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素材売買

ごはぁ、ギルドの話が終わらないです。

 「サラシャさん、此方のギルドでは魔物の素材の買取はおこなっていますか?」


 「ええ、おこなっていますよ。この受付の右端の方に台が広くなっている場所が見えますか?あそこが買い取りの窓口になります。ナオト君は今日登録したばかりなのに魔物の素材を持っているのですか?」


 「この街に辿り着く前に結構な日数、ウロウロしましたので、その間倒した魔物の素材をそのまま収納に入れて持ってきています」


 「では、あちらの窓口に向かわれて下さい」


 「わかりました。ありがとう御座います」


 会話を終え、言われた窓口へと歩いて向かう。周り中物珍しいものが溢れているので視線を向けると、稀に他の人と目が合ってそらされる、


 <慣れているとはいえ、やはりつらいなぁ、何時かは親友とまではいかなくても、友達位は出来るかな?>


 <目をそらされてる理由が昔とは違うものかと、それと友達であれば先程の方になど申し出れば二つ返事だと思いますが。>


 <いやいや、それはないよ。職員として気丈に他の人を近づけない様にまでしてるのに、プライベートの友人なんて無理無理>


 言われた買取窓口に到着したので中の方に声を掛けようとしたところ、


 「こちらは買取の受付になります。お客様、ご利用は初めてでしょうか?」


 「あの~サラシャさん、ここで何をしているのですか?」


 先ほどまで向こうのカウンターで受付をしていた彼女が、此方に来て座っていた。自分が歩いてここまで来る間に来て、もう座っているという事はダッシュでもしたの?という感じの早業である。そこまでして他の職員に相手をさせたくないのかと、がっくりと頭をもたげていると、


 「此方の窓口は、空いている職員が対応する様になってまして、特別専属が居る訳ではないので、案内ついでに私が担当させて頂こうかと。ご迷惑でしたか?」


 「いえいえ、とんでもないです、助かっています。自分は知らない人との会話があまり得意ではないので、そうして貰って助かってます」


 他の職員で相手しろ~と言いたい訳でもないので、素直に相手の提案を受け入れてると期待した視線を向けながら、目の前の彼女が声を掛けてきた。


 「ではこのテーブルの上に素材の方をお出しください」


 「え~と、ここにですか?少しずつとかですか?」


 「全部出されて結構ですよ。何か問題がおありでしょうか?」


 「持っている素材全部だと、とても乗り切らないと思うので」


 「そ、そんなに多いのですか?」


 「ええ、かなり」


 「し、しばらくお待ちください」


 また奥の方へと入って行く彼女を見送りながら、


 <他の方は、朝依頼を受けて依頼分だけ回収して夕方戻るみたいな感じなのかな?このテーブル分というと。>


 <余程良い収納袋の魔道具や収納スキル持ちが居ないと、素材全部を持ち帰るというのは無理だとは思いますが、索敵やマップの性能なども影響してますので、貴方様の狩りの討伐量は多い方だと進言します。>


 <そうなのか、ありがとうケイさん。また間違う処だったよ。>


 <そう素直に自己評価の低いとこも聞き入れて下されば助かりますが。>


 <なにかいった?>


 <いいえ何でもありません。>


 「お待たせしました。確認したところ、裏にある解体場が今広く開いているという事なので、案内しますから、ついて来ていただいて宜しいですか?」


 「サラシャさん、ありがとう御座います。よろしくお願いします」


 正面ではなく横の出入り口より一旦外に出て、敷地内ではあるが裏の方へと回り込むと、体育館の建物の様な物が鎮座していた。入口の間口は広く高めに作ってある、そんな建物だ。自然と視線を奪われ立ち止まり眺めようとしていた所、よどみなく先へ先へと歩いて行くサラシャさんに置いて行かれそうになり、慌てて後を追いかけた。


 「サラシャ嬢ちゃん、この坊主の獲物かい?そんな出来そうなやつには見えないが?」


 「ええ、エドガーさん、此方のナオト君の素材です。ナオト君、此方は解体と査定なんかを担当しているエドガーさんです」


 「初めましてエドガーさん、直人と申します」


 「えれ~丁寧な言葉遣いの坊主だな。ま~礼儀知らずの奴よりは余程いいが。ナオトだったか、これから宜しくな」


 いきなり手を差し出され、挨拶の握手かと手を差し出すと、いきなり力を籠めて握り込んできた。なので此方も力を籠めて握り返すと、いきなり笑顔を浮かべながら、


 「あ~すまん。俺の目も鈍ったもんだ、容姿と言葉遣いでどこかのボンボンかと思っていたが、相手の実力を見誤るとは、俺もまだまだ修行が足りないようだ。あらためて、宜しくな、ナオト。素材はそこへ出してくれ」


