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冒険者登録

話がスローテンポの作者で申し訳ないですです。

 街の大通りを中心に向けて歩いて行くと、やはりよそ者は物珍しいのか視線を感じる。その視線が学校で感じる不快な視線とは違うのが救いと言えば救いなのだが、


 <チラチラ住民の皆さまから見られてるようなんだけど、此方の人間とそんなに違うのかな~?>


 <此方の方の方が平均身長が高い事を除けば基本的に外観は変わらないと思いますけど。大体成人の男性冒険者で二m位かと思います。>


 <じゃあ、やっぱり物珍しさなのかな~。>


 <違うと思いますけど。>


 <なになに?>


 <いいえ、何でもありません。>


 何か言いたそうなケイさんの言葉を聞きながら進んでいたら、街の中心にある目立つ建物に辿り着いた。


 <結構大きい建物だね。>


 <体格の良い冒険者が大勢出入りする場所ですから、周りにある普通の民家や小さい商店の建物から比べれば、かなりの大きさだと思います。>


 <それもそうだね。>


 ラノベの展開だと新人はよく絡まれるというお約束があるので、すぐには入らずスイング式のドアから中をじっと覗いて見ると、人はまばらで閑散としている。なので安堵のため息を吐きつつ中に向かうと正面に女性が二人ほど並んでいる受付の様な物が目に付いた。一人は他の人の対応中みたいなので、俯き書類整理をしている様な、そんな様子の空いている方の目の前に立ち、


 「あの~すいません」


 「あ~はいはい、なんでしょ・・・う?」


 顔を上げながら対応しようとして、何故か唖然とした表情で固まる職員を見ながら、


 <ちくしょ~其処までブサイクだからってあからさまに態度に出さなくてもいいじゃないか~>


 <だから、違うと思いますけど。>


 心の中で呟きながらも、今までも散々あった事なので、気を取り直してもう一度、


 「あの~すいません、冒険者登録をしたいのですが、此方の受付でよろしかったでしょうか?」


 「あ、あ、あ、はい、此方の受付でよろしかったです」


 <何故かかなり動揺してらっしゃるみたいなんですが、それほど自分から話し掛けられるのが嫌なのかな?>


 <だから、違うと思いますけど。>


 脳内会話では優しく否定してくれるケイさんに感謝しつつ、気にしたら負けだと、何に負けるのか判らない気合を入れて、


 「では、手続きをして頂いても宜しいでしょうか?」


 「あ、はい、手続きをさせて頂きますです」


 バタバタとしながら慌てた様子で書類を漁り、一枚の用紙を出すのにも手間取る様子に、


 <もしや、ラノベにあるドジっ子?>


 <だ~か~ら、違うと思いますけど。>


 書類の確認をして、ようやく落ち着いたのか恥ずかしさで頬を染めながら(直人にはそう見える)こちらに対し、


 「大変お待たせしました、冒険者登録をさせて頂きます。まず此方の書類に必要事項を書き込んで頂きたいのですが、読み書きはお出来になりますか?」


 「読むことは可能なのですが、書き込むのはよそから来たもので、自国の言葉しか書けません」


 「これはどの国のギルドでも通用する様、魔法の掛かっている用紙ですので、ちゃんとした文化を持つ言葉で書き込まれれば、見る物が理解できる文字で見える様に出来ているので大丈夫だと思うのですが」


