現状の力は?
ちょい無双?
<軽く払いのけるに留めておいてよかったですね。魔物退治の要領で上から思いっきりにでも叩き付けていたら、ペッシャ~ンという処だったと思います。>
<え~、だったら止めてよ。>
<いえ、神々から聞いております。あの方たちのおかげで実質的に死にかけた事を。向こうの世界のルールならば、命を取りに来たものなら取られても文句は言えません。>
<いや、こっちの世界にはそんなルール無いから。>
たった一週間なのでいじめられてた時からそんなに強くなってるとは思わず、狩場的に向こうの冒険者の初心者クラス位には成れたかな~という感じでステータスも受け取ってたら、何と既に此方の世界では超人や達人みたいな者位の体力になってるらしかった。なので今後は生活する上では力加減は極力気にしてくださいね、なんて言われたものだから、さっきの時に教えてくれてもと言ったら、軽~い感じで冒頭の言葉である。
教室に戻ったあの後は無傷で帰ってきている事と、城野雅也達不良グループが戻ってこない事から、何か色々皆から言われてたみたいだけど、自分を心配しての事など皆無なので無関心でやり過ごした。で、それから二日位は何故か不良グループは学校に顔を出さず、早々停学をくらったのかと噂されつつも、実に初めての平和的な学校生活を送れていたのだが、三日後の放課後の帰り道人気のない所で、
「おい、このキモデブ野郎、入院中化け物になる様などんな薬キメこんだかしらね~が、お前みたいなのになめられたままだと、他の奴らに示しがつかね~んだよ。で、今日はチームの先輩にも声かけて貰って数も集まってるんで、くたばれや。」
チーム?というのが何のチームなのか判らないが、ガラの悪いのが近くに止めてある車からもゾロゾロと20人ほど集まって来た。この前までなら怖くて仕方なく震えあがって動けなかったであろうこの状況も、ジャイアントアント(蟻)やポイズンワスプ(蜂)の群れから比べればそれほど威圧は感じないが、こっちじゃ魔法も使えないし手加減するのがめんどくさそうだ。
「あ~、止めとかない、こんなことしても何にもならないし」
「この前まで殴られ放題で丸まってた野郎が、調子に乗りやがって」
「城野~お前かなりなめられてるな、こんなブサイクな奴によ~」
一番後ろの方に居る鉄パイプを肩に担いだ男が声を掛けてくると、こっちに話す時とは別人のようにヘコへコしながら、
「矢田さん、すいません。すぐカタ~つけますんで。皆さんお願いします」
その言葉を合図に一斉に殴りかかって来る。なので素早く躱しながら、軽く払う様にいなしていくと、それだけで面白いように後ろの方に転がっていく。それでも手加減しているせいか、他の人を相手してる間に起き上がりまた向かってくるので、
<どうしたらいいかな~>
<デコピンでもしてみたらいかがでしょう。>
啓示という神の使いの言葉とは思えない言い様だったけど、言われたまま試してみたら、真っ赤になりながら余計ムキになって向かってくる事、向かってくる事。
<ケイさ~ん?>
<はい、見事に煽れましたね。後は倒してしまうだけです。今の状態よりもう少し力を込めてもいいみたいですね。>
<分かりました、やってみます。>
頭の中で会話しながら、集中してやってみると、今度は気絶させる事が出来たのか、起き上がって来る事がない。なので順調に数を減らしていると、
「おいおい、こんな野郎になめられっぱなしとは、お前らも後で締めないといけね~みたいだな。こういう奴はな~もう殺す気で殴りつけていいんだよ」
矢田と言われた男は、躊躇なく鉄パイプを振り下ろして来た。それでもキラーマンティス(カマキリ)の振り下ろす鎌に比べれば欠伸がでそうで、そんな自分に驚きながらも、
「丈夫そうなんで大丈夫ですよね?」
鉄パイプを躱した後に、そう言いながら軽く~お腹をグ~で殴ってみると、
「ぐはっ」
とか言いながら、地面をのたうち回り出した。なので顔の横に屈みこんで訊ねてみた。
「え~と、まだやりますか?あと二、三発入れときますか?手加減が難しいので、これ以上の力だと大変なことになりそうなんですが?」
「勘弁してくれ、もうこれで終わりでいい。他の奴らもこんなもん喰らい続けたらつかいもんにならなくなら~」
「判りました、じゃあ自分は帰りますね」
そう言い終えて踵を返しその場を離れていると後ろから、
「城野~こんな野郎とは聞いてなかったぞ~後で覚えてろ」
という怒鳴り声がきこえてきた。まだまだあんな声が出せるのなら身体は大丈夫そうだ(自分の時なんかはいつも声を出せる状態などではない)と思いながら家路につくのだった。
この前の事は土曜だったので、翌週学校に登校しつつ、城野達とどんな顔して会えばいいんだろう(いつもやられる方だったので)とか考えてたら、ホームルームで一週間の停学が決まり、何故かその間怪我の為入院することを告げられた。
<うん?自分がやったのじゃないよね?>
<はい、直人さんはかなり手加減されてたので、此方が負わせたものではないと判断します。自業自得というものでは?>
辛辣極まりない言葉が聞こえてきたので、彼たちを其処まで嫌っているとしたら、それは自分の為だと思え嬉しくなり、
<彼たちには気の毒だけど、ケイさん、いつもありがとう。>
気持ちを言葉にして頭の中で送ると、その日も平和に授業を受けて帰宅するのだった。
よろしくですです。




