欲しい物?
商業ギルドの話だけで、もう一話つかってしまいますた。
「おい、親父なんでそんな奴に気を遣ってんだよ。良い品物ならこっちに寄越すように言えばいいんだよ」
「何処で教育を間違えたのやら、嘆かわしい。小さい頃は父上の様な立派な商人になると言ってくれていたのに。なので良い見本になる様にと、儂に付かせて学ばせたつもりが、学ぶべきを学ばず、見なくてもよいものばかり見たようだな」
「だから、さっきから何を判らない事言ってんだよ。そんな若造の持ってる品物くらい、俺が言えば・・・」
「お前こそ、さっきから何を言っている?喋るたびに儂への印象が悪くなってるのが判らん様だ。おい、上に立つ商人に必要だと思うものを二つ言ってみろ」
「物を集めれるだけの力と人を集められる権力だろ」
「ふん、馬鹿者が。勘当確定だな。商人とはな、商品を正確に見抜く目と、相手を正当に評価できる目を持たねばならん。商品の価値をきちんと判れば其れだけでも人は集まり商売は出来よう。相手もまた然り。素晴らしき者をきちんと評価できればそれだけでも物は集まってこよう。もし両方を持つものがあれば、逸れこそが商人の上に立つ大商人になれる証じゃ。お前はこの場で両方が備わっていない事を証明してしまったんじゃ」
「だからさっきから何を言ってんだよ」
「ここまで言ってもまだ判らんか?その両方を持つものが目の前にいるのに気付かんと言っておるのだよ。もうよい、ルイすまんが衛兵を呼んでくれ。取り敢えずこの場からその痴れ者を連れ出す様に」
「いいのですか?」
「ああ、いいのだ。出来る限りはしたつもりだ。ナオト君にも迷惑をかけたな」
その後、本当に衛兵が男を連れ出すと、場を仕切り直す様にゲイリーさんが、告げた。
「ナオト君、冒険者カードを預けてもらえないかな?商業ギルドの会員証も同じカードに登録できるのでな。個別に作らずともいいようになっとる。先のお詫びに、取り敢えず登録させてもらおう。審査は先程済んだしな」
「こちらでよろしいですか?」
「うむ、ではルイこれをもって登録をしてきてくれ」
「承りました」
カードを預かったルイさんが部屋を退出すると、
「よし、これで人払いも済んだ事だし、少々話を聞いてもらっていいかね?」
「ええ、自分でよい事であれば」
「まぁ、独り言程度で聞いてくれ。幾つかあるが、まず見せてもらった商品だが、ちと品物が良すぎる。辺境の小さな商業ギルドとはいえ、そこの一応はマスターだ、それなりにこの世界に出回っている物の品質は知っているつもりだが、これほどの物は聞いた事が無い。それも全商品が、だ。次に君自身だ。その若さで、その知識、きちんと教育を受けていることが判るが、この世界、教育を受けられるのは、王族、貴族、大商人のみ。しかしそのいずれでも、君の名を聞いた事がない。これはこの国の教育を受けたもののみが知る事だが、この東の果ての何の取り柄のない辺境が、何故国が見捨てずお金をかけてまで存続させていると思う?」
「いえ、それは此処出身ではない為、判りかねますが」
「そうだろうな。それはな、歴代の英雄や勇者と言われた人物が何故かこの街から生まれたり、現れるからよ。まぁ、もっとも歴史に出て来るだけで最後の方からでも何百年も前の話だがな。さりとて王族もその血筋、この場を無下にはせん。そういう理由だ。なので聞く、君は稀人という存在か?」
<ケイさ~ん、どうしよう、ヘルプ~>
<まあ、神もこの地によく向こうの世界の人を死なない様連れてきましたので、その名残ですね。今回はまぁ神側の責任という事で。他言無用という事で、承認を。品物に関しては、転移ではなく取り寄せられるスキルという事で。街に居ないときの事は、冒険に出掛けるという事で誤魔化しを>
<了解。ありがとう>
「他言無用でお願いしていいですか?」
「ああ、絶対に漏らさぬことを、この商業ギルドのマスターとして誓おう」
「他の世界から来たのが稀人という認識なら、そうです。むこうの森に飛ばされてきました。つい先日」
「やはりそうか、ならばこの品々にも納得がゆく。何百年も前の勇者の持ち物すら、いまだ再現できないと聞いた事があるからのぉ。
で、本題じゃが、その品々はどれ程融通できる?持ち込んだ分であろうが、その品質なら間違いなく、王族、貴族、大商人、料理人共がこぞって買い付けるだろう。値段はまあ時価になるだろうから君には後払いになるがな。そこは責任もってこちらが処理をし、きちんと代金は払う様にする。なので売買はうちに任せてもらえないか?」
「え~と、言い難い事ですが・・・」
「うむ、なんじゃ?」
「品物なのですが、欲しいだけどれ程でもと言ったら?」
「な、なんと?こちらに居てもどれだけでも手に入ると?」
「向こうの世界への等価交換の様なスキルを持っているとだけ、言っておきます」
「うむ、それはそれで支払いに対して悩むのぉ、こちらに支払いに値すべき物が有るかどうか?ナオト君や、何か入用な物はないかな?取り敢えず最初は欲しいものをこちらで用意し、値段を提示したうえで、それが値段と等価になるまで品物を受け取るというのはどうじゃ、まぁ現金もいる時は有ろうから、現金でも幾らかは用意するつもりだが」
<良い条件だと思います。建物も手に入るかもしれませんし>
<そうだね>
「大変いい条件だと思います、それでお願いします」
「察するに、何か欲しい物が有る様だね」
「ええ、鍛冶を出来る自宅兼建物をいずれ個人で所有したいと思っていましたので」
「この街で?」
「ええ、この街で」
「栄えた王都などならいざ知らず、こんな辺境で良いのかね?」
「いい人に沢山出会えたこの街がいいのです」
「判った、喜んで君の気に入る様な建物を用立ててみせよう。準備出来たら連絡をしたいが何処にすればよいかな?」
「双樹の憩い亭に、宿泊していますのでそこにご連絡を。品物の方は魔力量的に直ぐには出せませんので必要な物は少し前に品物と量をお知らせください」
「うむ、了解した。ではこれからもよき取引をお願いしますぞ」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「受付の方で帰りにルイからカードを忘れずに貰っていってくだされ」
「はい、判りました。それでは本日はこれで」
「うむ、ではまたの」
挨拶を済ませ、受付へと赴きルイさんよりカードを受け取り、建物を出ると日暮れの様相に慌ただしかった色々な出来事を思い出し、今日はもう休むぞと強く思い、宿へと戻ると食事をさせてもらい、身体錬成を行いながら、すぐに眠りの世界に旅立つのだった。
よろしくですです。沢山の評価ありがと~です。それが書く意欲になってるです~。




