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序
大学は馴染めなくて辞めた。
4年前の話やね、
私大に行く学費を親にだしてもらっといて辞めたんよ
浪人して中途半端な偏差値の大学に受かるももののみごとに周囲との温度差、窮屈さに耐えきれず辞めたんよ
新種のウイルスにかかったんもバチが当たったんやなって納得してる
あたしは隔離病室のベッドのうえで目尻に涙ためて今までの人生を振り返ってた。
俗にいう「三密」の場所、空間にも足を運んだおぼえもないのに忌々しくも今こうしてお布団のうえで苦しく天井みあげてる
コンビニで働いているあいだはマスクだってちゃんとしてたんよ。
でもまあしゃあないか、逃げずに大学いってたらこんなんなってなかったんかなあ
こうなったいまとなっては親の顔が浮かぶ。あたしも志村けんみたいに誰にも看取られずに死んでしまうんかな。
でも志村けんと同じ時期に同じ理由で死ぬのはちょい誇らしいかも
そんなことを考えながら浅く呼吸をし眠りにつこうとしたそのときやねんけどな
ゆっくり病室のとびらがひらいたんよ