閑話
閑話というなの人物紹介です。武器職人さんは登場したばかりで次話でも登場するので、次回があればという事で。クラスメイトは夏休みが終わってからの登場という事で、前振りです、です。
-side ダイクー
俺は昔冒険者をしていたダイクという。気の合う仲間達とそれなりにギルドのランクを上げ、そこそこ有名なパーティになった時、調子に乗り不相応な依頼を受けてしまい大怪我を負った。いい仲間たちに恵まれ見捨てられる事もなく、担がれながらも街へと辿り着いたが、治療が終わっても足が元の冒険者には戻れる様には治らなかった。幸い今までの功績を鑑みて、街の連中が門番の一人としてやっていけるよう手配してくれたので、それからは門番として心を入れ替え街の為に尽くそうと努力してきた。
そんなある日、いつもの様に地元の人間達ばかりが往来する、東の森にしか続かない門へと立っていると、地元の人間に紛れ、見た事もないような奴が通り過ぎようとしていた。その時はまるであの大怪我を負った相手と対峙した時の様な、冷や汗が背に大量にあふれ出すような、そんな感覚に襲われ、相手の顔立ちと魔力量についつい声を荒げ、
「おい、お前何処から来た?その顔立ちはエルフか?いや人間か?取り敢えずこっちに来い」
と呼び止めてしまった。よく見れば年若い少年と気付き、此方も落ち着いて詰所へと案内をし、真偽の水晶という魔道具で確認しつつ、会話をしてみたが、ビックリするような丁寧な言葉遣いのおとなしい少年だった。目的は冒険者登録をして身分証を作る事らしい。田舎のギルドもない所から稀にそう言う若者が来ることはあると知ってはいたので、何も怪しいとこもなく素直な態度の少年に悪い事をしたなと思いつつ、目的地のギルドの場所を教えてやると、これまた丁寧に礼を言われた。聞いた中で少年は気に入れば街に長く滞在するかもと言っていたので、今度俺が立っている時に狩りに出かける為、前を通る事があったら、冒険者時代に行っていた、良い狩場なんかを紹介してやろうと、ギルドへ向かう気に入った少年の後姿を見ながら、そう思うのだった。
-side サラシャー
私は冒険者ギルドの受付嬢を務めているサラシャと申します。両親が双樹の憩い亭という宿を営んでいますが、若い頃はここのギルマスと同じパーティに居たとかで、その縁で15歳の成人後、まずは見習いとして入り5年目の今、正職員として頑張っています。隣の受付には後輩も入りましたし、面倒を見つつ頑張っています。そんな他愛無い日々の中、代わり映えしない街の冒険者を相手に毎日を過ごしていましたが、受付嬢歴代のお約束の様な、将来見込みのある(と本人が思っているだけです、お姉さま方)様な冒険者と結ばれるという事もなく、気になる相手なんて私達の同年代には出ないんじゃ、と考えたくなるような小さな町のギルドの状況で、その日奇跡は起きました。
隣の受付の子が薬草採取の依頼(という名の若い子との毎日のお喋り)にいらっしゃっている、薬屋の(ボンクラ)息子さまと会話している時、書類整理でもと事務をこなしていると、前の方から声を掛けられました。いつものこの時間、ギルドに顔を出されるのは、隣に来ている(暇人の)方位なのでどなたなのかと顔を上げて見れば、運命の人が。
森の精霊の血を引くと言われるエルフに近い顔立ちの美少年が目の前に立っていました。その瞬間の事はかなり慌てていたのかよく思い出せませんが、落ち着いてからは丁寧に丁寧に相手をさせて頂きました。会話を続ける中でナオト君と呼んでいいと言われ、他の手続きなんかも率先して受け持ち、(ええ、他の女性職員になんか渡しません。ですから横から色目を使わないで)素材売却の手続きも担当しエドガーさんの処にも私自身で案内し、宿泊先の紹介をと言われ、(やはり運命?などと考えつつ)両親の宿へと案内し親しくなる計画を立て実行するべく行動に移すのでした。
‐side エドガー
この街の冒険者ギルドで、魔物の解体作業と査定を担当しているエドガーという。この国の東の果ての辺境にあるこの街は、周囲に幾つかのダンジョンはあるものの、そうランクの高いものではない為、実入りも少なく街の若いのが初心者を抜け出す為挑む程度のものだった。なので当然そんなに解体作業も忙しくなるという事もなく、ボチボチという感じで日々を過ごしていた。
ある日受付嬢の一人が慌てた様子でこう告げた。
「今日冒険者登録をされた新人の方が、買取カウンターに入りきれない程の素材を持ち込んだので、その置き場の確保と買取査定をして欲しいそうです」
と、なので新人と聞いた事でもあり生意気なと思いつつも、嬢ちゃんに連れてこさせれば、体格も小柄で顔立ちも整い過ぎているどこかのボンボンといわざろう得ないような少年を連れてきた。こいつがそんなことを言ったのか?どうせ大した量じゃないんだろうが、少し懲らしめてやるか、と手を差し出し、少年も伸ばしかえして来た手を、握り潰しはしない程度に力を込めて挨拶がてらの握手をすると、同程度以上位の力で握り返して来た。相手の表情を見るにまだまだ余裕が伺えることから、自分の方が侮っていた事を悟り、真摯に話しかけてみると、驚くほど根に持ったような感じはなく素直に話を聞いてくれた。なので此方としても出来る事はしてやろうという気持ちになると、出させた素材を見て呆れかえった。これの何処が新人なんじゃ、と心の中で叫びつつ、明日までに終わらせる為急ぎ査定の仕事へと取り掛かるのだった。
-side 棗 京子-
今日、子供の時からの友人のしぃちゃん(柊 静香)と遊びに出掛けた。最近は友達も増えて、大勢で出掛けることが多かった為、二人で出掛けるのは久しぶりで買い物などして過ごしつつ、色んな所を巡っては楽しんでいた。そんな時数人のガラの悪そうな人たちに囲まれた。
二人して断っているものの、相手は全然聞く耳を持たず周りは見て見ぬ振りをするだけ。泣き出しそうになりながらも、不良たちの手を振りほどこうと一生懸命になっていると、教室でいつも不良グループに脅されているブサイクな顔立ちを長い前髪で隠した奴の声がした。パーカーを被っている為ぱっと見ではあるけれど本人みたいなので、いつも虐められている奴が何を、と思いながらも後で何か言われてはたまらないと、
「その髪型に、その声、キモデブじゃん、こんなことしても恩になんか着ないんだからね」
そうはっきり告げるも、否定せず、馬鹿にされたことを気にした様子もなく怒って見捨てる事もせず、盾になって逃がしてくれた。一旦思いっきり二人でその場を逃げ出したけど、この前不良グループに暴行を受けて入院してた事を思い出すと、後味が悪くなって見つからない様につけて行き、酷い事になったら救急車位は呼んでやろうと隠れて見ていると、暫く会話しているように見えた後、不良たちは逃げる様に何もせず去って行った。その状況に唖然としつつも、怪我などないか覗いていると、何台も一遍に通過する車にあおられパーカーが頭上より零れ落ちると、そこには風にあおられ丸見えになった凄い美形の顔が(断じてブサイクの顔ではない)あったのを目の当たりにしつつ、隣にいる友人と顔を見合わせ、ついつい二人で声を揃え叫んでしまった。
「「あ、あれ、誰なの~」」
よろしくですです。




