いざ売り込みに
懺悔します。前回言ったガンテツさんのとこにまでいけませんですた。こんな作者をお許し下さいです、です。
何とか無事に家へと帰りつくと、来た時とは逆に厚手の服の方に着替え、買い終えた品物を確認しつつ、双樹の憩い亭に支払いはしているので勿体ないと、自宅に泊まる事はせずに、向こうの世界へと、即転移した。この前まで何事にも消極的で、決めた期限までに何とかというタイプだと自分で思っていたのが、最近では出来る事は直ぐやろうという心持で、何故かすべてが早く片付いてしまう、そんな状況に驚きつつも悪くないなと思ってしまう、そんな自分が居た。
今回もガンテツさんとの約束は明後日で、それまでは武器が出来上がるのを待つしかない状態なのだ。なのに今日一日で終わらせてしまったので、その間如何したものかと考えつつも、先の事を見据えて街の中の色んなとこを見て回る事にした。まぁ~、よくよく考えれば商業ギルドでもいろいろできる事があるので行ってみたいとは思っていたし、道具屋なんかにも行ってみたかった。それに薬屋も。此方の世界は見た事もない物に溢れていて全てが珍しく興味をそそらせる物ばかりだと改めて思うと、逆に行きたくない場所は?と思えてしまう程だ。なので退屈するよりは、とすぐに行ってみる事にする。
先ずは先立つものがないと全て冷やかしになってしまうので、金策がてら商業ギルドへと向かった。場所はすぐに判る。なにせ依頼などでも連携を取りやすいよう、冒険者ギルドの建物の通りを挟んだ真向かいなのだ。なのでその建物へと到着するとさっそく中へと入って行った。なにせ商業ギルドでからまれるパターンはラノベではあんまり聞かないからだ。それから中を見渡し受付カウンターを見つけると、真っ直ぐにそちらへと向かっていった。そして何時もの如く正面に見える職員に声を掛けた。
「すいません。宜しいでしょうか」
「はい、何のご用件でしょうか?」
「色々とお伺いしたいのですが、お時間は宜しいでしょうか?」
「ええ、構いませんよ。どんな事でしょう」
「まず、自分は冒険者で商業ギルドには登録してないのですけど、商品などの取引は可能でしょうか?」
「可能かどうかですと、可能ですが、登録してあると色々と特典がつくので取引を続けて行うのであれば登録した方がお得ですよ」
「どんな特典かお伺いしても?」
「ええ、大まかな所で言えば個人での商売の許可が下りるという事と、収める税の軽減ですね。個人の商売の許可は持っていると行商なりお店を開くなり出来るという事です。持ってなければ商業ギルド内での取引しかできないという事ですね。それに伴い、掛かる税も個人売買が許されている者は売り上げに対しての一定額の国に治めるべき税で済みますが、ここでの取引ですと売買をしたとして国へ治める分と此方もその品物を売買したとして国に治めなくてはならなくなりますのでその一部をのギルドへ治める分の税として徴収されますので多めに納めなくてはならない、という事ですね」
「丁寧な説明、ありがとう御座います。では、自分としては、調味料などを都合したいと思っていました。なのでこちらで需要の割に品不足だというものがあればお売りしたいと思いますが、何か思い当たる品目など御座いますでしょうか?別段間にあってると言われてしまえば、登録する必要が無くなってしまいますので」
「ここで即返答とは申し訳ありませんが出来かねます。今のところこの辺境までの輸送もしているという事で割高であれ取引先からこの街の者が生活できる分の品物を売買しておりますので、それ以上の必要性を感じる品質や種類かによって売買するべきかどうかが変わってまいりますので。う~ん、判りにくいですね。簡単に言えば今の取引先から生活に必要な100%の商品を購入する約束をしてるとして、趣味であるにしろ品質であるにしろ、それ以上に欲しいと思われる品なら購入可能です」
「では、製品をお見せするとして、それで判断は出来ますでしょうか?」
「場所を移して、他にも職員をお呼びしても?」
「ええ、構いません」
「では、取引用のスペースがありますのでそちらの方へ移動しましょう」
そう促され、個室になっているそのスペースに通されると、他の職員を連れてきますのでお待ちくださいと、席を進められた。なのでその間に交渉術を意識して、使用し相手を待っていると、程なくして先程の受付の方と別に二人の職員が入って来た。なので応接のソファーの様になっている向かいの席に三人並んで座られたのだが、一番貫禄があり紳士然とした方は、最初終始目を伏せ全ての様子を窺っているようだった。なので交渉の方はもう一人の方が受け持っているようだったのだけど、此方の年齢で侮ったのか、与し易しと思ったのか、
「商品を個人で売りつけに来られたとか?お見せいただいても」
「取り敢えずこれらの商品をと思ています」
いきなりこの言葉から始まったが、これからの取引を考え砂糖、塩、胡椒のラノベセットを取り出し一言添えてテーブルへと置くと、いきなり許可も取らず開封して、
「この程度の商品でしたら、いま取引のあるものとそう変わりませんね。どうしてもというなら取引しても構いませんが、それなりの値段だと思って下さい」
真っ赤なエフェクトを背負いながらそう言ってくる相手に、武器屋の店員を思い出しながらも、商売の基本かもと、もう一度、
「自分の鑑定ではある程度の品質だと自負してますが、値段はつきませんか?」
そう訊ねるも、顔を歪ませ、こう言い放った。
「私の鑑定が信用ならないとでも?それでこれから先、この街で取引が出来るとでも思っているのかな」
「ならばもう取引はせずとも構いません。最初の受付の方に申しましたが自分は冒険者です。他所の街に行ったとき、高値がつけばそちらで卸す事にします」
頭の中には、もうこの街で商売する気はなくなり、収納へと商品をしまおうとすると、手を掴まれ、
「我々に時間を取らせたんだ、これらの製品は置いて行け」
と言い出した。案内してきた受付の者も、うつ向いたまま何も言わず、経過を見守っているだけだったので、もうここはと、掴まれた手を反対の手で掴み、壁の方へと相手ごと投げ飛ばしてやった。
「こ、この~」
ヨタヨタしながら何とか起き上がりこちらを睨みつけ、お決まりのセリフを言ってくる。
「きさま~ただで済むと~・・・」
「ぐ、わっはは、いや~久し振りに笑わせてもらったわい」
いままで黙って聞いていた紳士然とした態度の方がいきなり会話に被せる様に入って来ると、
「いや~済まなかった。バカ息子が自信満々に取引は任せてくれというもので、どの位成長したかと思ってみれば、こいつには任せられない事が良~く分かった。君の方もこれから先、品物を売るという事はどんな相手とも相対していかなくてはならない者として、どんな人物かも試す意味でだまっていたが、ただ大物の相手に流されることもなく必要な事は言える人物と伺う事が出来た。それだけで商品以上の価値があったよ」
笑顔でこちらに向け話し掛けて来る方に唖然としていると、
「バカ息子はもう表に出る事は無いとして、儂はこの商業ギルドのマスターをしている、ゲイリーという。最初に受付したものはルイだ。で、この商品儂と取引してくれんか?ちゃんとした値段を出そう。君の鑑定スキルが納得するような、な」
「わかりました。冒険者をしているナオトと言います。これから宜しくお願いします」
にこやかな笑顔で手を差し伸べたゲイリーさんと握手をかわし、これから取引相手として付き合っていく事を心に刻んだ。
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