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高校の先生への誕生日プレゼントを推薦する話

作者: 雪嵐
掲載日:2020/06/11

 僕の名前は水波民人、高校生だ。

早速だが高校生活に最も必要なものって何だと思う? 隣の席の美少女? 謎の部活? 無駄に権限を持った生徒会? それとも十年来の幼馴染?

 否、総じて否である。


 高校生活に最も必要なものは惰眠である。「生命維持に必要な睡眠」ではない。「惰眠」だ。夜ではなく昼、かつ授業中であることが望ましい。何故か? 爽快だからだ。

 他人が真面目に質の低い授業(あくまで個人の意見です)を受けている中、クラスで数人しか味わえないあの感覚を享受するのは、まさに愉悦の極みと言えるだろう。

 ああ、あの甘美さといったら。まるで修学旅行の団体行動中に一人でお土産を買いにいっているような、あるいは深夜にカップラーメン片手にゲームをしているような、そしてマラソン大会中に皆が苦しんで走っている中を最速ダッシュで走り抜けていくような、そんな人間らしい背徳感のあるものである。


 故に、僕は先生への誕生日プレゼントは、持ち運びのできるサイズの低反発枕を推奨する。先生にはぜひ、睡眠は夜だけのものでないということを知ってほしい。


「アホか!」

「アホとは何だ委員長。僕は先生にどうしても惰眠の快感を知ってほしいんだ」

「なんで始まりが高校生目線なのよ! しかも例えが謎にアグレッシブだし」


 あ、先月の白馬屋君への誕生日プレゼント推薦文と同じなのはバレていないようだ。そういえば彼へのプレゼントで選ばれた案は委員長の……。なるほど。


「そもそもコレ、良くて仮眠用にしかならないと思うわよ」

「悪いと不眠症になる?」

「誰が上手いこと言えと。というかそんな上手いこと言えてないわよ」


 はあ、と短くため息をつく委員長。だから貴様は委員長止まりなのだ、まったく。もっと一人一人の考え方を尊重し、受け入れるだけの度量がなければ生徒会長にはなれん。


「なにか失礼なこと考えていない?」

「まさか(僕が君に礼を払うとでも思っていたのか?)。君は人の意見を大事にするから学級委員長がよく似合っていると思っただけさ」


 人(自分)の意見。あと委員長が「オニアイ」だとも思っている。嘘じゃない。


「怪しいわね……」

「嘘は言っていないぞ」

「意図は?」

「委員長止まりだね。オニアイだよ」

「失せろ!」


 あ、これ死ぬやつ。


――そうして、僕は永遠に好きなことをして過ごすことになるのだった。


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