 <まさか異世界語とは言えないけどな~>


 「取り敢えず試してみても?」


 「目の前で書いてみてください、駄目そうならお声をお掛けします」


 二、三文字書いていると、


 「う~ん、確かに見た事もない文字ですね。まだ意味らしきものも見えてきませんし」


 で、直人・神出と名前の処を書いてみると、


 「ナオト・カミデ様ですね、家名があるという事は貴族家の御方でしょうか?」


 「いえ、自分の国では皆、家名を持っていた物ですから。それならば、今後の為に紛らわしくない様、直人だけで登録したいのですが、宜しいでしょうか?」


 「はい結構です、それならば判りやすいように、此方から質問しながら代筆いたしましょうか?」


 「自分の生まれた処にはギルドがなかった物ですから、そうして頂ければ助かります」


 「では、代筆いたしますね。先ずお名前はナオト様でよろしかったですか?」


 「はい、構いませんが、様で呼ばれるような人間ではないので様付けはやめて他のでお願いします」


 「それでは今後は親しみを込めナオト君と呼ばせてもらいますね」


 こちらから頼んだとはいえ、顔を真っ赤にするほど照れるなら他の呼び方でもと思いつつも、会話をぶった切る気にもならず、


 「はい、お願いします」


 「先ず、年齢は?」


 「十七歳です」


 「じゅ、十七歳ですか~、あ、ゴホン。次に冒険時、使用される武器はどの様な物でしょう?」


 「短剣です」


 「魔法は何か使えますか」


 <回復魔法一つだけで答えてください。>


 「回復魔法です」


 「回復魔法を使えるのですか?凄い優秀なのですね」


 「いえ、Lv1ですので大した事は無いです」


 「いえ、凄いと思います。それで他に何か冒険に役立つスキルなどはお持ちですか?他には公表しませんのでお答えいただけたなら、仕事を割り振る目安としてだけギルドで把握しておきたいのですが」


 <出し入れするのを毎回隠さなくてもいいように、収納だけは伝えておいてください。>


 「収納スキルが有ります」


 「しゅ、収納スキルもお持ちなのですか?商人などから引っ張りだこの優秀スキルですね、凄いです」


 「いえ、魔力量が低い為、それ程容量がないのでそれ程お役に立てません」


 「いえいえ、ナオト君はまだまだお若いのですから、これからレベルが上がればきっときっと伸びますよ」


 「あ、ありがとうございます」


 「ではこの内容で冒険者登録をしてまいりますのでしばらくお待ちください」


 用紙に目を通しながら奥の方に引っ込んで行った受付嬢の方を待っていると、程なくして一枚のカードを持って帰って来た。


 「裏のこの部分に少し血を落としてください」


 針の様な物を手渡され、チクリとする痛みを感じながら、プクリと出てきた血を指定された場所に落とすと、カードが淡い光に包まれた。光が引いた後、こちらに向け手渡しながら、


 「これで冒険者登録を終わります。此方のカードはこれでナオト君専用となっていますので他の方には使えませんが、紛失等されて再発行することになれば、手数料が結構掛かるのでなくさない様気を付けてくださいね」


 「ありがとう御座います」


 まだ血がにじんでいるので周りの何かを汚さない様、ヒーリングを指先に唱え傷口を瞬時に治すと、


 「ふわぁ~無詠唱ですか、凄いですね~、じゃなかった、ギルドの説明はご入用ですか?」


 「是非お願いします」


 「まずナオト君は最低ランクのFからのスタートになります。あちらの壁のボードに見える依頼表の自分より一つ上の依頼まで受けれますので、それを規定数こなして頂ければ一定までのランクまでは上がる事になっています。FからBまでは順当に上がって行きますがAに上がる際は特別試験があるそうです。ま~其処までランクを上げられる方は殆どいらっしゃらないので話だけは覚えておいてください。SやSS何かもあるにはあるそうなのですが、英雄などと呼ばれる方の特別職的な物なので現在はいらっしゃらないとの事です。

 後は冒険者同士の諍いは基本禁止になっておりますので、絡まれたりした時は直ぐに知らせてくださいね、以上です。何かご質問は?」


 「まだお名前をお伺いしていませんでした」


 「も、申しおくれました。私、サラシャと申します。今後もぜひぜひ私の受付でよろしくお願いします」


 隣のもう手の空いた受付嬢に目配せをしつつ赤くなりながら意気込んで言ってくるので、


 <隣の受付嬢まで不快な思いをしない様に自分を犠牲にしようとするなんて、優しい人なんだな~>


 <違うと思います。>


 もう何度目かの違うと思いますを浴びながらも、他に思い当たる事もないので、


 「こちらこそよろしくお願いします」


 そう答えながら、もう一つの用事を訊ねてみるのだった。


 

よろしくですです。

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