 「ここで良いですか?では出しますね」


 部屋の真ん中を指定するあたり、かなりの量出しても構わんぞ、と言われている気がして、此方もなぜだか他人から初めて認められた気がしたので笑顔が浮かび、次々と素材を出していく。ワイルドクローラーの糸束が一番大量なのだが、デーモンスパイダーの糸束も結構ある。タイラントセントピーチやジャイアントアントの甲殻、キラーマンティスの鎌、ヘルグラスホッパーの羽根、ポイズンワスプの毒針など向こうの世界でも持っていても何にもならない魔物のドロップ素材を、ここで処分と言わんばかりに積み上げた。途中、エドガーさんと、サラシャさんが呆れたような顔をしているように見えたが気のせいだろう。

 あらかた積み終わり視線を二人えと向けると、


 「あ~ナオト、すまん。まだまだ舐めてたみたいだ。一人でこんだけ狩ってるなんざ思いもしなかった。査定をするのに今日中じゃあ無理そうだ。結果は明日にしてくれ」


 向こうに帰っても一人暮らしの自分は食事の用意なども自分でしなくてはいけないので、普通ならそろそろ向こうへと帰る事を考える時間ではあるのだが、門番のダイクさんにしろ、受付嬢のサラシャさんにしろ、このエドガーさんにしろ、この街で出会た方は今のとこ良い方ばかりなので、お金がありいい宿が有るのならこちらに泊まるのもあり?などと考えて、


 「サラシャさん、この街にお勧めの宿とかありますか?それとエドガーさん、今手持ちのお金が全くないんで宿に泊まるのに、このスパイラルホーンラビットと蜂蜜がどれくらいあれば払える位になりますか?」


 「おいおい、こりゃ巣ごと退治した時に稀に出るロイヤルゼリーの瓶もまじってるじゃねえか、この瓶一本で貴族の奥様方が大金を払う一品だ、これ一つで充分だぞ」


 確かにそう言ってもらってよく見ると、蜂蜜と色違いの瓶がある。限定した時間で先へと進んでいた時は、一つ一つの違いまで鑑定して確認を出来る状態ではなかったので、今更ながらに気が付いた。こうして収納コマンドで確認してみると、まだ中に数本入ってるみたいだ。なので、


 「では、その一本だけ換金を今日中に出来ますか?」


 「ああ、構わないぞ。ここんとこあまり出回らないんで値段に関しては売買金額はすぐわかる。サラシャ嬢ちゃんに明細渡しとくんでそっちで受け取ってくれ」


 「ナオト君、まだ宿決まってないの?あるある、お勧め。長期の滞在も受け付けている上に、食事も美味しい所が。もう少ししたら私も仕事が終わる時間だから案内してあげる」


 「いいんですか?そこまで甘えてしまって」


 「いいのいいの、この街初めてでしょう。任せておいて」


 「あ~こんなとこで営業か?」


 「いいじゃない、ギルドの事に対する利益云々には触れないんだから」


 エドガーさんとサラシャさんの意味不明な会話を聞きながらも結局甘えることにして、


 「では、案内宜しくお願いします。サラシャさん」


 お金を受け取るために受付の方へと向かう。エドガーさんに挨拶して解体場をはなれながら、彼女へとそう告げると、


 「ちょっとだけ待っていてね。巻きで終わらせてくるから」


 「こちらがお願いする立場なのですから、時間は気にせずお仕事をきちんと終わらせてきてくださいね。他の方の迷惑にはならない様、あちらの隅でお待ちしておきますんで」


 他の人に不快感を与えないよう、早く仕事を終わらせて宿まで連れて行こうとしている彼女に申し訳なく思いそう告げると、


 「目立つのも大変だろうし、やっぱり早めに終わらせてくるわ」


 意気込んで受付の奥に戻っていく彼女にはもはや何も言えず、黙って見送るのだった。

よろしくですです。

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