異世界の街に
到着~
本格的に夏休みに入った本日から、今までと反対方向にマップを見ながら進んでいます。目標の街の方角すら判っていないので、走り回る事も出来ず、ひたすらテクテクと一方行に進んで行き、マップが広がればまた違う方向にと、埋め込み作業中です。途中浸食範囲を抜けたのか、草原の草むらに今まで見なかった兎の魔物が居た。ファンタジー定番の角兎である。ねじれた長めの角が額から伸びている。隠密を使い静かに近寄って鑑定を掛けてみると、
スパイラルホーンラビット Lv1
HP:30 MP:5
強靭な脚力からの角での刺突攻撃が得意。
と、この様に出たので、側面狙いで慎重に攻撃範囲に近寄り、サンダーアローを発動すると胴体に突き刺さり、しばらく痙攣した様にビクビクッとしていたが、動かなくなったので霧散はしてないが傍に行ってみると既にこと切れていた。初の魔物の死体にどうしたものかと悩みつつも、向こうの世界でも兎料理はあるし、食材として売れるかな、と気色悪いのを我慢しつつ、収納へと放り込んだ。動物の死体を眺めながら冷静に考えれば異世界初の敵が虫型で良かったなと思う。これが最初っから動物型や人型ならかなりの抵抗が有ったろうと思う。
<こちらは放っておけば人をさらうオークや、人を殺すことに戸惑いがない盗賊も多く居ます。前に申しましたが此方には此方のルールがありますので、戸惑いの末自分の身が危険にさらされぬように今からの心構えをお願いします。>
心を読んだかのようなタイミングのケイさんからの有り難い忠告を胸に、更に草原をくまなく調べるかの如く、ウロウロ、テクテクを繰り返すのだった。
あれから四日たった今もまだ森エリアを抜けていない。草原の探索は順調にマップの広がりを見るに進んでいるとは思うが、レベル自体は全然上がらず本末転倒状態。これなら森で無理をしてでもレベル上げに勤しんでいた方が良かったのかなと思っていた所で、道らしきものを発見した。余り整えられているという感じではないが、人が通れるように幅二m程の地面を均してあるようなものが、ここが終点と言わんばかりに目の前から伸びて行っていた。なのでおっかなびっくり道をたどっていくと、小川があり人工的な橋が架かっておりそこで草原は終わっていた。
それからも一時間ほど歩いただろう、ステータスが上がったおかげで昔のように疲れる様子もなく歩いて来れたが、ようやく見えてきた街に期待、不安、安堵とどの感情か判らない様な心持で近寄って行くと外壁が途切れていて門がある場所に軽装の装備を付けた門番らしき人が立っていた。周りを見渡しても他の人々は立ち止まる事なく街への出入りをおこなっていたので、一応読み漁ったラノベの様に髪の色が真っ黒はあんまり目立つかなと灰色に、目を異世界らしく翠色に替えただけの自分で中に入ろうとすると、
「おい、お前何処から来た?その顔立ちはエルフか?いや人間か?取り敢えずこっちに来い」
と、いきなり声を掛けられ、相手の喋っている言葉自体は理解できるので全言語理解のスキルは働いてくれていると思うのだが、何処が変だったか判らず、慌てて、
<ケイさ~ん、ヘルプ。人種を聞かれてるけど、どこか変?あんまりブサイクすぎて人種が判らない状態?>
<身体錬成スキルを二か月ほど使い身体全体に影響を及ぼす身長を十cm程伸ばされましたが、この前から一か月近くは小さい顔のパーツのみに倍以上になった魔力を全て使い込んでおりましたので、イメージ通りだいぶエルフに近づいていると思いますよ、人族か疑われる程には。>
<え、学校では誰も何も言わなかったけど?>
<学校に登校してた時は始めたばかりの頃から徐々にでしたし、何より今までの自分に自信がないのか前髪で顔を隠しておいででしたので。>
<リアル系のゲームのエルフイメージだったけど、実際だと人として違和感しかない感じ?生活できない程変?>
<変ではありませんよ。どちらかというと人から羨ましがられる感じの変化だと思います。自信を持ってください。本当に現実に向かない程変更してたらさすがにお止めしておりますので、大丈夫ですよ。>
<じゃあ、何で止められたんだろう?>
<行ってみれば判るかと。>
という脳内会話を繰り返し、門番が指定する場所へと到着すると、そこは詰所?のような場所らしくて、
「突然済まないな。ここの門番を長くしているが、顔見知りの住人以外は定期的に来る商人くらいしか来ない街に、森しかない方角の門から薬草取りの冒険者でもない者が来たんでな。少し質問だけさせてくれ」
そう言いながら自分たちが向かい合った間にあるテーブルの上に水晶な物を置き、
「すまん、この上に手をかざしながら答えてくれ。今まで犯罪に手を染めた事はあるか?」
「いいえ、ありません」
「この街に来た理由は」
「生まれてからこれまで身分を証明できるものを持っていなかったので、冒険者ギルドで登録し身分証を作ろうかと」
「この街に滞在する予定は短期間か長期間どちらだ?」
「自分でも住みやすそうな町でしたら長期で、居心地が悪そうであれば短期で出て行くと思います」
「水晶は青いまま。嘘は全く吐いてないようだな。赤どころか透明にも変わらなかったからな。問題ないみたいだ、ようこそティーダの街に。俺はダイクと言うが、えー名前は?」
「ナオトと言います。よろしくダイクさん」
「ああ、よろしくなナオト。冒険者ギルドは街の真ん中の大きい建物だ」
「ありがとう御座います。さっそく行ってみます」
詰所から丁寧に外へと案内され道まで教えてもらったので、最初の不安はどこへやら、ダイクの事を気に入った自分はさっそくギルドへと登録に向かう事にしたのだった。
よろしくですです。




