通なんてすごい所もあるもんなんですね~。もしかして生地手に入ります~?」
「調べてみないと判りませんが、手に入るかも?です」
「手に入った~ら、是非是非私のお店に売ってくださいね~、お願いしますよ~、本当ですよ~」
「あの~今日はしばらくこの街にいる事になったんで、今着ている服、これだけの着の身着のままで来てしまったんで、替えの服を買いに来たんですが」
「あ、そうでしたね~、私としたことが、夢中になると~ついつい。すいませんすぐ選びますね~」
「お願いします」
「何分田舎な物で~デザインなんかも~同じ物しかなくて色も~そう多くはないんですが、皆が買えるようにサイズだけは揃えてあるんで~、任せてください~」
言葉は伸び伸びでおっとりしてるけど、結構てきぱきと選んでくれている。そんな様子をみていたら、
「お客さん達それぞれをみてて~もっと似合う服を~といつも思うので、今服の仕立ての勉強をしてるんです~頑張って作れるようなりますんで、またお店に買いに来てくださいね~絶対ですよ~。で、これです、二揃え。これでいいですか?」
「はい、それでお願いします。お幾らですか?」
「四点で銀貨6枚です」
「はい代金です。これからこの街でお世話になるナオトと言います。宜しくお願いしますね」
「はい、この洋服屋の娘でカナといいます~こちらこそ、よろしくです~」
「では、また来ますね」
「出来たら生地お願いしますね~待ってますよ~本当ですよ~」
お店を出てすぐ脳内会話。
<作業服選ぶとき生地にまで気が付かなかったけど、こっちにはもちろんポリエステルなんてないよね。ちゃんと調べて綿の服にすればよかった。でもシルクなら虫の糸束が出回ってるんでありそうだけど、そっちの方が高級じゃないかな?>
<芋虫系や蜘蛛系の糸束を紡いで布を作り縫製するのはかなりの時間と技術を要するので、こちらでも高級品で王族や貴族、大商人しか着ないと思います。>
<じゃあ、シルクも駄目なら選択肢は綿一本だったんだね。ここで買い物したから、良いけどもし次買う事があったら気を付けないとね。>
自分では気づかない様な此方との違いが出て来ると、もっと注意が必要かなとも思う反面、専門家じゃないと判らないし、専門家なら見抜けるってことを自分が前もって気付くのも難しいなと思い、自分の知識では全てを判る訳はないので、これは明らかに持ち込んだら駄目だろうというのは出来る限り判断するという事でいいや、と思い直す。で次々っと、今度はこちらの食材を見に。
「こんにちは」
「はい、いらっしゃい」
「え~と、普段食べる様な物は今度住むとこを決めてから買おうと思うので、今回は冒険者が依頼を受けて外に出る時の軽食や非常食を買いたいんですが、あるでしょうか?」
「ありますよ。こちらの棚の方の商品がそうですね。軽食何かは毎朝作って販売してるので売り切れしだい終わりですが、非常食の乾燥肉や乾燥フルーツは日持ちしますので、随時置いておりますよ。どうなさいますか?」
「じゃあ、この乾燥肉と乾燥フルーツを一袋ずつとこの軽食をください」
「はい、じゃあ大銀貨2枚と銀貨1枚ね」
「はい、じゃあこれお代です。これからこの街でお世話になるナオトといいます。宜しくお願いします」
「はい、こちらこそ。小さな町なので、肉、野菜、フルーツまで一軒で何でもそろう食料店のこの店を今後もご贔屓に。私はエマよ、よろしくね」
時間を掛けて五件もの店の色んな物を見て回ったのでもう夕方、最後にまたギルドへと戻り、朝出がけに心配してくれたサラシャさんに、報告を。
建物の中に入り、仕事中の彼女の元に行っても邪魔になりそうなので、終わるのを待つついでに、次回の為、依頼の貼ってあるとこに行き、どんなものが有るか確認しつつ、ラノベ定番の薬草採取や近辺の雑魚退治依頼を眺めていようかと壁際へと向かっていると、目ざとく見つけたサラシャさんが呼びかけてきた。
「ナオト君、こっち、こっち」
「お仕事中、邪魔にはなりませんか?今日の用事は終わりましたんで、隅の方で待ってますよ」
「あぁ、いいのいいの。ここはね、小さな街だから、住人全部が家族みたいなものだから。今の現役冒険者なんか此処のギルマスやうちの父、母にあこがれてこの職業に就いた人が大半。なので私の事も小さなときから知っている娘みたいに見てくれてるから、余程常識を逸脱しない限り、何も言ってこないわよ」
「そうなんですか、なんかいいですね。そういうの」
「でしょう。で、新人冒険者さんは街への冒険は済んだ?楽しかった?」
「はい、自分が住んでた場所と違い、ここの皆は優しく相手をしてくれました。今日一日で尚更大好きになりました」
「よかったね、何処に行ったか後で話を聞かせてね」
「はい、もちろんです」
そう約束した後、受付で余り話し込むのもと、良いとは言われたけど辞退し、壁の方へと移動して先程しかけた依頼を眺めつつ時間を潰し、一緒に宿へと帰ると、食事の時、今日の出来事を人に話して聞かせるなんてことを人生で初めてしてみるのだった。
よろしくですです。




